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アメリカ旅1


29歳の秋、農業の季節バイトの仕事でアメリカに行った。

ビザいっぱい三か月働く予定が色々あってまさかの2週間という短期で仕事が終了してしまった。

予定よりだいぶ早く終わってしまって、ビザが切れるまでの2ヶ月半どうしようか予定を考える。

急なことで頭が纏まらんかったから、昔からよく使う、「自分との対話ノート」を使うことにした。

はじまりはこんな感じ。

おーいひづめちゃーん!
何?
悩んでるんー?
そうやねんなー。
何と何で悩んでるん?
帰るか旅するか
帰りたいん?
いや、まだ帰りたくない。
じゃあどっか行きたいところある?
うーん。ないなー別に。
会いたい人とかおらんの?
インディアンに会ってみたい

こんな感じで聞いてくる自分と、答える自分に別れて会話が進む。

悩みとか、これからを決めるときに頭が纏まらんときはよく使うけど、一見アホらしいけどすごい自分のことがよく分かる。

今回はこれで、高校のときインディアンのホピ族に興味をもって、なんとなくいつか行くんやろなーって思ってたことを思い出した。

ネットで調べたら、インディアンのホピ族の居住区はグランドキャニオンの近くにあるらしい。

ロサンゼルスからバスで27時間、途中バスの乗り換え地点ラスベガスでちょろっと遊んで、ホピ居住区の近郊の町フラッグスタッフに到着。

そこからヒッチハイクで更に近郊の町ウィンズローを目指す。けど全然止まってくれん。
後で知ったけどアメリカでヒッチハイクは違法らしい。

夕方からはじめてもう太陽も落ちて真っ暗になった、はじめて3時間後ぐらいにやっと止まってくれたのは、でっかいトラックで後ろに一緒ぐらいでかいトレーラーみたいなんを牽引してる仕事中の車で、中からインディアンのおっちゃん(見た目は東南アジア系)が出てきた。

ちょうどウィンズローに行くから一緒に行こうって言ってくれた。

インディアンのイメージって純粋無垢で目キラキラでマッチョな感じやったけど、そのおっちゃんは日本におる現場で働いてる現場リーダーみたいな感じやった。

日本人みたいって言ったらインディアンでもいろいろおるけど、俺たちナバホ族は優しくて便利なものを使いこなすのが多くて日本人に似てるかもって教えてくれた。

ナバホおっちゃんのトラックに乗せてもらって20分ぐらいしたとき、真っ直ぐな道で急におっちゃんがハンドルを右に左に忙しくまわしはじめた。
急になんやろ?インディアンジョークかな?って思っておっちゃんの顔みたら目見開いて焦った顔でハンドル操作しててガチ緊急事態なことがわかった。

そのままハンドルがきかずにトラックとトレーラーごと一回転して壁にぶつかって止まった。
ナバホおっちゃんもおれも奇跡的に怪我なく無事やったけどシートベルトもしてなかったし、回ってる間ほんまに死ぬかと思った。

真っ暗な外に懐中電灯を持って2人でタイヤの確認に行ったら衝撃でタイヤが3個パンクしてて、ナバホおっちゃんがトランシーバーみたいなんで応援を呼んだ。

30分ぐらいで応援の人が来てくれて、なんやかんやがんばること2時間、やっとまた走りだすことができた。

ウィンズローに行く途中、大昔に墜落した隕石の跡地(東京ドーム50こ分?なんしかどでかいクレーターがあいてるらしい。)とナバホ族のカジノに連れてってくれた。

いや、インディアンやのにカジノとかあるんやって聞いたら、インディアンの中でもナバホは特別らしくて、全部で7個ぐらいカジノあるって自慢げに説明してくれた。

ナバホおっちゃんがほらっ!て自分の着てる赤いTシャツを指差した先を見たら、Tシャツのデザインがサイコロ2つとカジノって書いてあった。
カジノの中はスロットがいっぱいと、カードゲームとルーレットがあって、雰囲気は日本の大きめのゲーセンって感じやった。

お客さんはナバホ族の人ばっかりで、ナバホおっちゃんは会う人全員に、
こいつはjapaneseの旅人でおれが乗せてあげてるんだって自慢して、みんなも
おおー!お前本当にjapaneseなのか?すげー!ってなってた。

みんな目がくすんでて、目もオーラもキラキラしてなくて全然インディアンっぽくなかった。

カジノを後にして3時間ぐらいして、無事にウィンズローに到着した。 

ナバホおっちゃんが事故のお詫びに明日仕事が終わったらホピ族の居住区まで連れて行くって言ってくれた。

家泊めて欲しいって言おうとしたけど、なんか言いだせんくて、この日はモーテルに泊まることにした。

次の日ウィンズローの町を散歩してて気付いたけど、町はアメリカやけど、見かける人はみんなインディアンやった。

おばさん、おじさん、娘さんの3人で歩いてるインディアン家族に声をかけられた。

あなたは日本人?って聞かれてうん。ってゆったら、是非ピザをご馳走させて!って言われてお言葉に甘えた。

ホピを目指してることを言ったら、あそこの部族はインディアンの中でも特別なのよ。って教えてくれた。

おばちゃんが言うには、インディアンって一口にゆっても何10個も部族があってそれぞれ文化も言葉も精神性も全然違うらしい。

ナバホは白人文明を取り入れて、アメリカに帰化してるらしくて、イメージしてたインディアンらしさは皆無やった。
白人が来る前は狩猟、採集で食べ物を得てたらしい。
インディアンの部族の中でも一番大きい部族で性質は都会の郊外の日本人って感じ。
人に優しいけど、どっか虚しそうな、魂の火が消えかかったような印象を受けた。

ヒッチハイクで拾ってくれたおっちゃんの仕事が終わって、ホピに向けて車を走らせてくれた。

ウィンズローを出て、赤土でたまに膝丈ぐらいの小さい木が生えてる以外、見渡す限り何にもない荒野をひたすら進んでいく。

ドラゴンボールの最初の方でヤムチャとプーアルが盗賊してたとこみたいやなーって思ってたら、おっちゃんがこの先にホピのメサがあるって教えてくれた。


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