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試合をより楽しむために敵を知ろう 〜J2リーグ第35節 FC岐阜vsレノファ山口FC プレビュー〜

J2リーグ第35節 FC岐阜vsレノファ山口FCのプレビューです。

前節の振り返りはこちらです。


対戦成績

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岐阜と山口は過去7度の対戦があります。対戦成績は岐阜からみて2勝2分3敗となっています。8月からこの形のプレビューを始めていますが対戦成績で山口がリードしているのって初めてぐらいじゃないでしょうか。

7度の対戦のスコアを見てみるとお互いに得点が良く入っていることが読み取れます。岐阜は7試合で10得点山口は7試合で16得点です。後述もしますが,今回の対戦が打ち合いになるかどうかは岐阜の出方にかかっていると思います。

今季の第1戦では山口が4-0と岐阜を圧倒しました。岐阜は大木監督から北野監督に代わった最初の試合がこの山口戦でした。北野監督は岐阜を率いて最初の試合をチームの状態を見極めるために使いました。ですから,今季の第1戦は全く参考にならないでしょう。

では北野監督に代わって数ヶ月が経過した今の岐阜はどういったチーム状況なのでしょうか。


FC岐阜の現状とあれこれ

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岐阜は現在6勝7分20敗の勝ち点25で22位に位置しています。最近5試合の成績は1勝2分2敗です。ちなみに北野監督が就任して以降の成績は3勝4分8敗です。監督交代後もなかなか勝ち点を獲得するペースが上がっていません。そんな中で前節の横浜戦の勝ち点1は殴られ続けた前半の戦いを考えると非常に大きなものだと思います。

何としてもJ2に残留したい岐阜は夏の移籍市場で積極的な補強に動きました。基本的には全て期限付きでの獲得です。松本から塚川孝輝大分から馬場賢治甲府からジュニオールバホス松本から當間建文の4選手を獲得しました。そして9月には横山知伸の獲得も発表されています。すでにこの新加入選手たちのほとんどは岐阜に欠かせない存在になっています。
一方でこれまで主力として活躍していた風間宏矢山岸祐也琉球山形にそれぞれ放出しています。また石川大地沼津に放出しています。

では岐阜の数字紹介に参りましょう。今回は5つです。

1.ホーム戦ここ10試合勝ちなし
2.リーグ最少の先制試合数
3.スタメン時平均獲得勝ち点でチームトップの柳澤
4.エース川西の状態
5.昨シーズンの10月の成績

残留争いをしていることもあり今季の岐阜に関しては正直厳しい数字になっています。
例えば,ホーム戦ではここ10試合勝ちがないということです。4分6敗となっています。ホームで最後に勝ったのは5月5日の琉球戦まで遡ります。残留に向けてはホームでの勝ち点が必要不可欠です。横浜戦の勝ち点1を山口戦につなげられるのでしょうか。北野監督もホーム初勝利が早くほしいところでしょう。

また,先制した試合が少ないこともこの現状を生んでしまっている要因だと思われます。ここまで33試合を戦い先制した試合は6試合でリーグ最少となっています。5.5試合に1回先制するというペースです。残留を争うライバルの先制した試合の数を見ても栃木は11試合鹿児島は10試合ですからここは岐阜の課題だと言えます。
ただ,先制した試合の勝率は66.7%と栃木,鹿児島と比べると高い数字になっています。ですから,いかに先制点を奪うかということがテーマになるでしょう。

選手個人で見ると,スタメン出場時の平均勝ち点が最も高い選手は柳澤亘です。チーム平均が0.76という中で,柳澤はチーム唯一の平均勝ち点が1を超えている選手ですです。勝ち点1が重要な意味を持つ残留争いにおいて数字だけを見れば柳澤は起用されて欲しい選手だと思います。

そしてエースの川西翔太の状態が気になるところです。彼はチームトップの6ゴールを挙げており,かつゴールを決めた試合は3戦3勝となっています。チームを勝たせられる選手なのですが前々節の水戸戦で負傷交代,前節は欠場となっています。彼の復活と新たな選手の台頭が望まれます。

最後に岐阜にとって良い数字をご紹介しておきます。それは昨季の10月の成績です。昨季の10月の成績は2勝1分1敗です。ホームでは連勝,アウェイでは昇格を果たした松本と引き分けています。今年もこの成績を収められれば勝ち点は32まで到達し,かつ10月の最後に行われる鹿児島との直接対決に勝利すれば勝ち点35にまで届く計算です。

もちろん昨季と今季の状況は異なりますが,昨季の良い印象を持つことは悪いことではありません。ただ,1つ気にかかることは昨季の10月の1敗というのが山口戦だったということです。つまり,この対戦はホームとアウェイが異なれど昨季と全く同じタイミングで迎えているということです。
岐阜としては10月のスタートを勝利で飾り「今年も10月で勝ち点を稼ぐぞ!」という機運を高めたいところでしょう。


レノファ山口の現状とあれこれ

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山口は前節福岡に勝利し,勝ち点が39に到達しました。今季の成績は11勝6分17敗です。最近5試合の成績は2勝3敗となっています。

