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出版関係者に読んでほしい紙の本の売り方

出版社には紙で本を購入してもらいたいという要望が以前から強いようです。
私が書いているライトノベルにおいても、「紙の売り上げが足りないので打ち切られました」という話がチラホラと聞こえております。電子ではそこそこ売れてるのにです。ほんと怖いです。

また、とある公式Twitterアカウントで、「あともうちょっと紙が売れたら続刊できるからぜひ買って欲しい」とツイートされているのをみたことがあります。

紙の本の影響で続刊が決まる。
これは出版社のシステムなのでしょう。それに対して、一個人の編集者さんができることは限られているでしょうし、続きを出したいという想いも本物だと思います。

ですが利便性などから考えると、どうしても電子書籍の方に軍配が上がってしまいます。
場所を取らない、軽い(デバイスが)、続きが読みたくなったらいつでもどこでも買える、セールしている、などなど。
私個人のケースでも、壁一面にある本棚が埋まって、平積みになっているため、近頃では電子書籍の購入が増えています。紙で買うのは電子書籍で取り扱ってないもの、とくに資料に限られます。

そこで、今回は紙の書籍がどうやったらより売れるようになるのかを考えてみました。

それには紙の書籍でないと得られないメリットを提示する必要があります。
出版社さんや本屋さんの都合をいくら叫んでも、読者は動いてはくれません。

紙の書籍でしか得られないメリットとは?

パッと思いつくもので3つあります。

一つ目は、紙の本の場合は貸出ではなく所有することができるということ。今現在も、多くの電子書籍の販売会社が立ち上がり、そして消えていってしまっています。

サービスの停止や倒産した場合、返金はあってもデータをそのまま残しておくことは難しいです。

読めなくなってしまうというのは読者からすると大きなデメリットです。
そもそも、「お金払ったら自分の物だろ!」という感覚を強く刺激されます。
貸し出してただけ、などという理屈は、利用者の感情には一切考慮されません。

もしかしたら返金されるかもしれません。
また別の会社で再度買うことはできるかもしれません。
ですが、それも大きな手間がかかり、また書籍リーダが変わることで見づらくなる問題もあります。

紙の書籍の場合はこのような心配はありません。

たとえ出版社が潰れたとしても一度購入した本はずっと手元に置いておくことができます。
なんだったら発禁処分になったり、回収騒ぎが起きても手元に置いておくことができるのです。

「所有したい」という欲求をもっと突いてはいかがでしょうか?

2つめのメリットは、人との貸し借りがかんたんにできること。

面白そうな本があったら「ちょっと貸して」と言ってパッと読むことができる。
一部の電子書籍では、家族間で購入を共有できるみたいですが、友人知人レベルだとむずかしい。

売る側からすると、販売機会の損失が怖いかもしれませんが、長期的に見て、読書体験を広げるという、とても大きな意味を持っています。

誰かが熱心に本を読んでいる。
「何読んでるの?」
「小説。めっちゃ面白いで」
「え、ちょっと気になるわ。読ませてや」


最後の1つ。
今のパソコンやスマホ全盛期の時代に、わざわざ紙の本を読んでいるというのは、知的な行動をしているという印象を持たせることも可能です。

スマホと違って、本は読んでいたら『本を読んでる』ことが分かるんですよ。電子書籍だと、SNSしてるのか、ゲームしてるのか、一目では分かりません。

読書って、低俗でもあり、高尚でもある体験なんですよね。
みんな、頭よく思われたいです。
たとえば、ピケティの『21世紀の資本』バカ売れしましたが、どれだけの人が最後まで読んだんでしょう? 理解できましたか?
本当にみんな読んでて理解できてたら、○○分でわかる! とか、図解、マンガ! とかって派生商品自体生まれませんよね。

電子書籍の溢れた今だからこそ、本を読むことの再ブランディングが必要ではないでしょうか?

以上、紙の本を売るのに考えて欲しいことの3つ、ご紹介しました。

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