安壇美緒「ラブカは静かに弓を持つ」を読みました。

全著連の話は、ニュースになってたなぁと思い出しました。それにより、いろんな歌手の人が自分の曲は無料で使っていいという声明を出してたことも。
結局、あの裁判ってどうなったんだろう?
問題の時は大きく報じるくせに、いつも結果は大して大きく取り扱わないので忘れてました。
楽曲を守るためとは言いますが、楽譜買うのにお金払って、それを練習するためのお手本でお金を払って…となると二重三重にお金とられてる気持ちになるんですよね。
きっと音楽教室などでの使用料の徴収が始まったら、それは会員の月謝に上乗せされることになるんだろうし。その何百円かの負担で会員は減らないだろうけど、その蓄積は家計を圧迫してきます。
お話に戻りますが、この作品は全著連の職員が、楽曲の不正使用の証拠を掴むために、音楽教室へお客さんとして潜入する話です。
正当な権利の主張をするとしても、すごく汚いやり方だなと思います。
必要なのかもしれませんが、その当事者にしてみれば心がすり減るばかりです。
探偵とか外部の人を使えばいいのに、楽器を弾ける社員を使うというのが嫌なやり方だと思います。結局、ノーと言えない人を選ぶんですよね。
その人の楽器との思い出を、悪い思い出に上書きしてしまうとか考えが及ばないんでしょうか?
そういう心の想像もできない人が芸術作品の管理者で権利を主張するのが気持ち悪いなと思いました。
主人公の樹くんは、音楽教室の講師や仲間と絆を深めていきます。自分の身分を偽っている時が一番心地よく過ごせるなんて皮肉ですね。結果、裁判には出廷せず、証拠も廃棄して会社も辞めるんですが、講師や仲間には潜入のことバレてしまいます。でも、このときにしっかり怒ってくれる人がいたこと、理解しようとしてくれた人がいたことが最後のハッピーエンドに繋がっていると思います。
この本を読んでる間も書いてる間も、ずっとバッハの無伴奏チェロ曲が聞こえている気がします。
クラシックは、作業の邪魔にならなくていいなといつも思います。
特にチェロの低い音色は、頭の中というかお腹の奥の方でなってる感覚です。
音楽の素養は全くありませんが、音楽の本を読むのは好きです。

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