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旧作の紹介と解説 vol.2 在庫あり編 ※旧ブログより転載

旧ブログに載せていたhamada tamonが今まで作成した旧作品の紹介及び解説を転載します。第二弾は現在フィジカル在庫ありの作品の紹介。トータル1万字超えの長文の連続ですが、それほど熱意をもって作っていたのだと解釈して頂きたい。

以下の作品はBASEで購入可能です。やや割引してます。

・地方都市の憂鬱 -city and suburban blues - (2013 hmd-001 CD)


1.テラテラと
2.ある男、北の男 -illⅡ-
3.飴以上水飴未満
4.ああ!あとがない
5.illⅢ
6.その後の13時間
7.祭りのあと
8.大都会の夜景

企画・作詞・作曲・演奏・録音・編集:濱田多聞
デザイン 24、濱田多聞
撮影・レイアウト・画像処理・印刷 24
企画・制作・販売:hAmAdAyAmA recordings

在庫有り 1000円(歌詞カード・帯付)

地方都市の憂鬱にまつわる箇条書き


・録音は2012年の3月頃からスタートした。要領の悪さと技術不足により曲を録音しては消して、もう一度最初から録音してはまた消して、みたいなことを繰り返していたら4月頃に左手薬指の腱鞘炎を発症。楽器が全く弾けなくなり、治りも悪く途方にくれて録音を放棄。

・指が完治してきた5月から9月にかけては録音をほとんどやらずにライブ活動や新曲作りに重きを置く。結果的に「ある男、北の男 -illⅡ-」「大都会の夜景」といったアルバム収録曲が生まれた。

・9月中旬頃から録音再開。歌の録音の難しさに苦しむが、録音技術や機材の問題より歌唱力に問題がある、という根本的なことに気がついた。同居人が家にいない隙に歌の録音をしていたつもりだったが、夢中に熱唱していると隣の部屋の扉を開ける音とか人の気配を感じたりして気まずい思いをしながら地道に録音していた。肺活量のなさを痛感。

・今回のアルバムは11年くらい前に買ったROLAND VS-880expantedで録音している。プロツールスなどDAW全盛のご時勢には珍しいかもしれないがこれしか持っていないのだから仕方がないだろ。山本精一は名機と語っているが、自分はあまりそう思わない。8トラックしかないので必然的にシンプルさと無駄のなさを心がけた録音をしなければならなかったが成功しているのかどうかは今の自分には何とも言えない。ピンポン録音は「祭りのあと」のコーラスのみで使用。

・選曲に関しては、本当は9曲入りにしたかったが時間と実力とレコーダーの容量の問題で8曲入りになった。merihariのある選曲を心がけた。つもり。

・ジャケットの写真は11月初旬に仙台の追廻という戦災復興住宅街で撮影した。自分の家の近所であり、よく散歩して歌詞を考えたりする場所だったから選んでみたのだが、久しぶりに行って見たらほとんど家がなくなっていて(この場所は仙台市が公園を作りたいとかいう理由で住民に立ち退きを求めたりしていた)色彩豊かな草木が生い茂りすぎていてロケーションとしてはサイケデリックだった。

・撮影担当者とは7月の落合soupでのライブで初めて出会った。同い年で聴いてきた音楽が近く、長年の友達と一緒にいるような感覚を初対面で感じた。その後、彼が撮影してくれたライブ写真やこれまでに撮りためたflickrを拝見し写真のことはよくわからないが、単純に美しくかっこいい写真ばかりだったので驚いた。11月にyumboのライブを見るために仙台に遊びに来るという連絡を貰ったのでアルバムのジャケット写真を仙台で撮って欲しいとオファーを出した。

・撮影に関しては録音が6,7割終了した時点で行った。アルバムの全体像がこの時点ではまだつかめず、オファーしておきながら写真を撮られることが恥ずかしかったり、打ち合わせも不十分だったのでフォトセッションの出来上がりを見てお互いに反省したりもした。自分の被写体としての躍動感のなさに驚愕した。今後も彼と作業することがあるだろうから今回の経験を生かしたいものだ。

