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『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015/アメリカ)

「あらすじなんかない」
「行って帰ってくるだけの映画」
「とにかく絵面が汚い」

そう言われたらマッドマックスしかないですね。
あらすじは無いと同意なので、今回は悪役と主役の男の話をします。
 
本作の悪役はイモータン・ジョー。とにかく醜い爺さんです。
強力な独裁政権を築き上げ、洗脳したウォーボーイズに忠誠を誓わせる。まるで腐敗しきった権力の象徴ですね。美しい装飾品で着飾っても醜い。
ジョーは女たちを奪われるのですが、それを取り戻すために仲間を総動員して追いかけまわす。その精神も醜い。まさにダークサイドに堕ちた父性です。

次に主役。主女戦士フュリオサが主役のように見えるけど、主役は元警官のマックス。
マックスは強烈な目的意識を持つフュリオサとは違い、特に何かやりたいことはない。なりゆきで彼女をサポートすることになってしまう、いわゆる巻き込まれ型主人公。でも淡々と仕事をこなすタフガイ。孤高に美学を貫く父性です。

父性的な観点で見るとジョーとマックスは真逆。
暴走して全てを支配したがるジョーと自分の美学に沿って仕事をこなす孤高のマックス。
そりゃマックスの方がカッコいいけど、どっちも極端な男二人である。

これは2015年の映画で監督のジョージ・ミラーは当時70歳。
荒廃した世紀末のような世界を舞台に、人食い男爵とかギター男とか自分の世界観を全面に押し出して、CGも使わずにめちゃくちゃやった映画だと思います。

なのでその流れで、極端な父性としてジョーとマックスを登場させて劇中で戦わせたんじゃないかと思いました。どっちにも一回は憧れるけどどっちにもなりきれない思いをマッドマックスで表現したんじゃないかな!?

もう一人の男としてウォーボーイのニュクスという奴が出てきます。
ニュクスは中間な存在に見えます。極端な父性のどっちかに憧れるけど、実際はどっちにもなれず、戦争という仕事に搾取される哀れな男であるが、どっちにでも慣れる可能性を秘めた幅のある男として登場させたのかもしれないですね!

(面白さ:★★★★★★★★☆☆)


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