ナオミ・ノヴィク『闇の魔法学校』『闇の覚醒』『闇の礎』読みました。

やっと、読み終わったーという達成感でいっぱいです。毎巻毎巻分厚くて重たいから、持ち運ぶこともできなくて読むのが大変でした。
ナオミ・ノヴィク氏の作品は、『ドラゴンの塔』を一番初めに読みました。
定期的にファンタジー作品を読みたい私は、図書館で背表紙に【賞】って書いてあったから、面白いのかなと思って読み始めた作者でした。
そこから、『銀を継ぐもの』『テメレア戦記』と読み進めて現在に至ってます。

氏の作品は、内容がいつも重いです。
ハリーポッターは、巻を重ねるごとに内容がヘビーになっていったけど、この筆者の作品は毎回大ハッピーにはなりません。
そして、登場人物はかなり生々しいです。ファンタジー作品なのに、なんだかリアルで作品にのめり込んでしまいます。

この読書メモを書く前に、他の作品は読んでしまってたので、今回はこの3部作についての感想を書いていきます。

まず、一巻を読み始めて…世界観が難しい。
自治領?スコロマンス?独立系魔法使い?
今までのファンタジー作品にない要素がたくさゆです。
どうも若い魔法使いは、怪物の餌になりやすいからスコロマンスという学校に入れるらしいですが、その学校も怪物いるし、同級生がたくさんやられてしまいます。
しかも、主人公は魔法使いなのに筋トレしてるし、杖振ってキラキラの魔法は全然なし。
仲間もいないし、偏屈。
全く愛すべきキャラではありません。
まぁ、氏の作品はいつもそんな主人公(テメレア戦記は違うけど)なので、どんどん読み進めました。わからないなりに読み進めれば、なんとか想像力が働くもので、少しずつ理解できるようになってきました。
でも、そんな物語にキラキラのヒーローであるオリオン・レイクが登場します。
誰にも媚びない。贔屓しない。怪物倒す。
文字通り無敵のヒーローです。
主人公のガラドリエルと恋に落ちますが、なんで無敵のヒーローが偏屈なガラドリエルに興味を持つのか謎は深まるばかりです。
しかも、この本に出てくる怪物〝目玉さらい〟が強すぎるんですが、名前にクセがありすぎて、形状が、想像できません。
やっと、こんな風かなぁと思ったのは3冊目に入ってからでした。
2冊目からは仲間もできて、良い感じで現在の学校や環境の打開を試みます。
気になる3巻目、無敵のヒーローであるオリオンがスコロマンスで死んでしまったっぽいという悲しい始まりでした。
じゃあ、生き返るストーリー?かといえば全く違う話で、作者の構成力の高さを感じます。
伏線回収だよーという感じで進みますが、伏線がそう単純にわかりやすく配置されてたわけでもないので、「おー、なるほどそういうことだったんだ」という、伏線回収の3巻で更に楽しくなりました。読めば読むほどハマってしまう、だから氏の作品は読みたくなるんです。

今回も功利主義を皮肉った作品でした。
〔最大多数の最大幸福は、すなわち善である〕っていうやつです。
主人公のガラドリエルは自治領建設の違和感の正体に気づき、向き合い、怒り、戦っていきます。
それは、愛するオリオンを失う結果になったとしても。その戦いの結末の詳しい内容はここでは書きません。

結果として、ガラドリエルは幸せになったのでしょうか?
「‥その半分だって叶えば充分だったのに」
という言葉が、表すように満足してるということです。
納得するんじゃなく、納得できる道を探す。
ガラドリエルは素直で、実直で、可愛い主人公ではありませんが、魅力的な主人公です。

願うことは止められないけど、願いを新しい願いで上書きすることもできる。

いつだって、変わることができると信じています。
人間の強さと希望に溢れる作品です。

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