4-1-2-3対4-2-3-1(8月29日フロンターレ対エスパルス戦<2>)
今年のエスパルスはポゼッションサッカーへの変化を標榜している。基本フォーメーションは4-2-3-1。対するフロンターレは今年の基本形、4-1-2-3。この試合、ハイラインで臨んだエスパルスに対し、フロンターレのゼロトップの威力が遺憾なく発揮された
コンパクトなマッチアップ
今年のエスパルスはポゼッションサッカーへの変化を標榜している。基本フォーメーションは4-2-3-1。対するフロンターレは今年の基本形、4-1-2-3。この試合、フロンターレのゼロトップの威力が遺憾なく発揮された
写真で見るとわかるが、エスパルスが最終ラインを高く保ったこともあって、全体がものすごくコンパクトになっている。
こうなると、当然、エスパルスの最終ラインとフロンターレのインサイドハーフの距離も近い。
5トップ?
インサイドハーフにボランチがマークにつくでもなかったため、事実上5トップのような形にさえなっていた。
ゼロトップシステム(4-1-2-3)の優位
こうなるとゼロトップシステムの優位がはっきりと出る。下記の図で示したように、ゼロトップのダミアンとインサイドハーフ二人に対し、エスパルスのセンターバック二人とボランチ二人で守るにしても、マークが曖昧になってしまう。
センターバックがダミアンに寄るとインサイドハーフの前が空くし、ボランチがインサイドハーフに付くと中盤にぽっかりとスペースができてしまう。また、このポジショニングでボランチがインサイドハーフのマークに入ると、事実上6バックのような形になってしまい、攻めるのが難しくなる。
これが4-1-2-3の4-2-3-1に対するポジション上の優位性であるし、まさにこうやって4-2-3-1に優位に立つために編み出されたのが4-1-2-3ということでもある。
また、高く保つのは中盤の密度を高めるためにはいいのだが、フロンターレの最終ラインにもアンカーにもそんなに厳しくチェックに行っている訳ではないから、裏のスペースを狙った縦パスがしばしば見られた。
ハイラインのリスク
以下の二枚は、前半17分、センターバックの山村が一気にエスパルスの裏のスペースを突く縦パスを蹴った場面。
齋藤学のドリブル突破も何度もあったが、それはだいたいこんな形で裏のスペースを上手く使っていた。
こういったところを見ると、エスパルスは最終ラインをここまで上げるべきだったのだろうか?ということは考えた方がいいような気がする。
ただし、この試合のエスパルスはロングボールを多用していた。だとすれば、最終ラインを上げることについては理屈は成り立ってはいる。それが正しい選択であったかどうかは疑問が残るが。(続く)