・ミックス中に爆音を出しすぎてスピーカーの調子が悪くなった。最終的なマスタリング風作業や波形編集はフリーソフトでやった。完成品を聴くと専門家に頼むべきだったのだろうと思うことが多いが、あとのまつりだ。

・「地方都市の憂鬱」というタイトルは12年5月の喫茶ホルンのライブのフライヤーに載せるプロフィールに何気なく書いた「地元を大して愛していないので地方都市の憂鬱的な世界観を持った曲が多い」という嫌な感じの一文が元となっている。「地方都市の憂鬱」という曲もTrashcan Sinatrasの曲に日本語詩を付けたバージョンと完全オリジナルバージョンが存在していてどちらもライブでやっている。アルバムにも当然入れようと思ったがアレンジが定まらず泣く泣く今回は収録できなかった。アルバムタイトル曲がアルバムに入っていないが歌詞だけは載っているというThe Only Onesの「Baby's Got A Gun」というアルバムのやり方を真似した。

・英題の「city and suburban blues」はGallagher and Lyleという気品溢れる英国のフォークデュオの1stアルバム(名盤)に入っている曲名から引用。英国のプロトパンク型グラムパワーポップバンドJOOKもこの曲をカヴァーしている。

・ジャケの印刷や裁断は撮影担当者がKレーベルなどから影響を受けたDIY精神を発揮してやってくれたのだが、代償としてプリンターが壊れたらしい。申し訳ない。CDの組み立てはパティ・スミスが仙台公演を行っている頃に家で一人で黙々と組み立てた。

・敬愛するsakanaのpocopenさんがソロアルバム(名盤)を作り終えた際に相方の西脇さんに「私こんなに頑張ったのはじめてかも」と語ったとされる話が好きなので今回のアルバムの制作中に頭の中で反芻していたつもりだったが、作り終えてみると「もっと頑張れたはずなのになぜ頑張れなかったのか」という言葉だけが残った。

・前作「家ライブ」を出した2010年は作品もなかなか売れず、ライブにもほとんど呼ばれず(1本)いろいろ打ちのめされるようなこともあったのだけれど、少ないながらも大切に自分の作品を聴いてくれた人やライブに呼んでくれた人、作品をお店に置いてくれた人が居てくれたおかげでこの作品につながったと思っている。(2013.02.04のブログより転載)

・お茶を濁す ~hamada tamon is the coolest person 2001-2013~(hmd-002 CD)


曲目

1.love or wilson(stratocasters 2001)
2.ああ!あとがない ver1(demo 2010)
3.誰のためにお洒落するの(the hamadayama! 2008)
4.俺のためにお洒落してくれ(live 2011)
5.コーヒーはもうたくさんⅡ(demo 2013)
6.展覧会の絵(out take 2012)
7.祭りのあと(live 2013)
8.mudai(demo at nara 2003)
9.ある男、北の男1 -illⅡ- (out take 2012)
10.唄に歩けば(live 2013)
11.のみぐすりとしごとⅡ(live 2013)
12.花について(demo 2013)
13.13hours(stratocasters 2001)
14.Картинки с выставки(out take 2012)
15.お茶を濁す(live 2013)

作詞・作曲・演奏・録音・編集 濱田多聞

ゲストプレイヤー
大谷直樹(エレキギター #4)
高橋朝(パーカッション #4)
澁谷浩次(オートエミリオン #7)

ジャケット画:こるねブックス

デザイン・レイアウト:24

企画・制作・販売:hAmAdAyAmA recordings

価格:1000yen(税込 歌詞カード・タスキ型帯・栞付)

