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カール・マルクス 著『資本論 』第一巻 第四篇 第十三章 読書メモ

カール・マルクス 著『資本論 』読書メモ(1)~(172)をすでに投稿済ですが、第一巻 第四篇 第十三章に目次をつけたものを再掲載します。


第一巻 資本の生産過程

第四篇 総体的剰余価値の生産

第十三章 機械装置と大工業

第一節 機械装置の発達

機械 装置 は、 商品 を 低廉 にするためのものであり、また、労働者が自分自身のために必要とする労働日部分を短縮して、彼が資本家に無償で与える他の労働部分を延長するためのものなのである。機械装置は、剰余価値のための手段である。エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.6373). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.
       
機械 装置 の 体系 は、 織物 業 における よう に、 同種 の 作業 機 の 単なる 協業 に 基づく に せよ、それが自動的な原動機によって運転されるや否や、それ自体として、一つの巨大な自動装置をなす。

しかし、自動ミュール機の採用以前にミュール紡績機の起動に必要とされた運動のように、また今日なお精工紡績におけるように、個々の道具機が、ある種の運動のためにはなお労働者を必要とするにしても、あるいは、スライド・レスト(旋盤滑台)自動装置となる前の機械製造におけるように、機械の一定の部分が、その作業を行うために、道具と同様に労働者によって操作されねばならないにしても、体系全体は、たとえば蒸気機関によって運転されることができる。

作業機が原料の加工に必要な一切の運動を、人間の助力なしに行い、ただ人間の付添いを要するにすぎないとなるとき、そこに機械装置の自動的体系が生ずる。

この体系にはなお細部においては、不断の改良の余地を存するものではあるが。たとえば、ただ一本の糸が切れても、紡績機をおのずから停止させる装置や、梭 の 糸巻 管 の 緯糸がなくなれば改良蒸気織機を停止させる自動停止器は、全く近代的な発明である。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.6661). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

工場 手工業 における 部分 労働者 や その 外部 の 手工業 者 が、 彼ら の 矮小 道具 を 扱う に 要し た筋肉の発達や視力の精確さや手先の巧妙さに依存していたあいだは、大工業はその充分な発展を阻害されていた。

かくして、このような発生の仕方の結果、機械が高価だったことーーー意識的動機として資本を支配する一事情ーーーは別として、すでに機械によって経営されていた工業の拡大と新たな生産部門への機械装置の侵入とは、その仕事の半ば芸術的な性質のゆえに、飛躍的にではなく、徐々にしか増加されえなかった労働者部類の増大に、完全に制せられていた。

しかし、一定の発展段階においては、大工業は、技術的にも、その手工業的および工場手工業的基礎と衝突するにいたった。

動力 機、 配 力 機構、 道具 機 の 型 の 拡大、 道具 機 が 最初 その 製造 を 支配していた手工業的原型から離れて、その機械的課題によってのみ規定された自由な態容を受取るに応じて、増大する機械の諸構成部分の複雑、多様、合則性、自動体系の完成、ますます不可避的となる加工困難な材料の使用、たとえば木材にかわる鉄の使用ーーーすべてこれらの自然発生的に生ずる課題の解決は、いたる所で人的諸制限にぶつかった。

この 制限 は、 工場 手工業 において 結合 さ れ た 労働 人員 によって も、 ある程度 までしか 打破 さ れ ないのであって、根本的に打破できなかった。

たとえば、 近代的 印刷機、 近代的 蒸気 織機、 近代的 梳毛 機 の よう な機械は、工場手工業によっては供給されえなかったのである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.6709). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

第二節 生産物にたいする機械装置の価値移転

不変資本の他の各構成部分と同じく、機械装置は、価値を創造しないが、しかし、それを用いて生産される生産物に、それ自身の価値を移転する。

したがって、背産物に価値を移転するかぎり、それは生産物の一価値構成部分をなす。機械は生産物を廉価にするのではなく、それ自身の価値に応じて、生産物を高価にする。

また、大工業の特徴的労働手段である機械および体系的に発達した機械装置が、手工業経営および工場手工業に比して、比較にならないほど大きい価値を有することは、きわめて明瞭である。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.6826). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

