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ホピの神話1

創造主タイオワは、始まりも終わりもない空間にいた。

タイオワは無から有を創り出し、宇宙の秩序を整える役割としてソツクナングを創り出した。

ソツクナングは宇宙空間に星々や惑星を作っていって、太陽と地球もソツクナングが創った。

そして地球の最初のものとして蜘蛛女「スパイダーウーマン」を生み出す。

スパイダーウーマンは地上の土と自分の唾液をまぜてさまざまなものを生み出した。

最初に創ったのが、双子の兄弟のポカングホヤとパロンガウホヤ。

ポカングホヤには地球上にあるものに動きを与える役割を与え、パロンガウホヤには、地球上にあるものに音を出すように命じる。

2人がその役割を遂行した後は、ポカングホヤを北極、パロンガウホヤを南極へ遣わせ、それぞれ地球の地軸を支え、正しく地球が自転するよう命じた。

スパイダーウーマンは地上に動物や植物、鳥などさまざまな生き物を生み出して最後に人間を創り出した。

スパイダーウーマンは、「赤、黄、白、黒」の4色の土を集め、ケープをかけて祈った。

すると、ソツクナングそっくりの8人の色の異なる人間の男女が現れた。

そしてソツクナングがやって来て、人間の肌の色の違いで異なる言語を与え、知恵と生殖能力を与えてこう伝えた。

「あなたたちの父・太陽はこの世界を与え、あなたたちの母・大地は命を授けた。それはあなたたちが幸せになるため。でもそのために守らないといけないことがある。それはいついかなる時も、知恵を持ち、互いに調和し、そして創造主の心を尊ぶこと。決してそれを忘れてはいけない。」

命を授かった人間たちは、それぞれ好きな場所で暮らし始めた。

最初は話さずとも互いを理解し合い、調和し合い、動植物とも同調し合いながら生きていた。

しかし、次第にソツクナングとの約束を忘れるものが現れるようになり、平和が乱されてきた。

創造主はスパイダーウーマンに、命の意味がわかるもの少数のものたちを探し、蟻人間がいる地下世界に移動させるよう伝えた。

スパイダーウーマンが指示に従うと、ソツクナングがやってきて大地の火の蓋を外した。

火山という火山が爆発し、第一の世界は火で覆い尽くされて終わった。

創造主は今度こそ、すべての命が喜びに満ちた世界になるよう第二の世界を創った。

命あるものたちは、その世界で幸せに暮らしていた。

しかししばらくすると、他のものの幸せを妬み、奪い、憎しみを持つものが現れ始めた。

創造主はスパイダーウーマンに嫉妬や争い、憎しみの心を持たない、ほんの少しのものたちを探し、再び蟻人間がいる安全な地下世界に移動させるよう伝えた。

そして北極と南極の地軸を支えていたポカングホヤとパロンガウホヤに持ち場を離れるよう伝え、地球は途端にバランスを失い、第二の世界は氷で閉ざされた。

創造主は、次こそすべてのものが幸せになるよう、第三の世界を創った。

第三の世界では大都市や国家も作られるようになり、人間が知恵と工夫を凝らした社会を作っていた。

中には嫉妬や争い、憎しみの心を持つものがいたけど、そのような心にならないものも大勢いた。

すると、魔が忍び寄ってきて、多くの人に邪悪な心を芽生えさせようと画策し始めた。

知らず知らずのうちに心に魔が入り、邪悪な心を持つ人が増えていき、世界には憎しみと争いが絶えなくなっていった。

創造主は、スパイダーウーマンに、最後まで心に魔を入れなかったものたちだけを集めて、葦で大きな空間を作り、それぞれ足りるだけの食料を持ってその中に入らせスパイダーウーマンにもこれからの世話役として一緒に入るように伝えた。

扉が閉じられると、ソツクナングは世界の水の栓を抜いた。

すると幾多の大津波が地上を襲い、降り止まない雨で世界中が大洪水となって第三の世界は水に覆われた。

ソツクナングの合図で外に出てみると、水が引いていた。

スパイダーウーマンが葦の中にいた人々を導くと、そこには天上に続く長い階段が現れていた。

スパイダーウーマンに促された人々が階段を登ってみると、そこには創造主の使いである大精霊マサウがいた。

人々は救われた思いで、私たちまそこに住んでいいですか?と聞いてみると、

マサウは、本当に良い心を持った人たちだけ受け入れる。でも、ここに辿り着くためには、困難を要する長い旅路に出る必要がある。

と言い、人々に階段の下へと降りて旅を始めるよう伝えた。


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