編集盤「お茶を濁す」全曲解説

1.love or wilson

奈良県生駒市に住んでいた頃、stratocastersという名義で2001年にカセットでリリースした作品のA面に収録されていた曲。いこま荘というそれなりに広いが鍵が上手く閉まらないアパートで4トラックのMTRとラジカセを使ってピンポン録音で制作したが、今聴くとデジタル録音では出せない音の質感がよいように思った。当時(24,5歳)はモンドミュージックなんかを熟読していたのでセンスがよいと思われたいと思って作った曲。仙台に戻ってからyumbo澁谷氏や五歳児(当時)とやっていた銚釐というユニットでこの曲を元に歌(英語)を入れたバージョンをライブで演奏しその模様がyumboの編集盤「vespid collection」(廃盤?)に収録されたことはあまり知られていない。さらにそれを日本語化して「俺のためにお洒落してくれ」という曲に発展した。カセットのアートワークとマスタリングは奈良のtalulah goshなどと形容されていたこともあるstrawberry landというバンドで一緒に演奏していたazuma氏が担当してくれた。strawberry landは7インチやカセットのリリースがあるので(私は一切参加していないが)興味がある方は探してみるのもいいかもしれない(但しhard to find)。

2.ああ!あとがないver1

今年1月にリリースした「地方都市の憂鬱」に収録されている曲の初期バージョン。いろいろあって異様にやさぐれていた時期に作って録音した記憶がある。かなり長期間soundcloudにも上げていたりしたが、極一部のマニア以外からは特に反応もなく再生数も上がらず削除した。このバージョンはAメロ→Bメロ→サビという展開でサビに出てくる「地方都市の~」とか「大都会の夜景に~」などという歌詞のフレーズから分るとおりアルバム「地方都市の憂鬱」の世界観の雛形とも言える曲だった。

3.誰のためにお洒落するの

the hamadayama!名義で出した1stCDR「a six song mini」(2008)に収録されていた曲を若干(RE)MIXしたりeditして再収録。2007年のhamadayama!デビューライブから2013年現在に至るまで結構な頻度でライブで演奏している。歌詞、メロディーともに自分でもかなり気に入っているポップソング。この曲を超えるようなポップな曲が書けないことが悩みでもある。

4.俺のためにお洒落してくれ

2011年の夏に栃木県鹿沼市のブックマート興文堂店頭(路上)で行われた「真夏の夜のシャツ」というイベントに参加した模様をカセット録音した音源。店頭ゆえに走り去る車の音がいい感じで録音されていて気に入っている。ゲストとして大谷直樹氏(PAN,maher shalal hash baz,国旗)と高橋朝氏(シェシズ,maher shalal hash baz,興文堂社長etc)という猛者二人がそれぞれエレキギターとパーカッションで特に打ち合わせもなく即興で参加してくれた。ダニエルジョンストンとマザケインコナーズが一緒に演奏しているような・・・というのは誇張しすぎだが今まで録音した自分のライブ音源の中では最も気に入っている。

5.コーヒーはもうたくさんⅡ

現時点での最新録音。元々は私も参加しているロックバンド「que sera sera」用に書いた曲だが、今年PCに導入したcubaseの最下位versionを使用し歌以外は打ち込みで作成。東北やスコットランドのギターバンドにありがちな打ち込みを導入して評価を落とす感じを真剣に狙って作った。この曲を収録すべきかどうかは最後まで悩んだが、自分は高校生の頃にテクノがやりたくて音楽をやり始めたということを再確認する意味でこの曲を収録することにした。高校時代にprodigy(初期)や808state,shamenなどのCD・レコードを買うために胸をドキドキさせながらシャルにあったタワーレコードや中央通りのグレートミュージックやレコードギャラリーに通っていた頃を思い出しながらコツコツと打ち込みした。そのせいか打ち込みのセンスが古い。32分音符のステップ入力を多用するところはvitamin以前の電気GROOVEからの影響。

6.展覧会の絵

アルバム「地方都市の憂鬱」に収録しようと思い、時間をかけてアレンジを考えて録音したものの初歩的録音ミスによるノイズが気になり泣く泣くボツになってしまったラブソング。08年頃に作った曲でこの曲を好きだと言ってくれる人が多かったのだが、自分の注意力と詰めの甘さを嘆く結果となってしまった。しかしながらアレンジやボーカルの録音はとても気に入っていたので何らかの形で世に出したかった。ブリッジでの波形編集が超楽しかった。