ここ で まず 第一 に 注意 す べき は、機械装置は、労働過程にはつねに全体として入るが、価値増殖過程にはつねに一部分ずつしか入らない、ということである。機械装置は、その消耗によって平均的に失う以上に価値を付加するものではない。

したがって、機械の価値と機械が周期的に生産物に移転する価値部分とのあいだには、大きな差が生じる。価値形成的要素としての機械とのあいだには、大きな差異が生ずる。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.6838-6839). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

第三節 機械経営が労働者に及ぼす第一次的影響

a 資本による補助的労働力の所有と児童労働

機械 装置 が 筋力 を 不要 な もの と する かぎりでは、それは、筋力のない労働者、または肉体に発達が未熟ではあるが四肢の柔軟性に富む労働者を使用するための手段となる。

だから、婦人と児童労働者とは、機械装置の資本主義的使用の最初の言葉だった!かくて、労働および労働者のこの強大な代用物は、たちまち、性と年齢との差別なく、労働者家族の全成員を資本の直接の命令下に編入することによって、賃金労働者の数を増加させる手段に転化した。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7079). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

婦人 労働 を もっ て 男子 労働 に 代え、 また ことに 児童労働 をもって成年労働に代えることが多くなるにしたがって、労働者の数は著しく増加した。
【私見:女性の社会進出は、盛んに、現在でも行われているが、これは女性に尊厳の問題にも絡んでくるので、複雑ではある。

だが、強欲に利潤を追求する資本家の本音は、高賃金男性正規雇用者に代わって低賃金の女性労働者を増やしたいということに関しては、マルクスの時代から変わっていないようです。

現在では、まだ、児童は勿論のことだが、少年を、こき使うということまでには至っていないのは、幸いなことである。

とはいえ、天才的なIT少年は、すでに、ITの業界では、草刈り場になっているのでは?

プログラムの能力は、13歳がピークだという説もあり、これを理由にするという企みがあることは、充分に想像できる。】
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7105). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

b 労働日の延長

機械 装置 は、 労働 の 生産性 を 高める ため の、 すなわち 一 商品 の 生産に必要な労働時間を短縮するための、もっとの有力な手段であるが、資本の担い手としての機械装置は、まず第一に、直接にそれによって捉えられた産業において、あらゆる自然的限界を超えて労働日を延長するための、もっとも有力な手段となる。

機械装置は一方では、資本が自分のこの不断の傾向を、思うままにばく進させることを可能にする新たな諸条件を創出し、他方では、他人の労働にたいする資本の渇望を、さらに研き上げる新な動機を創出する。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7338). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

機械 の 機能 する 期間 が 長けれ ば 長い ほど、機械によって付加される価値が分配される生産物の量は大きくなり、機械が個々の商品に付加する価値部分は小さくなる。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7368). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

機械 が 相対的剰余価値を生産するのは、それが直接に労働力の価値を減ずること、および労働力の再生産に入り込む諸商品を低廉化して、間接に労働力を低廉化することのみではなく、機械がはじめて散在的に採用されるときには、機械所有者の使用する労働を、強められた労働に転化し、機械生産物の社会的価値を、その個別的価値以上に高め、かくして、資本家が日生産物より小さい価値部分をもって、労働力の日価値を補填しうるようにすることにもよっている。

だから、機械経営者が、まだ一種の独占をなしているこの過渡期のあいだは、利益は異常なものであり、そして資本家は、労働日の能うかぎりの延長によって、この「若き初恋の時代」を徹底的に利用しようとする。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7450). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

c 労働の強化

資本 の 手中 に ある 機械 装置 が 産み 出す 無制限 な 労働日 の 延長 は、すでに見たように、のちにいたって、生活の根源を脅かされた社会の反動、およびそれとともに法律によって制限された標準労働日を誘致する。

この標準労働日の基礎の上に、われわれがすでに前にも遭遇した一現象が、決定的に重要なものに発展するーーーすなわち労働の強化それである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7519). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

労働日 の 延長 は 労働 強度 の 低下 との み 両立 し、また逆に強度の増大は労働日の短縮とのみ両立しうるという限界点に、到達せざるをえない、ということは、容易に理解される。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7530). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

