ボストンで飲む歯ぐき

ついこの間、仕事でアメリカへ行った。

全2週間の行程で
最初数日はボストンに滞在。
ライブをやり、そのあとニューヨークへ移動。
ニューヨークではバンド初の
「海外レコーディング」ってやつをやってきた。

バンドマンのブログであれば
初の海外で激しくぶつかり合い、時には涙も流した、けれど結果終わってみればとても大きな経験になった!という趣向のレコーディング話をつらつらと書き、締めとして


"俺たち、色々な壁にぶつかったけど、結果的にこの海外レコーディングを通して、自分達は見たことない景色を見ることが出来たんだぜ。
ひとまわりもふたまわりもスケールアップした俺たちをお前ら楽しみにしていてくれよな!"


的な文章で終わるのがいいのだろう。

が、しかし

振り返れば振り返るほど
言葉にするのがめんどうだし
頑張って書いたところで、文字にしてしまうと1つも面白くないので、レコーディング話についてはバッサリ割愛する。

しかし安心してほしい、違う方法で、みなさんにお伝えできる日が近いうちに来ますから。


さ、話を戻そう。

今回お話するのはニューヨークに移動する前夜
の話である。

ボストンでのライブは大盛況
サイン会やTシャツ販売にはとんでもない列ができた。
ひと時だけ、大スターになった様な気分を味わえました。

あの日交流した大勢の、最高のギーク達の姿を僕は忘れないだろう。
空条承太郎の格好をした人も4人くらいいたし、それも含めて。

イベント後、OKAMOTO'Sに関わってくれた全てのスタッフ達と共にボストン最後の晩餐へ。
到着してから連日、ボストンの名物は沢山食べていたので

"逆にね〜!!!"

と自分達を言いくるめる様に連呼しながら向かったのは日本食。

その名も「ITADAKI」

とても素敵な内装のレストランで

食事も最高だった!!!!


と言いたいところだが、僕は言えないのだ。

何故なら、最初に出て来た枝豆を2つ食べたあと、地面に卒倒し、救急車で運ばれたからである。

ここで先に言っておくと、ITADAKIの衛生面が問題だったわけでは全くない。
そこは勘違いしないでもらいたい。

できる事なら、僕だってメニューに記載していた

「SUSHI PIZZA」

なる、完全にアカン方向の日米伊マッシュアップフードも食べてみたかったのだ。

話を戻そう。

そもそもその日、朝起きてからずーっと
胃痛が酷く、時差ボケからの寝不足もまだまだ身体に残っていて、貧血気味であった。

"まあ痛いけど、大丈夫だろ〜"

てな具合で過ごしていたのだが
ITADAKIに着いたあたりから
視界が狭まり、隣にいるタルちゃんのジョークも遠く、会話全てにディレイがかかりはじめた。

ヤバイ!と思った時には既に手遅れで
地面に倒れこみ、思ったよりおおごとになり、気がつけばAmbulanceにBoardingしていた。

そこからは思いっきりアメリカのドラマみたいな感じで、救急病棟の各検査部屋を担架のまま
周り、6時間ほど検査したり待たされたりしながら過ごした

途中、歯ぐきみたいな色の痛み止め(液状)を飲んだり、尋常じゃない量の血を抜かれたりしたが、次第に元気になり、検査結果も

"まあ、貧血じゃない?胃がストレスで荒れてるってのもあるし、消化に良いものを食べてね。刺激物とか、油っぽいものは避けなさいよジャパニーズ"

みたいな感じで解放。
夜1時頃に病院をあとにした。

病院にはマネージャーとソニーミュージックニューヨーク支部で働く、宇藤さんというとても素敵な男性が付き添ってくれていたのだが
ホテルに着くと

"なんやかんやで夕食も食べられてないもんね。なにかお腹に優しいもの買ってこようか?"

と言われ、そこで自分が空腹な事に気がついた。
そういうことならお願いします、ということで、食べ物の調達を2人に任せ1人部屋に戻る。

"すごい経験したなぁ"

と1人思いふけっていると
2人がバナナとスープを買って来てくれた。

弱っている時というのは
また一段と人の優しさが沁みる。

2人にお礼を言い
なんやかんで翌日のニューヨーク移動も早い時間の集合なので、さっさと食べて寝てしまおうと、スープに手をつけた。




するとどうでしょう


とんでもなく辛いではありませんか


尋常じゃない刺激が内臓を這う
爽快感を感じるほどのチリペッパー味ではありませんか


僕は
ボストンのホテルの窓辺でひとり
様々な感情をごちゃ混ぜにした
この世でたったひとつの顔をし

そして心の底から


"いい土産話ができたなあ"


と思ったのだった。


最後に
ソニーミュージックの宇藤氏には本当に感謝してもしきれません。
僕の代わりに病院での会話を全て担ってくれて、長い待ち時間に沢山お話ししてくれて、本当に気が休まりました。どうもありがとうございました。

ニューヨークのスタジオに持って来てくれた差し入れの熊本ラーメンが腐っていた事以外、本当に感謝しています。

また日本で会いましょう!
OKAMOTO'Sは宇藤さんが大好きです。


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