見出し画像

詩と思想新人賞 入選のこと

詩と思想新人賞とは

毎年8月末を締切に募集される「詩と思想新人賞」(主催:土曜美術社出版販売)。
詩の賞というと詩集で応募するものが多いですが、こちらは詩作品一篇で応募できる賞です。
そして新人賞に選ばれた方には、副賞として3年以内の詩集の制作が贈られます!

詩人として、自分の書く詩を文芸作品として誰かに届けたい。

そんな思いを持つ新しい詩の書き手にとって、詩壇の方々はじめ、広く世に知っていただける、とてもありがたいチャンスなのです。

私の応募歴

とはいえ、詩が好きで詩を書いているだけなんだという人にとっては、詩集作りますと言われても、詩集なんてムリムリ!と感じるかもしれません。
私も2年前の第30回からようやく応募を始めました。

その2年前は「産科病棟の夜」という作品で、入選5作の中の一点に選んでいただきました。
2021年12月号の『詩と思想』に入選作として掲載になりましたので、もしかしてご記憶の方もいらっしゃるでしょうか。
賞や投稿とは遠い世界から踏み出した頃、驚きと共にとても励みになり、今の活動につながるきっかけともなりました。 

第31回の昨年は「約束への問い」という作品で、一次選考通過作品として挙げていただきました。

これは「産科病棟の夜」にいただいた選評を考え続けて形になった作品でした。この頃感じていた、豊かな余白を求めて、惑いながら小さな歩みを重ねていきたいという思いと、身体性に根差した作品をしつこく書いていく予感は、やはり今の活動に繋がっています。
しかしながら、一次選考通過というのは、応募をする際のひとまずの目標ですが、すこし消化不良に感じたのも事実です。

そして今年。

3度目の応募の今年は「パンドラ」という作品で応募したところ、少し前にXで発信があったとおり、次点とのお知らせをいただいておりました。


「パンドラ」掲載

『詩と思想』2023年12月号に、第32回詩と思想新人賞の入選作として、「パンドラ」が掲載になりました。

入選作「パンドラ」冒頭

選評でも選者のお二人から詳細な言及とご評価をいただき、大変ありがたく思います。(毎年この選評がとても示唆に富み、学びの多いことです。)
課題と思って取り組んできたことが少し像を結び、そしてまた、今後の目標をいただきました。

以下は冒頭部分のご紹介です。

永久凍土が融ける
土地を持たない獣は首を伸ばしてみる
固有の暗号キーになったマイクロプラスチックが
寒材に守られた寝床を削っている
あの先に揺らぐ浮島を渡り継げば
生きられるだろうか
まだここで―薄く消えゆく棲み処
流氷は春を告げることをやめた

柊月めぐみ「パンドラ」より

よろしければ、続きは12月号をお手に取ってお読みいただけたら、嬉しいです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?