Vol.46 旅は人を成長させる その②
Sep. 2013
「楽しいハワイへの家族旅行、せっかくだから最先端のアプリやサービスですべての予約をネットで済ませるぞ計画」の後編である。
アメリカ合衆国に入国するために必要なESTA申請の保留状態が続く中、出発日は刻々と近づいており、ヤキモキしながらブラウザでステイタス確認をしていた。
もしかしたらアメリカのふりをした詐欺サイトに騙されたのか。
いやURLを何度確認しても.govドメインなのでさすがにそれはないだろう。
一週間が過ぎてふと気づいた。
私は申請する際に家族全員を一気にグループ単位で申請していた。
そのグループ受付番号というやつで確認せよと書かれていたため「グループのステイタスを確認する」行為を何度も繰り返していたのだが、ひょっとして個人に割り振られた受付番号ならもしや… 一人ずつ確認してみた。
するとどうしたことか!「許可済み」になっているではないか。
なんだこのヤロウ、散々気を揉ませやがって。
しかし、IT大国アメリカのわりにずさんなシステムだなと、オバマに文句のひとつもいいたいところをグッと堪え、ここは前向きにハワイへの壁をまたひとつ乗り越えた祝杯をあげて次のステップへ進んだ。
レンタカーである。
ハーツ、バジェット、ダラー、いろいろある。
海外のレンタカーで気をつけなければならないのは、いくら事前に車種を予約しておいても、当日、現地の受付スタッフの気分次第で勝手に換えられてしまうということと、カーナビがクソの役にも立たないということだ。
車種に関しては、
「あなたラッキーね、ちょうどいい車が空いてたからアップグレードしといたよ!」
なんて笑顔でいわれて「サンキュー!」なんて答えようものなら料金までアップグレードして請求されることになる。
「詐欺かよこんちくしょう」
と思うのが日本人だが、文句をいったところで「誰も安く貸すとはいってねーよ」と返されるのがオチなのでちゃんと確認しなければならない。
カーナビについても、少し前まではゲームボーイに毛が生えた程度の端末が「右に曲がれ」だの「3マイル先で高速を降りろ」程度のことを教えてくれる代物だった。
日本人相手に3マイルとかいわれてもピンとこない。
そんなクソ端末のレンタル料がこれまた高いときた。
だがそれも、我が愛するアップルプロダクツのおかげで一気に解消されるはずだ。
いうまでもなく、iPhone、iPadである。
アホだなんだといわれたiOSの「マップ」も、お膝元の地図であれば問題なく使えるに違いない。
ここは自分の仮説を信頼して、カーナビは借りずにiOS端末で乗り切ることにした。ホームグラウンドでもない町で、ナビなしで乗り切るのは大きな決断がいるけれど、カッコイイ気もする。
以上の条件で、ダラーレンタカーのサイトから車種と日程を選んでポチった。
無事にレンタカーの手配も済み、そうこうしているうちに電子化されて少し厚くなったパスポートも出来上がり、航空券やレンタカー、ホテルのブッキング情報は標準アプリ「パスブック」に取り込んで準備万端となった。
ハワイ旅行に必要なすべての情報がiPhone1台に入ってしまう時代到来だ。カッコよすぎるぜ。
がしかし、ここまできて万が一を考えてしまうのが昭和生まれの性。
もし急にバッテリが切れたらどうしようだとか、ついついプリントアウトした紙のバックアップを用意してしまうのであった。
して出発当日。小松空港から羽田への最終便に乗り、羽田発の深夜便でいざホノルルへと向かった。
荷物は小松からホノルルまで一気に運んでくれるので超楽チンだし、深夜発で到着が現地の昼なので、ジェットラグもないから快適そのものだ。
ここまでパスブックだけでまったくスムースにことは進んだ。
が、問題はホノルルについてから起きた。
レンタカー屋に行くと、案の定アメリカンサイズの黒人女性スタッフが「アップグレードしといたわよ!」といってきた。しかも笑顔だ。
パスブックにはバーコード情報しか記録されていないので、私は昭和生まれの性を取り出し予約した値段を見せて、
「そんなの頼んでないけど、この値段で貸してくれんだろうな?」
と交渉。すると彼女は一瞬考え、笑顔で「オッケー」といってくれた。
親指を立てて、3歳の娘に「パパやったよ」と告げ、車に乗り込み、iPadミニをダッシュボードに設置。
ホテルの住所を入力していつもとは反対の車線を走り出した。
思ったとおり、いやそれ以上に驚くほどスムーズにナビをしてくれるiPad。
もう怖いものなしだ。
ローミングも快適でLTEがバリバリ繋がる。
あまりに快適なので今度は通信料が心配になってきた。
メール通知はともかく、SNSで誰が何を食ったとかのプッシュ通知が届くたびに金がかかるのかと思うと腹立たしくなってきたので、プッシュはすべて「切」にした。
チェックインまで少し時間があったので、途中アラモアナショッピングセンターに寄り、パンダエクスプレスでジャンキーな中華プレートを食べ、再び車を走らせ、難なくワイキキに到着した宮田ファミリー。
海とプールでひとしきり遊び、今夜のディナーは何にするかと「オープンテーブル(OpenTable)」でステーキハウスを予約する。
このアプリは米国サイトからしかダウンロードできないから事前にホテル横にあるアップルストアでiTunesカードを購入し、別アカウントでダウンロードしておいた。予約時間にお店に行くと、素敵な笑顔で席に案内をしてくれた。iOSのおかげで澱みのないスムーズな旅を満喫させてもらって感謝なのだが、
テクノロジーを使いこなす自分のスマートさには、まったく恐れ入る。
たぶん2014年のモテる男の条件は「ハイテク使いこなし男子」で間違いないだろう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?