佐賀ロン

このペンネームで別サイトでも投稿、肥前ロンズという名前でも投稿してます。

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最近の記事

創作大賞、参加してます。 「願いをさえずる鳥の詩」、第六話~最終話まで更新しました。 前向きに戦う(物理)箱入り娘と、幽閉されて育った後ろ向き引きこもり皇子のお話、よかったら読んでいただけると嬉しいです。 https://note.com/hizen_saga/n/n748b6c023086

    • 「願いをさえずる鳥のうたーとある姫と皇子の逃亡劇ー」 最終話

      #創作大賞2023 #中東ファンタジー #後宮 #鳥籠 最終話 願いをさえずる鳥のうた そこで身体をゆっくり起こし、カシワは尋ねた。 「――皇帝に、なりたかった?」 「そんなもの!」  吐き捨てて、セリムはこちらを見た。  カシワの目に映ったのは、熱がほとばしったセリムの顔だった。 「なりたいわけないだろう! こんな、ろくでもない国……。でも、――そうならないと価値がないって言われ続けたんだ‼」  皇太子として扱われようと、第二皇子として無視されようとも、セリムには大し

      • 「願いをさえずる鳥のうたーとある姫と皇子の逃亡劇ー」 第8話

        #創作大賞2023 #中東ファンタジー #後宮 #鳥籠 第8話 後宮姫、鳥籠皇子の事情を知る  赤い絨毯は、ゆっくりと原野に降り立った。生き残っていた草木は、絨毯による風圧でなびき、乾燥していた土が少し舞った。 「横になって。アトラス、彼女、頭を殴られた」  ――アトラス?  聞きなれない名前に、カシワは首を傾げる。 (いや待って、確かユナニスタンではよくある名前だと聞いたことが……)  すると、魔術師が反応した。 「それは大変だ、さ、横になって」  額を優しく押

        • 「願いをさえずる鳥のうたーとある姫と皇子の逃亡劇ー」 第7話

          #創作大賞2023 #中東ファンタジー #後宮 #鳥籠 第7話 後宮姫、うっかりやりすぎる その時、一瞬気を失いかけたカシワは。 『セリム』という言葉を聞いて、上半身を起こす。  袖に入れていた短剣は、すでに鞘が抜かれていた。  ――カシワはそのまま、馬乗りした男の太ももを斬った。  半円を描くようにして斬られた太ももは、そのまま噴き出るように血が出る。 「……」  斬られた男は茫然と、噴き出た血を見て、遅れて叫んだ。 「ぎゃあああ!」  止めにかかった二人も、

        創作大賞、参加してます。 「願いをさえずる鳥の詩」、第六話~最終話まで更新しました。 前向きに戦う(物理)箱入り娘と、幽閉されて育った後ろ向き引きこもり皇子のお話、よかったら読んでいただけると嬉しいです。 https://note.com/hizen_saga/n/n748b6c023086

          「願いをさえずる鳥のうたーとある姫と皇子の逃亡劇ー」 第6話

          #創作大賞2023 #中東ファンタジー #後宮 #鳥籠 第6話 後宮姫、全力疾走する あたりはすっかり日が暮れていた。空は城塞で殆ど覆われているが、今は丁度塔の横に丸い月が見えた。おかげで月明かりだけでなんとか見える。  階段を一段飛ばして駆けあがる。 「そもそもセリムの味方なら何で一緒に来ないのよ! 宮殿付きの魔術師ならなんか不思議なアレで軍人バッタバタと倒せそうってのに!」  走れば走るほど不満が出る。呼吸しづらいはずなのに、文句を言うことで足取りは軽くなった。  

          「願いをさえずる鳥のうたーとある姫と皇子の逃亡劇ー」 第6話

          「願いをさえずる鳥のうた」、第三話~第五話まで連載しました。noteの写真お借りしてます…! https://note.com/hizen_saga/n/n86b3f30e3112

          「願いをさえずる鳥のうた」、第三話~第五話まで連載しました。noteの写真お借りしてます…! https://note.com/hizen_saga/n/n86b3f30e3112

