マルコム・マークスをどう使うか:東芝ブレイブルーパス対クボタスピアーズマッチレビュー<2>
2月27日の東芝ブレイブルーパス対クボタスピアーズのレビュー第2回。
クボタのアタックを今回のテーマにするつもりだったが、その前に両チームの攻撃の基本パターンをまとめておきたい。
9シェイプ・順目を基本とする東芝
まずは東芝。
前回見た数字からもわかるように、東芝はキックは上手く使えていたが敵陣でのボールロストが多く、キックで取れたテリトリーを有効に使えていなかった。その1つの原因は攻撃が単調だったことだ。
基本的なパターンはブレイクダウンから9シェイプへのパス、そして再びブレイクダウン。その後も9シェイプに順目へのパスを繰り返す。
こう言う攻撃は単調になりがちだが、ラックから素早くボールを出せれば、相手側のディフェンスにほころびができることがある。しかし、そうはいかなかった。
この試合、お互いにブレイクダウンでのボールロストが多かったことからもわかるように、お互いラックに激しく絡んでいた。そのため東芝は素早くリサイクルができなかったのだ。素早くリサイクルができないと言うことは、その間にディフェンスが整っていると言うこと。
そこにまた順目で9シェイプにパスすることは、シールドロックに正面からぶち当たることに他ならない。キックでどれだけテリトリーを稼いでも、シールドロックをまともに相手することになってしまっては地上戦で前進できないのは必然と言える。
その中で取れた豊島のトライとノックオンになってしまった「幻のトライ」は、いきなりテンポを変えてタッチライン沿いに素早くボールを回したときだ。9シェイプで縦を突きつつ、タイミングを見て大きく展開するというのが東芝の攻撃プランだったのだろう。
ポッドの距離が離れているクボタ
一方クボタ。クボタのアタックの特徴は3つあった。1つは、9シェイプのポッドと10シェイプのポッドの距離が離れていること。
これは以前取り上げた1990年代末の早稲田大学のワイドライン同様、ディフェンスラインの幅を広げることができる。
しかし、スクラムハーフとスタンドオフの距離が離れるため、相手がラッシュアップディフェンスを仕掛けてくるとインターセプトのリスクを含め、自分たちが使える「時間」が少なくなるリスクがある。
しかしこの試合のクボタは、東芝がラッシュアップディフェンスを仕掛けてきたことを逆用して背後へのキックを多用していた。
しかもこの日のバーナード・フォーリーのキックは非常に正確で、このキックが有効に機能していた。
エッジに立つマルコム・マークス
もう一つは、マルコム・マークスをタッチライン沿い(エッジ)に立たせること。
通常、エッジにフォワードが立つ場合は第3列が立つ。フッカーを立たせることはあまりない。
ただ、マルコム・マークスがNTTコミュニケーションでプレイした昨シーズンも、マークスをエッジに立たせる攻撃があったので、これはクボタというよりマークスを活用する戦術なのかもしれない。
ダブルスタンドオフ的に立川を活用
そして3つめが、9シェイプ、10シェイプだけでなく、12シェイプを上手く使ったことだ。
特に、12番の立川理道はスタンドオフもこなす、キックやパスの能力も高い選手だから、ダブルスタンドオフとしての攻撃ができる。その立川の特性を上手く使った攻撃が展開された。
こうした特徴が出た攻撃でトライを取ったのが22分の攻撃だ。明日は等々力に川崎フロンターレ対徳島ヴォルティス戦を見に行くので、次回はあさってになるが、その22分の攻撃を細かく見てみよう。
(続く)