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ある日曜日

昨日は夜中までzoomで飲んでいたので、10時ごろ起きて昼までのんびりしていた。
ご飯食べてスマホいじって、「100人に1人の逸材」「同期の中で頭ひとつ抜けている」なんて上司が私のことを自慢していたのを思い出しながらアイスを食べた。心にもないお世辞がひんやりと漂っていた。アイスは、コンビニでだいぶ前に買ったロカボバニラアイス。卵の味がしっかりしていたので、薄味で物足りないなぁとは思わなかったけど、ミルク感が薄くて満足度はそこまで高くなかった。
昼過ぎから洗濯物を干してシャワーを浴びて、メイクをした。
16時に美容院。当初の予定では縮毛矯正とカットだったが、美容院のお兄さんと話してカットだけになった。美容院の人達と話すのは楽しいけれど少し疲れる。他の友達と会って話す時もそうだから、人と話すこと自体疲れやすい体質なのかもしれない。いっぱい気を使ってしまうから疲れるのだと思う。気を遣わないで気楽に喋れる、甘えられる人は数少ない。高校の友人達と、先輩達と、お父さんくらいかもしれない。もう少し悩めばいっぱい出てくるかも。
疲れたけど家に帰るとまた引きこもりになって暗くなってしまうので、わざと家と逆方向に歩いた。
朝ご飯が11時でお腹が空いていたので、昼ご飯とも夜ご飯ともつかない食事を取ることにする。
練馬駅から15分くらい歩いたところにある、住宅街の一角にあったインドカレー屋に入った。小さくて、少し雑で、誰もいなかった。
何故か欧米人のような見た目の背の高いお兄さんがお店をやっていた。でもカレーはすごく本格派で美味しかった。あのマトンカレー、旨味がギュッと詰まって、それがスパイスでキュッと纏められてて、マトンのお肉がほろほろで肉の旨味が溢れてきて、とにかく美味しかった。ナンは普通。この普通というのは、インドカレー屋のナンがすでに格段に美味しくて、その中では平均という意味なので、いうなれば特上の中くらい。真ん中の薄くてパリパリしているところはそのまま食べて、周りのふわふわもちもちのところはカレーにつけて食べた。美味しかった。
店は相変わらず客の私1人とお兄さんだけだったが、たまにテイクアウトで近所のおばちゃんやらが訪ねてきた。Googleにも出てこないお店だったが、この辺の人には人気なのかもしれない。
店を出て、高円寺まで歩いた。1時間くらい。その間、小麦粉とバターのこと、来週の仕事のこと、職場の先輩のこと、自分の恋愛のこと等について考えた。どれも結論が出せないことだったので、なんだかモヤモヤしてしまった。
高円寺で、目をつけていたバーを覗くもほぼ満員だった。お一人様なら入れそうだったけど、土曜の夜の活気の中一人で飲むのはなんだか寂しい。
予定変更して、読書カフェに行く。初めてのカフェだったのでキョロキョロしてしまう。でも出て行く頃にはリラックスしていた。家から家に戻るような、不思議が落ち着きがあった。カフェの中では、本を読んだり、店内に置かれていた日記を読んだり、絵本を開いたり、美術史の本をめくったり、小説の続きを書いたりした。美術の本の一つに、ユトリロの画集が入っていて、つい懐かしくなって手に取ってしまった。高校時代、高校の敷地内にあったギャラリーでユトリロの展覧会が開催された(私立でお金のあるマンモス校だった)。そこで私はユトリロの白の時代の作品に触れ、すごくワクワクしたのを覚えている。ただの白を表現するために、すごい執着を持って描く人がいるもんだ、と驚いたと同時に、このくらいどうでもいいことを突き詰めていいんだ、と浅はかにも人生の自由をほんの少しだけ悟ったのだった。それを思い出しながら書いた小説は、どうも書きたかった内容よりも少し夢みがちで、あとで書き直さなきゃなぁ、と頭の隅で思いつつ、心と手は止まることを知らなかった。それが妙に面白くて、うすら笑みを浮かべながら店を出た。
店を出てからメガネケースを置いてきたことに気づいたが、戻る気分じゃなかったので、今度新しいメガネケースを買おうと高円寺の商店街の雑踏の中で誓った。

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