労働力 の 搾取 の 強化 とともに、 いかに 工場 主 の 富 が 増大 し た かは、イギリスの木綿その他の工場の平均増加率が、1838年から1850年までは年32%だったのにたいし、1850年から1856年までには年86%だった、という一言で、すでに証明されている。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7736). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

第四節 工場

第十三章のここまでの、まとめ
(1)工場の体躯である機械体系を組成を考察した。

(2)いかに機械装置が、婦人労働および児童労働の獲得によって、資本の人間的搾取材料を増加させるか、いかに機械装置が、労働日の無制限な延長によって、労働者の全生活時間を没収するか。

(3)ますます短時間のうちにますます巨大に増加する生産物の供給を可能にする機械装置の進歩が、いかに、各瞬間により多くの労働を流動させるための、あるいは労働力をますます強度に搾取するための組織的手段として役立つか。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7805). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.                                           

自動的のピンダロスであるドクター・ノアは工場全体の態容について、二つ語っている。
(1)結合された総労働者または社会的労働体が、主導的な主体として現われ、機械的自動装置が客体としてあらわれる。

(2)自動装置そのものが主体であり、労働者は単に意識ある器官として、自動装置の意識なき器官と同列に置かれ、この器官とともに中心動力に従属している。

(1)は、あらゆる可能な大規模の機械装置使用に当てはまり、(2)は、機械の資本主義的使用と、したがって近代的工場制度とを特徴づける。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7811). 株式会社 岩波書店. Kindle 版. 

工場 の 全 運動が、労働者からではなく機械から出発するのであるから、労働過程を中断しなくて、たえず人員交替をなすことができる。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7862). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

工場 手工業 では、労働者は生きた機構の肢体をなしている。工場では、死んだ機構が彼らから独立に存在し、彼らは生きた付属物として、この機構に合体される。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7919). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

資本主義 的 生産 が、単に労働過程であるのみではなく、同時に資本の価値増殖過程でもあるかぎり、すべての資本主義的生産に共通のことであるが、しかし、この顛倒は、機械装置をもって初めて、技術的に明瞭な現実性を受取るのである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7928). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

工場 リュクルゴス の 立法的明敏は、彼らの法律の遵守よりもその違反の方が、彼らにとって、できれば一層利益をもたらすように定めるのである。(190)

【私見:以下注記(190)が、延々と綴られていくが、その内容は、ルポライターが、工場内の悲惨な状況の曝露記事を描いているような感じとなっていて、こんな内容は、『資本論』の各所に散らばっている。浅田彰氏が『資本論』は、寝そべって読むものだと語っていたが、こうした内容であれば、理解できる。】
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.7976). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

第五節 労働者と機械の闘争

資本家 と賃金労働者との闘争は、資本関係そのもとともに始まる。それは工場手工業時代を通じて荒れつづける。

しかし、機械装置の採用以後はじめて労働者は、労働手段そのものと、資本の物的存在様式と、闘争する。資本主義的生産様式の物質的基礎としての生産手段の、こと特定の形態にたいして、彼は叛逆するのである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.8087). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

第六節 機械装置によって駆逐された労働 者にかんする補償説

 産業 部門から投げ出された労働者は、もちろん何らかの他の部門において職を求めることはできる。

彼らがこれを見出し、それによって、彼らとともに遊離された生活手段と彼らとの縁が再び結ばれるとしても、このことが行われるのは、投資を求める新たな追加資本を介してであって、決して、すでに以前から機能していていまでは機械に転化されている資本を介してではない。

そしてそのばあいでさえも、彼らの前途は、いかに望み少ないことであろうか!分業によって奇形かされていて、この哀れな者どもは、彼らのもとからの労働範囲以外はほとんど役に立たないので、低級な、したがってつねに溢れていて賃金が低いわずかな労働部門にしか入れない。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.8489). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

機械 装置 は、それが採用される労働部門においては、必然的に労働者を駆逐するのであるが、しかしなお、他の労働部門においては、雇用の増加を呼び起こすことがありうる。

しかしこの作用は、いわゆる補償説とは何らの共通するところなない。すべての機械生産物は、たとえば一エレの機械織物は、それによって駆逐された同種の手工生産物よりも、廉価なのであるから、つぎのことが絶対的法則として出てくる。