7.祭りのあと

今年の2月に喫茶ホルンで行ったレコ発自主企画での録音。ブラザー社のオートエミリオンという使い勝手の悪そうなキーボードをyumboリーダー兼喫茶ホルン店主の澁谷浩次さんが弾いてくれている。ライブ前の練習では活字化不可能な無駄話に終始してしまいあまり入念に練習できず、本番もなかなかのぐだぐだっぷりであまり思い出したくは無いが、この曲に関しては郷愁と哀愁が感じられる演奏でアルバムの中間地点に配置するにはぴったりだった。

8.mudai

02年~03年頃に奈良のアパートに篭って作った沈鬱なインスト。当時持っていたAKAIのDPS12というMTR(かなりの名機だったがぶっ壊れたことが悔やまれる)で録音した。録音とか演奏の癖(丁寧にやりすぎる所など)は近年と余り変わっていないことが確認できる。09年にリリースした編集盤CDR「400円のロック」に収録。

9.ある男、北の男Ⅰ-illⅡ-

「地方都市の憂鬱」収録曲の最初のバージョン。アレンジはケセラセラバージョンが基になっているが、なんだか丁寧すぎるしまったりしすぎていて元気が無いと思いボツになったが、今聴くとムーディな感じは悪くない。初期のFELTを意識したつもりだがあまりUKっぽくならないのは業なのかオリジナリティなのかよくわからない。

10.唄に歩けば

2013年5月11日に栃木県鹿沼市のブックマート興文堂で行われたワンマンライブからの1曲。この日はワンマンということも有り己のキャパシティを超えてしまいミスだらけの追い詰められた演奏ばかりだったが、この曲に関しては緊張感はあるがミスをしそうでしないところが気に入っている。07年に作った曲でCDR「家ライブ」にも収録しているが、年々アレンジが冴えてきていると思う。

11.のみぐすりとしごとⅡ

10曲目と同日のライブ音源。マイフェイバリットでもある栃木のミュージシャンshizucameraさんからのリクエストを受けアンコールで演奏した。この曲はケセラセラ用に書いた曲だが簡潔な歌詞とコードの組み合わせが気に入っていて演奏していて心が高揚するタイプの曲だ。因みにのみぐすりとしごと無印バージョンは高円寺と山形(with tdsgk)で演奏したことがあり、Ⅱとは違ってポップな曲調でコード進行が面倒臭いわりに効果的とはいえないという点が汚点なので多分もうやらない。

12.花について

2013年の2月頃に作った曲でライブでの評判もよい。録音はTASCAMのリニアPCMレコーダーを使用しガットギターで弾き語り一発録り。sakanaの名曲「rockin' chair」のコピーをしていてA7sus4→A7というコード進行をA7sus4→DM7と間違えてしまったことがきっかけでこの曲が生れたのだった。

13.13hours

stratocasters名義で2001年に発表したカセットのB面に収録されていた曲。my bloody valentineやspectrum、galaxie500(ベースライン)といったバンドからの影響を感じさせる。今聴くとディレイとリバーブをかけすぎて音が廻りすぎなのだが、若気の至りとして許して欲しい。当時はまともな歌物がこの1曲しかなかった。この曲を元にしてある意味私の代表曲とも言える「その後の13時間」という曲が生れたりした。

14.Картинки с выставки

6曲目に収録されている「展覧会の絵」のインストバージョンでタイトルは原題から拝借(読めない)。大尊敬しているバンド(ユニット)のアコースティックサウンドを自己流で研究した結果、EQの中音域をブーストして高・低域を下げ気味で録音すると雰囲気が近くなるということを学んだが、この曲の録音中に左手薬指の腱鞘炎を発症し、「地方都市の憂鬱」のレコーディングが停滞するという事態を招いてしまった曲。

