ブレイクダウンの激戦:東芝ブレイブルーパス対クボタスピアーズマッチレビュー<1>
気づいたらトップリーグも第3節まで終了。第2節のレビュー書き終わってないのに追い抜かれてしまった(笑)。
第3節の試合は予定があって行けなかったので、第4節の前にとにかく第2節を終わらせよう。
ということで第2節、東芝ブレイブルーパス対クボタスピアーズのマッチレビュー。2回の予定で今日は第1回。
(写真はうっかりインスタのアカウント名で書き出してしまった・・・・)
最終的には39-7でクボタが圧勝した試合。まずはいくつかの数字をチェック。
得点機会、12対5!
まずは得点機会から。私がレビューするときの得点機会の定義は、22mラインを越えて自軍ボールを確保できた時。なので、敵がボールを持っていたら得点機会とは見なさないし、ただボールを蹴り込んだだけの時も含まれない。
まずは勝ったクボタから。時間は22mラインを越えた時間、その後ろに書いてあるのは結果。ボールロストの場合はその理由。
まずはクボタ。
14分:ノット・リリース・ザ・ボール
18分:ラックでターンオーバー
22分:トライ
40分:トライ
53分:トライ
55分:トライ
59分:ドロップアウト
60分:ミスパス
62分:トライ
69分:モールアンプレイアブル
76分:ラックでターンオーバー
78分:トライ
なんと圧巻の12回。そのうちの6回がトライなので、実際に得点に結びつけたのは50%ということになる。6トライの圧勝ではあるが、得点機会の中でのトライ率50%というのは低い方だ。
次に東芝
3分:ラックでターンオーバー
9分:ノックオン
29分:スクラムでターンオーバー
35分:ノックオン
48分:ラックでのオフサイド
67分:トライ
東芝は6回。それほど少なくはないが、クボタの半分というのは目立つ。そしてそのうちに得点に結びつけられたのはわずかに1回。9分のノックオンというのは、トライ寸前にボールを落としてしまった「幻のトライ」。わずか5回というのは少なすぎる。これでは勝てない。
キックはほぼ互角
この攻撃機会の差はどこから来たのか。そのヒントになるかもしれないのでキックを見てみよう。
クボタ
再確保:1回
プレーエリア前進:9回(前半4、後半5)
後退:1回
リターンキック:2回
フェアキャッチ:1回
その他:1回(ショートパントをキャッチされてカウンターを受けたが、TMOの結果オブストラクションとなった31分のプレー)
東芝
再確保:3回
プレーエリア前進:7回(前半4、後半3)
後退:4回
リターンキック:1回
得点機会を比較してみて12対5だったので、東芝はほとんどキックを使えていなかったのかと思ってみると、そんなことはない。再確保の回数は東芝の方が多く、合計で10回、キックを使って前進できている。この回数はクボタと同じ数だ。後退4回という数字が気にはなるが、キック戦術を使ったテリトリーの前進、ということで言えば十分合格点を出せる数字だ。
ボールロスト、東芝25、クボタ20
だとするとボールロストが多い、と言うことが推測できる。ではボールロストマップを見てみよう。
ちょっと驚くような数字だ。東芝25回、クボタ20回。ボールロストを数え始めてから最大の数字。ここでも、「ボールロストが少ない方が勝つ」という法則が当てはまった。
注目すべきは、ラックでのターンオーバーやノット・リリース・ザ・ボールのような、ブレイクダウンでのボールロストがクボタ5回、東芝6回(他にモールアンプレイアブルが1つずつ)あることだ。これは相当多い数字で、それだけ接点の攻防が激しい試合だったことを物語っている。
クボタは39点取った割には、ボールロスト20回というのは多い。しかも22mラインを越えてから9回と言うのも多い。それが、得点機会12のうち6回しかトライに結びつけられなかった理由だろう(得点機会との計算が合わない理由は、ボールロストしてから再奪取してトライしたケースがあるため)。これは攻め込まれながらも東芝のディフェンスが激しく立ち向かった結果と言えるだろう。
一方東芝のボールロスト25回。うち自陣22mライン内側の3回は終盤になって自陣からでもリスクを取って回した結果なので数字としてはあまり意味がない。
注目したいのは敵陣でのボールロスト回数17。これは80分あたりで計算しても5分弱に1回ボールを失っていることになる。5分に1回でもかなり多いが、敵陣にいる時間はもっと短いから、さらに頻繁にボールを失っていた計算になる。そうなると、キックを効果的に使って前進できていたとしても得点に結びつかないのは必然と言えるだろう。
これはクボタのディフェンスの激しさを示している。東芝がいくら前進しても、クボタディフェンスにボールを奪われてしまうため、これだけの差が付いてしまった、と言える。特にハーフラインを越えてから22mラインを越えるまでの間に9回ボールロストしてしまっている。この中盤のクボタのディフェンスが効いたと言えるだろう。
こうしてみると、東芝はキックでテリトリーは獲得できているものの、地上戦でクボタのディフェンスを攻略できなかったことが読み取れる。一方クボタは、キックの成功率は東芝と大差ないのに、東芝を圧倒する12回の得点機会を得ている。そこで次回はクボタの攻撃パターンを見てみよう。