機械によって生産される商品の総量が、それによって代わられる手工業的にまたは工場手工業的に生産された商品の総量に等しいとすれば、充用される労働の総額は減少する。

あるいは労働手段そのもの、すなわち機械装置、石炭等の生産に必要とされる労働増加は、機械装置の使用によって生ずる労働減少よりも、小さくなければならない。

そうでなければ、機械生産物は、手工生産物と同様に高価であるか、またはより以上に高価であろう。

しかし、減少した労働者数によって生産される機械製品の総量は、駆逐された手工製品の総量と変わらないのではなく、実際には、はるかにそれ以上に増大する。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.8543). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

第七節 機械経営の発達にともなう労働者の反撥と牽引。綿業恐慌

機械 装置 は、その導入時代および発展時代の恐慌の後に、ついには労働奴隷を減少させるのではなく、これを究極においては増加させるということである!

然り、すでに機械経営の基礎の上に立つ工場さえも、一定の成長期間の後には、長短の過渡期の後には、それが最初に街頭に投げ出したよりもさらに多くの労働者を苦しめる、という忌まわしい定理において、資本主義的生産様式の永久の自然必然性を信ずるすべての博愛家にとって忌まわしい定理において、経済学は歓喜の声を挙げるのである!
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.8665). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

第八節 大工業による工場手工業、手工業 、家内労働にの革命 

a 手工業と分業に基づく協業の廃棄

いかに 機械装置が、手工業に基づく協業と手工業的労働の分業に基づく工場手工業を廃棄するかにはすでに示された。

第一の種類の一例は草刈機で、それは草刈人の協業に代わる。第二の種類の一適例は、縫針製造機である。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.9002). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

b 工場手工業と家内労働への工場制度の反作用

工場 手工業時代とは反対に、いまや分業の計画は、できるかぎりは、婦人労働や、あらゆる年齢の児童の労働や、非熟練工の労働、要するに、イギリス人がその特徴を捉えて廉価労働と名づけているものの使用にもどづく。

このことは、機械を使用すると否とにかかわらず、すべての大規模に結合された生産について言えるのみではなく、労働者の住宅で営まれるかを問わず、いわゆる家内工業についても言える。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.9057). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

資本 は、空間的に大量に集中して、直接に指揮する工場労働者、工場手工業労働者、手工業者のほかに、大都市および田園地方に散在する家内労働者の別軍をも、目に見えない糸によって動かすのである。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.9068). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

第九節 工場立法(保健・教育条項)。イギリスにおけるその一般化

工場 立法、社会がその生産過程の自然発生的な態容に向けた、この最初の意識的な計画的な反作用は、すでに見たように、綿糸や自動機や電信と同様に、大工業の必然的産物である。

イギリスにおけるその一般化に移る前に、イギリス工場法中の労働日の時間数には関係のない、若干の条項について簡単に述べておかなければならない。

法文の書き方が、資本家にとってその回避を容易にしていることは別としても、保健条項はきわめて貧弱なもので、実際には、壁の白塗りその他二、三の清潔維持法、換気、危険な機械装置にたいする保護のようなものにかんする規定に限られている。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.9699). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.  

工場 立法 が 工場、工場手工業等における労働を規制するかぎりでは、この規整は、当初はただ資本の搾取権にたいする干渉として現われるにすぎない。

これに反して、いわゆる家内労働の既成は、すべてただちに父権、すなわち近代的に解釈すれば親権、たいする直接の侵害として現われるのであって、思いやりのあるイギリス議会は、久しくこの方策を躊躇するかに見えていた。

しかし、ついに事実の力は、大工業が古い家族制度とそれに相応する家族労働との経済的基礎を崩壊させるとともに、古い家族関係そのものも
崩壊させるということを、否応なく認めさせた。エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.9934). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

第十節 大工業と農業

労働者 の「 過剰 化」 の 上 には、機械は農業においては、一層強く、また反撥をを受けることなく作用する。

たとえば、ケンブリッジやサフォークの両州では、耕地面積は、最近20年来非常に拡張されたが、同じ期間に農村人口は、相対的にのみではなく絶対的にも減少した。
エンゲルス; 向坂 逸郎. マルクス 資本論 2 (岩波文庫) (Kindle の位置No.10363). 株式会社 岩波書店. Kindle 版.

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