15.お茶を濁す

ペンと書物さんに招かれて行った横浜でのライブ音源でこのアルバムのために書き下ろした新曲でもある。元々は帯文の「ストイックさのボタンを掛け違えた」というフレーズが先にあり、そこに続きの歌詞と曲を付け足したら自分でも感心できるいい曲になった。このライブ音源が初演バージョンなのだが、歌詞が前面に出すぎる場面が気にかかり、現在は若干歌詞が違っている。ライブ当日は35度くらいの猛暑で出演者全員汗だくになりながら演奏したことが印象に残っている。会場外から聴こえる車や風の音と曲や歌声が上手く呼応しているような気がして気に入っている。
(2013.12.24のブログより転載)


 

・軽くおもい(2016 sep HMD-003 CD)


収録曲

1.title track
2.花について
3.くるしいあの娘
4.too late
5.太った雨
6.the hymn for the alcholiday
7.考えごと
8.ノスタルジア
9.君の友達

作詞・作曲・演奏・録音・編集
濱田多聞

マスタリング
原朋信(Cafe au Label Studio)

ゲストプレイヤー
猿田芳規(drums)
須貝吏(alto sax)
tdsgk(drums)
皆木大知(bass)

デザイン・アートワーク・フォトグラフ 
24shutter_ed

企画・制作・販売:hAmAdAyAmA recordings

メディア:プレスCD(歌詞カード・帯付)

価格:1500円

軽くおもいに関する箇条書き

・このアルバムは2015年の春ごろから録音準備を初めて初夏の頃から録音を開始した。途中漫画ドカベンを全巻読んで録音からの逃避を図ったり、足の骨を折ったり、定期的なめまいと耳鳴りに悩まされたり、ミックス作業の終盤にPCがぶっ壊れたりしながらも2016年の6月頃にとりあえずミックスまで完了した。全曲自力での録音・ミックスを行ったため、キャパオーバーで疲弊しすぎて白髪が増えたりもしたが、作曲・アレンジ・録音・ミックス・マスタリングの奥の深さを身をもって体感できたことはよかった。完成盤を聴いて思ったことは、今後はソングライターとボーカリストに専念するべきか、根本的な録音方法を見直すべきか、思い切って音楽性をがらりと変えるべきか、という三点だった。つまりhamada tamonの過渡期的な作品となっているように思える。

・大体の曲順は早いうちから決まっていたが、6曲目の選曲には半年以上悩んでしまい、「お茶を濁す」「のみぐすりとしごと?」「9月までには」「title track2」「yubi sus4」「騒音的美学の相違」といった候補の曲がまるで上手く録れずにボツとなり最終的には昨年の12月ごろ書いた「the hymn for the alcholiday」を採用した。アルバムの中で一番新しい曲は今年の1月に作った7曲目の「考えごと」という曲でBMX Banditsなんかを意識した3コードのシンプルなポップチューン。歌詞が上手く書けたような気がする。一番古い曲は5曲目の「太った雨」でこの曲は2010年に出した「家ライブ」というCD-Rにも収録されている。打ち込みでリアレンジしたが本当にそれでよかったのか?と思わなくもない。

・録音の初期段階から意図的にアレンジや編成、録音の質感などをバラバラにすることによって所謂フォークシンガーとかSSWのアルバムとは逸脱したポップボーカルアルバムを作りたいと思っていたのだが、いざ完成してみるとhamadaはhamada以外の何者でもないという、当たり前の事実及び個人が浮かび上がっているのだった。曲調やアレンジの幅という意味ではdB'sの「stands for decibels」やsqueezeの「cool for cats」という2枚の私的オールタイムフェイバリットアルバムアルバムを意識した部分が多い。

・アルバム制作中によく聴いていたのはcaptured tracksから出ていたclaeners from venusのbox vol.1~3。ローファイな録音のポップソングばかり聴いていたということになる。。。本当にそれでよかったのかと思わなくもないが好きだったから仕方がない。その他ではBobb Trimbleの2ndやMichael Angeloのアルバムなど時代から隔離されて何かが破綻している歌もの作品をよく聴いていた。あとはほぼ同世代で制作環境が似通っていて勝手にシンパシーを感じているアベシュンスケさんの「noise rabitt」やあみのめの「記憶線」及び利光雅之さんのソロ「.」をよく聴いていて、励みと制作に対する活力を勝手に頂いていた。

