『みなさん、さようなら』(2003/カナダ,フランス)

センスがあるのかないか分からない微妙な邦題なのだが、原題は『蛮族の侵入』である。ちなみに蛮族とは父親にとっての息子を意味している。劇中では、仲の悪い親子が末期がんの父に対して向き合う姿が淡々かつコミカルに描かれる。重すぎず軽すぎないバランスが素晴らしい。

劇中に語られますが、末期がんの父親は《好色の社会主義者》で、息子は《野心的な資本主義者》である。この二つは相対する主義であり、父親と息子の仲は悪い。「世界一の病院を手配した」という息子に対し、父親は「贅沢な病院は主義に合わない」として、設備の古い病院から動くことを拒みます。匙を投げようとする息子に対し、婚約者と母親は父親を助けるように説得します。成功したビジネスマンでもあり、資本主義者の息子は、財力を使って父親の望みを叶えていきます。

息子を拒んでいた父親も次第に心を開きはじめる。息子の施しによって機嫌が良くなったんですが、それはすべて、資本主義的解決によるものだ。息子は非合法なことに足を突っ込みながらも、父親を望みを叶えるために奮闘します。そこでトラブルもあるんだけど、やり手のビジネスマンらしくスマートに解決していく。
まるで資本主義が社会主義より格上だと言わんばかりで、社会主義者の父親があわれにも見えちゃいますね。
でも最後に父親が「お前のような息子を作れ」と息子にいうので、最後には親子の間の溝が少しは埋まったのかなと思いました。

(面白さ:★★★★★★★★★☆)

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