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【新NISA効果?】外国を買う日本人、日本を買う外国人

こんにちは!
CFP受験生のハマネコ(@hmnk_cfp)です!

2024年も早くも20日以上が経過。
時が経つのがあっという間ですね。
当初は能登での震災や羽田空港での事故が大きな話題になりましたが、(報道と言う意味で)一段落したところで、メディアでも新NISAが取り上げられるようになりました。

年初から日経平均は好調ですし、さっそく新NISA効果が出ているのか…?と思いきや、「政府の」当初の目論見とは異なる事態が発生しています…
いったいどういうことでしょうか?


新NISAの目的は2つある?


そもそもなぜ政府はNISAの拡充を行ったのでしょうか?

本来政府(≒財務省)は、税収を増やしたいはずです。
ましてや岸田政権もとい自民党は、一時期金融所得増税を検討していたほど。
それにも関わらず、非課税制度であるNISAを強化した訳…

一つは、個人の資産形成を促して老後に備えてもらうため。

少子高齢化の進行により年金制度は苦しくなり、終身雇用の崩壊により企業が老後の面倒を見ることも期待できない
そうであれば、「自分で資産形成はどうにかしなさいね。そのための制度は用意しておくからね」という政府のメッセージ。
これがNISAおよびiDeCoが導入された背景です。

そしてもう一つは、個人の資産を市場に流し経済を活性化すること。
日本人のタンス預金は100兆円とも言われています。
国家予算が115兆円ほどですから、国家予算規模のお金が個人の手元にあることを意味しますね。
もしこれだけのお金が、株式や投資信託の購入を通して市場に流入したら…
日本企業の活性化に、必ずや貢献するでしょう!

政府のPRや金融機関の営業努力もあって、一つ目の目標は今のところ順調に推移しているように見えます。

問題は二つ目。
新NISAにより本来還元されるはずだったお金が、日本ではなく外国に向かっているのです!

好調な日本株!新NISAの影響かと思いきや…


楽天証券公式HPより

上の画像は、日経平均株価の6か月間の日足チャートです。
年末までは32000~33000円近辺でうろうろしていましたが、2024年に入ってから一気に右肩上がり。
36000円という、バブル崩壊後の最高値まで伸びていきます。

スペースの都合上割愛しますが、アメリカS&P500をはじめ他国の指数は年初からほぼ横ばい状態であり、日本株の一人勝ち
一見すると、新NISAのおかげで個人が日本株を買い上げているように見えますよね。

私も新年会で

「日本株最近めっちゃ上がってるね?」
「やっぱ新NISA始まってみんな買い始めてんのかなー?」

なんて会話をしたものです…

しかし、実態は違っていました。

東京証券取引所が公開している部門別売買動向によると、個人投資家の売買動向(東証プライム市場)は

1/4~5→▲118,641千株
1/9~12→▲369,436千株

と、なんと売り越しているのです!!
新NISAが始まって、みんな株を始めたのかと思いきや、売りが先行…
いったい何が起きているのでしょうか…?


日本人のお金は外国に向かう


正直このnoteの読者の方であれば予想はついているかと思いますが…(笑)
日本人のお金は外国に向かっています!
もう少し具体的に言えば、全世界株型の投資信託ですね
オールカントリー、通称「オルカン」と呼ばれるものです

Google Trends より

上の画像は直近1年間の「オルカン」での検索動向ですが、2023年末に向けて明らかに件数が上向いています。

ここ最近メディアでも新NISA特集なんかでは、オルカンへの投資を進める記事が目につくようになりました。

実は私は以前の記事でも紹介したように、メディアが金融機関と結託して訳の分からない不良ファンドや個別株を勧め出すのかと危惧したのです。

しかし今のところそういった傾向は無く、安心しています。

ちなみに私個人はS&P500派ではありますが、正直S&P500とオルカンには大差が無いので、どちらでもよいです(笑)

個人レベルではオルカンのような優良ファンドが人気なようで何よりですが、「日本の株式市場を活性化したい!」という政府の狙いからすれば、悲しい結果になっているのが何とももどかしいですね…

まあ日経平均やTOPIXが、オルカンやS&500よりもパフォーマンスの良い指標になってくれればよいのですが、そこは政府の経済対策に期待しましょう!(30年間裏切られていることには目をつむります笑)


日本株を買いつけるチャイナマネー


さて新NISA効果が今のところ日本株には向かっていないことは分かりましたが、だとすれば日経平均が高値を付けている理由は何でしょうか。

そのヒントが、このニュースにありました。

そう、日本株を買っているのは外国人投資家です。

中国では日本株ETFの取り引きが活発過ぎて、取引一時停止にまでなったようです。

もちろんこれは中国人投資家の間での、一過性のブームではありません。

現在の世界経済を見渡すと、第一位のアメリカでは大統領選挙があります。
現時点では民主党は現職のバイデン大統領、共和党はトランプ前大統領の再出馬が見込まれていますが、かりに「バイデンvsトランプ」となった場合、トランプ前大統領の復権を見る声が一定数あります。

何より不確実性を嫌う株式では、「何をしでかすか分からない」トランプ政権の復活は、マイナス要因でしかありません。
短期~中期程度のスパンでは、アメリカ株に投資するのをリスクと見る動きがあります。

そして第二位の中国ですが、こちらもかつてほどの勢いはありません。
そもそも中国はその政治体制から、政府による不可解な企業への介入リスクがあります。
また台湾との地政学上の問題もあり、株式投資と言う観点で言えば決して有望な先とは言えません。

そこで第三位であり、今まさに終身雇用の見直しや賃上げ等の構造改革に乗り出そうとしている、日本株に再注目が集まっていると言えます。
もともと日本株はPBR1倍割れの割安株が多く、ながらく株式市場から放置されてきた存在です。
加えて円安も影響し、外国人からすればお買い得状態。
国内ではインフレの風が吹き、ようやく30年間の低迷から脱却しようとしている日本株。
もともと政治的な安定性には定評があるだけに、復活すれば30年ぶり最高値の突破も夢ではないかもしれません…!


皮肉な話ですが、新NISAという特殊要因がありながらも日本人は自国の株を買わず、外国人が日本株を買うという…
もちろん新NISAを始めるような日本人は長期視点、外国人は短中期視点で見ているでしょうから、当然の結果かもしれませんね

ここ数年で日本株の際ブームがあったとしても、数十年を見据えた投資であれば私もオルカンやS&P500を選びます

まぁ日本人として、自国の株価指数に期待できいないというのはもどかしい限りですが…(笑)

ハマネコ

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