・マスタリングは前述のアベシュンスケさんの作品も担当している原朋信さん(sugar fields / cafe au label)にお願いした。本格的なマスタリングというものを初めて行ったのでマスタリングされた音源の劇的な音質・音圧の変化など含めいろいろ学ぶべきことが多かった。プロっぽい仕上がりになるかと思ったら思いのほか生々しい自主制作感が強調されている点が自分でも意外で面白いと思えている。

・ゲストプレイヤーとして須貝さん(kokyu,waikiki champions),tdsgkさん(EVOL/Que Sera Sera),猿田君(umiuma,Qamp,BlueBird,ヌれる)、皆木君(inochi,yumbo)の4名に参加して頂いた。行き当たりばったりな統率力のない私のぐだぐだな進行にも粘り強く付き合って頂き多大な感謝をしている。私の録音・ミックス技術の未熟さによって彼らのプレイが最大限に引き出せたとは言い切れない部分もあるので、彼らのやっているバンドのライブやDJなどに足を運んで本来のポテンシャルの高さを体感して欲しい。

・ドラムで参加してくれた猿田君のご厚意によりumiumaのアルバムの録音で使用されていたマイクでもあるneumann TLM-103をお借りしてこのアルバムの半数近くの音と声を録った。使いこなせたとは言い難いが・・・。猿田君も在籍するQampの初音源や今後リリースされるであろうバンドの音源でもこのマイクは使われていくと思う。

・アルバムのジャケットワークは過去2作のCDに引き続き、24shutter_edさんにお願いした。時間の制約のある中で様々なアイデアを詰め込んで頂き、一つのモノとしての価値を高めてくれて多大なる感謝をしている。歌詞のフレーズが符合になっている透過素材を使ったジャケットのアイデアはすきすきスウィッチの再結成後の3作からヒントを得ていたりもする。まだ手に取ってない人のためネタバレは避けるが、ジュエルケースのCDというノーマルすぎるフォーマットを逆手にとったある意味不親切な作りとなっている。カセットやアナログレコードにダウンロードコードを付けるみたいな余計な親切心が蔓延る風潮に対するカウンターとしてもこのCDは機能するのではないかと個人的に思っている。

・リリース前とリリース後では曲の聴こえ方やジャケットの映え方が変化している。リリース前は早くリリースしてこのアルバムの制作中に抱えていた呪縛みたいなものから解放されたいという一心であったが、リリース後に何らかの反応を頂くと制作中に掛けた時間やお金が無駄ではなかったと思える救われるような気持をじわじわと感じている。何とかリリースまで辿り着くことができたのは制作に協力してくれた方々と何かと気に掛けていてくれた方々のお陰だ。もちろん反省点や改善点は多々あるのだが、この作品をきっかけにして新たな繋がりを持てたり、聴いてくれた人の生活の中に何かしらの足跡を残せたら嬉しい。(2016.10.06ブログより転載)


・「ACOUSTIC DEMO AT HOME!」(2017 may HMDR-004 CDR)

収録曲(録音年)

1.大都会の夜景(2017)
2.Title Track2(2017)
3.ああ!あとがない(2017)
4.苦しかった頃(2010)
5.お茶を濁す(2014)
6.考えごと(2017)
7.君の友達(2015)
8.nostalgia(2017)
9.静かな夜を(2017)

作詞・作曲・演奏・録音・編集・写真・デザイン
濱田多聞

企画・制作・販売:hAmAdAyAmA recordings

メディア:CDR(※歌詞カードは付属しておりません)

価格:500円

その名の通りアコースティックギターでの一発録音をメインとしたデモ集。比較的ライブで演奏することの多い楽曲を中心とした選曲。ジャケットはガットギターの背面に映った自分の顔を自撮りしたもの。


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