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【朗読劇感想】星の王子さま

お世話になります。
佐野太基です。

今回は観劇した朗読劇『星の王子さま』の感想記事です!

世界的名作

星の王子さま。
この作品は読んだことはないけど、タイトルは一度は目にしたことがある人は多いのではないでしょうか。
ボクは15年ほど前に初めて読みました。年齢的にも丁度、大人にはなったけど、自分がイメージしていた大人とは違うし、周りの大人を少し軽蔑していたところは正直ありました。今考えると大人になることを拒絶していた自分がいたのかな?
まぁ、そんな訳で当時の自分の心境とこの作品に出てくる飛行士との心境がリンクしていたので、ふとした時に読み返す作品の一つでもあります(^^)

名作の舞台は失敗しない?

個人的な思い出は置いといて、星の王子さまという作品はおそらく、これまでに幾度も演劇化されてきたと思います。しっかりデータを取った訳ではないですが、『星の王子さま』『銀河鉄道の夜』は演劇化されてきた作品ランキングの上位に食い込むのではと。
今回の朗読劇もそうですが、演劇との親和性高い作品ですよね。キャラクターの言い回しとかも、役者として演じてみたい。

それにお客様にも案内しやすいと思うんです。
まず、ここまで有名な作品なら「見ないと面白くないかどうかがわからない」ということは無いから。事前にどんな内容か知ることができる。仮に面白くないと思ったら、無理に足を運んでもらうこともない。

作品自体好きで、知っている役者が出演しているなら、様々な面でお客様の負担も少ない。
今回、ボクが足を運んだ理由はまさにそこです。出演していた役者の一人とは同じ舞台に立ったことがあり、何度か飲んでいます。
その席で「星の王子さまを演じてみたい」といったことを言っていたことを憶えていたので、案内が来た時は純粋に役者仲間の夢が1つ叶ったことの嬉しさと、自分の好きな作品の朗読劇を観劇したかったので行くしかないでしょ!と思い足を運びました(^^)


感想

内容は知っていたし、好きなので作品の内容というよりは演出とかの感想になります。
役者陣の演技については、ボクが偉そうに言えることではないので。噛んだり、つっかえたりした場面もありますが、そんな時もあることは痛い程よくわかるから、そこは朗読劇自体のマイナスポイントにはなりません。

で、今回の一番印象に残ったのは、朗読に合わせて表示されるスライドショーのイラストでした!

多くの人が目にしたことのある、星の王子さまのイラストではなく、現代風のイラストで素敵でした(^^)
王子さまが様々な星に行き、その星の住人と話す時のイラストは、住人主観で王子さまが見上げる姿でした。その可愛さには性癖を捻じ曲げられるかと思ったほど可愛かったです#もう手遅れかもしれない。

ただ、気になった点が1つだけ。
物語の終盤で、王子さまと操縦士のこんな会話があります。

「これキツネだな…この耳ったら…なんだか角みたいだね…あんまり長すぎるよ」
そしてまた王子さまは笑いました。
「ぼっちゃん。ひどいよ、そりゃ。ウワバミの内がわと外がわでなくちゃ、なんにもかけなかったぼくなんだからねえ」

星の王子さま 岩波文庫

しかしスライドショーに映っていたのは、可愛らしい普通のキツネでした。
セリフも上記の文章そのままだったので、「角みたいな長すぎる耳のキツネがどこで出てきたんだ?」と思いました。

原作の絵をそのまま使う訳にもいかないでしょうし、スライドショーに映し出されたイラストは操縦士が描いたものではなく、王子さまが辿ってきた軌跡をありのまま描いたものであれば、キツネも普通の耳したキツネで問題ないです。で、あれば原作のキツネの絵を笑う王子さまのセリフを無理に入れる必要もなかったような… でも、そこを省くと原作ファンからは色々言われるのかもしれませんね。昨今、原作と脚本の乖離は大きな問題ですから。

私が星の王子さまという作品が好きな理由の1つに、操縦士がかつて絵描きを諦めた理由となった、大人たちはまるで理解できなかった自分の絵を王子さまだけは理解した部分にあるんです。

キツネの絵にしても、原作では王子さまは耳がオカシイことには言及してますが「これは何?」とか「キツネに見えないよ」とは言ってないんです。
だからこそ、王子さまに操縦士は心を開いて掛け替えのない時間を過ごしたのだと思うので。

とは言え、ボクの席からはキツネの耳がハッキリ見えなかっただけかもしれませんし、「スライドショーに映し出されたイラストは、物事の本質を見抜く王子さまの目から見たものです」と言われたら、反論の余地はないのですが。

結び

最後には批判的なことを言いましたが、まぁこれはボクの思う星の王子さま像との違和感ゆえだと思ってください。
作品は勿論ですが役者の演技、会場の雰囲気含めて楽しい時間でした!#ビールを飲みながら観劇できるのが最高

これだけ有名な作品だと、扱いやすい反面、原作ファンからは「自分のイメージと違う!」と言われる危険性も孕んでいることでしょう。ただ、名作や自分の好きな作品の舞台化は役者として演じてみたいし、観客としても観てみたい。

今後も自分の理想とするエンタメを実現する為に精進します。
佐野太基でした。

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