異常な気象条件の中での1戦 〜J2リーグ第15節 京都サンガFC vs レノファ山口FC プレビュー〜

取り急ぎ,京都サンガFC vs レノファ山口FCの簡単なプレビューを書きます。

はじめに言いますと,この試合は山口にとって今シーズンここまでで最も難しい試合になると思っています。
このnoteでは,そう考える理由を述べていきます。

前回の試合の振り返りはこちらです。


試合当日の異常な気象条件と京都のサッカーの相性

この試合が山口にとって難しくなると考える理由は,「京都という土地の気候,そして試合当日の天気予報と京都の志向するサッカー」にあります。

まず試合当日のキックオフ時間と天気予報を確認してみましょう。キックオフ時刻は14:00でその時間の天気は晴れです。そして,その時間の予想気温は33℃となっています。さらに,15:00の気温は34℃と予想されています。

どうでしょうか・・・はっきり言って異常ですよね。真夏日いや下手したら猛暑日の中で14:00キックオフなんです。5月にこの暑さになるなんて予想することは難しいでしょうからこれは仕方がありません。ただ,試合を見るにあたってこの条件を無視することはできません。それくらいの暑さです。

ここで考えたいことが,この気象条件が京都と山口のどちらに有利にはたらくのかということです。

「両チーム条件は一緒なのだから有利不利もない」ということはもちろん理解できます。しかし,それぞれのチームで志向するサッカーは異なります。また,プレーする選手も当然異なるわけです。志向するサッカーやプレーする選手が異なれば,条件は一緒だとしても,それが「有利不利もない」ということにはならないと思っています。

そう考えたときに,この気象条件が有利にはたらくチームは京都の方だと思います。なぜなら,京都は自分たちがボールを持つことで試合をコントロールできるチームだからです。

ここで京都のスタッツを確認してみましょう。Football-LABのデータによると,京都の攻撃回数122.5回(リーグ20位)であり,被攻撃回数117.9回(リーグ2位)となっています。ちなみに山口は攻撃回数が130.9回(リーグ9位),被攻撃回数が135.3回(リーグ18位)となっています。山口と比較してみても,京都のその数は少ないことがわかります。

この数字からは「ボールを取って取られての展開が少ない」ことが読み取れます。

この数字が少ない要因として考えられることは,攻撃面ではボール支配率の高さとパス数の多さです。ボール支配率は57.2%,パス数は583.6本でいずれもリーグ1位の数字です。ボールを自分たちが持つことで相手の攻撃回数を奪っていることが示唆されます。さらに,攻撃回数はリーグで20位と少ない数字になっているものの,30mライン侵入回数はリーグで2番目に多い42.3回となっています。ここから,決して自陣でボールを回しているだけでなく相手を押し込み自陣から遠ざけていることが読み取れます。

守備面でも,奪取のポイントがリーグで18位となっており,守備ではまず自分たちのバランスを整えることが重視されていることが示唆されます。

このように,京都は自分たちがボールを持つことで相手を自陣から遠ざけ,攻撃の機会を減らし,ゲームをコントロールしながら相手を走らせて仕留めていくという戦いを志向するチームだと言えます。

この試合で予想される気象条件の中で,ボールを走らせて相手を走らせることができるチームの方が有利にはたらくと思います。ですから,京都の志向するサッカーの方が山口よりも気象条件に適していると思うわけです。


ポイントは山口のゲームプラン

この試合のポイントは,山口がどのようなゲームプランで臨むのかという事です。おそらくやりたいことはヴェルディ戦と同じく,敵陣からプレッシングをかけながらコースを限定し,相手のボールを奪っていくことでしょう。これは変わらないと思います。

ただ,前節よりも気象条件は厳しく,ボール保持もうまい相手との戦いになります。この暑さでは,90分間同じテンションでプレスをかけ続けることはできないでしょう。もし,プレスをかけ続けられて攻撃回数が両チームとも多くなるオープンな展開になったとしても,京都には1vs1で勝てる小屋松仙頭がサイドにおり,ベンチにはジュニーニョ闘莉王などの1人でなんとかできる選手たちが控えています。ボールを取って取られての展開だって,必ずしも山口に有利に働くとは限らないと思います。

ですから,山口としては前節課題となったプレスに行く時と行かない時の判断が重要になると思います。全て行くことはできないと思いますから,行かない時も含めた90分間全体をどんなプランで戦うのかということに注目してこの試合を観戦したいと思います。

まずは両チームの選手,サポーターが無事に試合を終えられることを祈っています。それが1番大事かもしれません。


*文中敬称略
*データは全てFootball-LAB(http://www.football-lab.jp/kyot/preview/)のものを参考にしています。

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