          「願いをさえずる鳥のうたーとある姫と皇子の逃亡劇ー」 第5話

          #創作大賞2023 #中東ファンタジー #後宮 #鳥籠 第5話 後宮姫、国の事情を察する 「宦官の手引きもなく。特に火事のような騒ぎを起こして陽動作戦を立てるわけでもなく。たった一人で、セリム皇子を、あの牢獄から。窓の檻も警備も魔術の監視もすり抜けて」 「……あ」  カシワは魔術師の言わんとしていることを察した。  そして、なぜ軍人が表立って動かないかに思い当たる。 「私たちが逃げ出せたのは、外国勢力とつながっていると思ったの? 軍が動けば、それだけ隙を生むことになるか

          「願いをさえずる鳥のうたーとある姫と皇子の逃亡劇ー」 第5話

          「願いをさえずる鳥のうたーとある姫と皇子の逃亡劇ー」 第4話

          #創作大賞2023 #中東ファンタジー #後宮 #鳥籠 第4話 後宮姫は魔術師と対決する  ポツン、と天井から雫が落ちる音がした。  音がするだけで、目の前は暗い。少し歩みを進めると、パシャ、という音がした。――水が溜まっている。  カシワの前に、人の気配は全くない。後ろを見ると、離れたところで橙色の光が密集していた。 (なんで? 私もっと人がいる場所に出るつもりだったのに?)  手あたり次第触ってみる。つるりとした感触。  完全な暗闇ではないため、すぐに目は慣れた。

          「願いをさえずる鳥のうたーとある姫と皇子の逃亡劇ー」 第4話

          「願いをさえずる鳥のうたーとある姫と皇子の逃亡劇ー」 第3話

          #創作大賞2023 #中東ファンタジー #後宮 #鳥籠 第3話 後宮姫は世間慣れしてない          ■  アナトルキアには、使われていない地下貯水池が多数ある。  中でも古いのは、およそ千年前の大帝が作らせたと言われる巨大な貯水池だ。柱廊だった場所を時の大帝が解体し、現在の貯水池に作り替えたと言われている。  ユナニスタンにあるような古い神殿の柱を使っているため、『地下宮殿《イェレバタン・サラユ》』とも呼ばれている。 貯水池となる前は元々商業や裁判に使われる広場だ

          「願いをさえずる鳥のうたーとある姫と皇子の逃亡劇ー」 第3話

          初めまして。noteに初投稿いたします。よろしかったらオススメ作品など教えていただけると嬉しいです。 https://note.com/hizen_saga/n/n21a9767dcc0f

          初めまして。noteに初投稿いたします。よろしかったらオススメ作品など教えていただけると嬉しいです。 https://note.com/hizen_saga/n/n21a9767dcc0f

          「願いをさえずる鳥のうたーとある姫と皇子の逃亡劇ー」第2話

          #創作大賞2023 #中東ファンタジー #後宮 #鳥籠 第2話 鳥籠皇子は考える「やっぱりね、この国から離れた方が一番いいと思うのよ」  新たに拠点とした宿屋で、カシワはそう言った。 「セリムは人がたくさんいる町のほうが隠れやすいって言ったわね。木を隠すなら森、というのはわかるけど、世慣れてしてない私たちは目立つし、宮殿の近くじゃすぐに居場所がバレちゃうわ」 「亡命ってこと?」 「外国とまではいかなくても、せめて同じアナトルキア領に。一番近いのは、ユナニスタンね」  

          「願いをさえずる鳥のうたーとある姫と皇子の逃亡劇ー」第2話

          「願いをさえずる鳥のうたーとある姫と皇子の逃亡劇ー」 第1話

          #創作大賞2023 #ファンタジー小説部門 #中東ファンタジー #後宮 #鳥籠 あらすじ かつて周辺の国々を圧倒的な軍事力で制覇し恐れられてきた、アナトルキア皇国。  鳥籠《カフェス》に幽閉されて育った皇子セリムと、後宮《ハレム》育ちのカシワは、宮殿を脱出し、首都コスタニイェラを逃げ回る日々。どちらも箱入りのため世間知らずな二人だが、その性格は正反対だった。前向きに国から逃げようとするカシワと、諦めているセリム。  そんな中、カシワは宮殿付きの魔術師と出会うことになる。それ

          「願いをさえずる鳥のうたーとある姫と皇子の逃亡劇ー」 第1話