第1章 はじめに

 本稿では、G.W.F,ヘーゲルの『精神現象学』(以下、『現象学』と表記)の「序論Vorrede」において提起される〈実体=主体〉論が「意識」の章の最初の節である、「感覚的確信sinnliche Gewißheit」の節全体を通じていかに展開されている