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逃亡者

まずいことをやらかしてしまい、ばれる前に逃げようと、家出をした。
迎えに来た大人たちの車に乗り、知らない土地へ逃げることに。

真っ当になりたかったのにもうかなわない、これからは犯罪を重ねて生きるしかないのだ、という薄暗い気持ちがじわじわとしみこんでくる。大好きな家族のいる実家ではもう暮らせない。

途中立ち寄ったドンキで財布をすられ、わずかな全財産とカード類、身分証明を全て失った。
私という人間を社会的に証明できるものは何もなくなり、むしろちょうどいいと言い聞かせた。
すられた財布は元の場所で見つかったけれど、免許証保険証の類はすべて偽物にすり替えられていた。

隠れ家では、知らない大人が次々と個室に押し込まれ、殺されていく。
漏れてくる叫び声を聞かぬように、人形ケースや食器類の整理に没頭しているふりをして、無邪気さを演じて恐怖に耐えた。自分の番が回ってこないように。
私を世話してくれた、祖父のように優しいおじさんも殺された。

置きっ放しのブラウン管テレビが目に入り、見そびれたドラマを思い出した。これから先、今までのように好きな服を着る機会があるのだろうか、一文無しの自分が、頼るあてもなく、どうやって暮らしていけば。

途方に暮れたところで目が覚めた午前3時。

#日記 #エッセイ #夢日記

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