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1stアルバム「地方都市の憂鬱」リリースから10年

私の記憶が確かならば10年前の2013年1月26日、濵田多聞の1stアルバム「地方都市の憂鬱」がリリースされた。当初はCD-Rでのリリースを考えていたが、周囲の助言などもあり自分にとっては初めてとなるプレスCDでのリリースとなった。プレス業者とのやり取りなど慣れないことは多かったが、デザインと撮影など担当してくれたNさんとの共同作業でなんとか完成した時は心が躍った。改めて聴き返すとCDとして自分の曲を記録しておいてよかったと思うことは多い。

制作中の様子や心境などはリリース当時に書いた過去記事を参照して頂きたい。

昨年まではあまりこのアルバムを聴き返すことはなく自己評価もかなり低かったが、よくよく思い返してみると予想以上に多くの人に自分の音楽を知ってもらうきっかけとなったし、音楽ライター松永良平さんのおかげでCDジャーナルやフリースタイルといった全国的な商業誌にレビューが掲載されたり、わざわざ手紙で感想を書いて送ってくれた方が居たり、最も敬愛するミュージシャンの方がこのアルバムについての文章を書いてくれたりと自分の人生の中でもトップクラスの素敵な思い出の多い作品なのであった。

「地方都市の憂鬱」というタイトル通り、宮城県仙台市で生活する中での違和感や疎外感を大々的に表明しているような偏った思想(反絆)の歌詞が多いが、自分としては住んでいる街のサウンドトラックを作りたかったのだった。本格的にソロとして音楽活動を始めた際に意識していたのはロンドンの人がKinksやSqueezeやTV Personalitiesを、グラスゴーの人がTeenage Fanclubや18 Wheelerを聴いた時に抱いているような感情や感傷を想像して自分の街に置き換えるということだった。また当時の地元の音楽シーンには自分の存在を必要以上に大きく見せたがる異端を演じているような人たちが多かったので、そういったものへのカウンターという意味合いで簡素な音と普通の声で近い範囲のことを歌うという創作法を選んでいた。

本当にそれでよかったのか?

と思わなくもないがこのアルバムは2007年から始めた音楽活動の集大成という意味合いが強く、楽曲全体に通底するムードのようなものが一瞬でも他者の心を捉えていたのなら嬉しい。

このアルバムを既に所持している人が10年目という節目でこのCDを手に取ったり聴き返したときに、何かを感じたり何かを思い出したりすることがあるのだとしたら自主制作音楽家冥利に尽きる。

まだ所持していない方はフィジカルでもデジタルでも購入・試聴可能。興味があれば下記リンクをチェックしてください。

宣伝で終わってすみません。

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