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春待ち

旅に出るわけでも、飛行機が好きなわけでもないのに訪れる空港というのは、なんだかアウェイで、のんびりとだだっぴろく、とても気楽な散歩先だった。平日昼間でも、たくさんの旅行者がいるんだなぁ。

羽田空港の催しの「旅する日本語展」、ようやく展示を見に行けた。自分の書いた文章と素人写真がぴちっと額におさまって、他の受賞者の方々の作品と肩を並べているのを眺めながら、静かに嬉しさをかみしめた。

上京して丸15年、興味をひかれるものに次々と飛び込んでいく様は、何度周りから「飽きっぽい」「一貫性がない」と諫められただろう。当初やりたかったことからはとうに離れ、看板を掛けかえながら生活してきたことは確かだ。
やりたいことは変わっても、その先にある「こうありたい」という姿、それはずっと変わっていない。やっぱり合ってる、と改めて思った。
関係ないようでも実はきちんと筋が通っていて、それぞれの経験が根底でつながっている実感は、私の中にしかない。それでいいのだ。

展望デッキの広々とした空の下で、いくつもの飛行機を見送った。タイヤが滑走路をすべる轟音が身体に響くのが心地よく、飛行機って見てる方が楽しいなと思う。ぼんやりしていたら、しっかりと日焼けしていた。アイスが欲しくなる暑さだった。
冬が終わる。春が来る。嬉しい。


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