破片が刺さればもうそれ以上はない

爪と髪の触れたものがいつも一歩で帰ってくる
一枚だった顔をして私の背中に噛みついている
だだっ広い駐車場で短く鳴らされるクラクションから金属の骨を抜き取ろうとしてできない
残響は塀のすみで庇うように丸まって染みになっていく
月夜の猫が屋根で日に当てられている
十字路の真ん中には子どもの泣き声がある
空も肌も血も肺も同じにあたためられて踏み出した足が薄い雪を踏む
私を燃やした裏庭で今捨ててきたばかりの瓶がまだ燃え上がろうとしている

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