最近5試合の成績を見ると勝利を挙げているのはホームとなっておりアウェイでは完封負けを喫していることが分かります。最近はアウェイの方が分が悪いのかもしれません。そのあたりを検証してみたいと思います。

では,まず今季全体で見るとアウェイの成績はどうなっているのでしょうか。

山口はここまでアウェイでは5勝3分9敗の勝ち点18ホームでは6勝3分8敗の勝ち点21となっています。全体で見るとそれほど差はありません。1勝の差です。

次に直近のアウェイ戦の成績を見てみましょう。

ひとまず前半戦と後半戦で分けてみました。
前半戦のアウェイの成績は4勝3分3敗の勝ち点15前半戦のホームの成績は3勝2分6敗の勝ち点11です。
後半戦のアウェイでは1勝6敗の勝ち点3後半戦のホームでは3勝1分2敗の勝ち点10です。

やはり最近はアウェイで勝ち点を奪えていないということが読み取れます。対戦相手との巡り合わせによる部分が大きいとは思いますが,後半戦はホームで勝ち点を稼いでいるという事実があります。

今季はアウェイであと4試合残っています。対戦相手は岐阜・鹿児島・町田・徳島です。最後にどれだけ勝ち点を積んで終えられるでしょうか。

そして,山口についての数字でもう1つだけ言及したいことがあります。
それは北野監督が率いるチームに対する相性の良さです。北野監督が率いるチームとは過去7度の対戦があります。讃岐時代に6試合・岐阜で1試合となっていますが,山口が通算で6勝1分と圧倒しています。

北野監督色が強くなっている岐阜に対して,山口は相性通りに勝利を収めることができるのでしょうか。


展開予想

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予想スタメンはこちらです。
山口はひとまず前節と同様にしてみました。個人的には川井を右に配置することには賛成なので楠本と前貴之の配置をどうするかだと思います。楠本が左SBでもいいですし,左SBに前貴之でも良いのかなと思っています。楠本は左SBで必ずしも攻撃の面でうまくいっていたとは思えなかったので。
岐阜のスタメンは読めない部分が多いです。今季のリーグ戦のスタメン起用選手数がリーグ1位という数字からも分かる通り,選手が固定できていない問題がやはりあると思います。そんな中で岐阜にとって絶対に外せない選手が左CBの當間建文です。もちろんGKのジーバースや北野監督の申し子である馬場なども欠かせない選手であることは間違い無いのですが,今の岐阜のサッカーの圧倒的キーマンが當間だと思いました。

最近の岐阜の試合は直近の横浜戦と1ヶ月前の栃木戦を観たのですが,どちらの試合においても當間の活躍が光っていました。栃木戦ではへニキとのロングボールの競り合いで見事に渡りあっていたのが印象に残っています。そして,横浜戦ではペナルティエリア内でイバを1人で止めるシーンがありました。このようにジーバースの前の門番として守備での貢献をしています。

しかし,守備者としてだけではなく岐阜の攻撃の起点としても多大な貢献をしています。横浜戦では岐阜のチャンスシーンのほとんどは當間の球出しが起点でした。特に當間から左サイドのタビナスへパスが出てからのタビナスの突破やクロスは可能性を感じたプレーでした。また,前方へ持ち運ぶこともできるためビルドアップで苦しい局面になっても1人で打開することができます。

山口としては當間からの球出しを制限する必要があります。おそらく今節も宮代と時に三幸が1stラインでのプレスを担当することになると思います。彼らがどれだけ當間に規制をかけることができるのかは大きな注目ポイントだと思います。

それから攻撃の最終局面で言えば,マイナスのクロスミシャエルのスピードには注意が必要です。栃木戦を現地で観て,岐阜はクロスに対してマイナスに入りたがる選手が多いという感想を持ちました。ですから岐阜のクロスに対しては山口のボランチがしっかりと戻ることが必要です。高と佐藤ならば大丈夫だと思いますが。

そしてミシャエルについてですが,とりあえず横浜戦の同点ゴールを見ておいてください。これで脅威が伝わると思います。

ゴールシーン以外にもカウンター時にスピードで相手を置き去りにするシーンが何度かありました。ヴェルディ戦でパライバに困らされた経験を活かして欲しいです。

岐阜の守備については岐阜の出方が1つの注目点です。横浜戦の前半はプレスにほとんど行かず自陣に引きこもり殴られ続ける時間を過ごしていました。しかし後半はプレスラインをセンターサークルの敵陣付近に上げブロックを作るだけではなくプレスに行くこともしていました。

つまり,岐阜の出方1つで試合展開が全く異なるものになるわけです。横浜戦では圧倒的に後半の戦い方の方が良かったので山口戦もおそらくある程度前に出てくると思ってます。

しかしそこは北野監督です。何かを仕掛けてくるかもしれません。岐阜の出方に注目したいと思います。


さてシーズンも残り2ヶ月となりました。良い形でシーズンを締めくくるためにも勝利が欲しい試合です。アウェイですが勝ち点3を期待しましょう。


*文中敬称略

*データは以下のサイトのものを参考にしています。
 Football-LAB (http://www.football-lab.jp/kyot/preview/)
 Soccer D.B.(https://soccer-db.net)
 J.League Data Site (https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
 transfermarket(https://www.transfermarkt.com)

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