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ぼくはきっとやさしい

土曜の半日分くらい贅沢に使って読みました。

ぼくはきっとやさしい/ 町屋良平

芥川賞を叶えた「1R1分34秒」を一週前に読んでいて、これは好きなやつだと思ったので、続けて。

本筋とは違うけど、スポーツの、いやスポーツ自身というよりはそれをする為の身体の動作についての表現が良いのだな。動かしたときに感じる、風とか熱、体の内部におさまっているもの、それらがすうっと伝わるんです。概ねそれらは、自分にとっても身近なものであるからだろう。

主人公は野球をしていたから、バッティングやピッチング。映像を制作するような心がけで読んで、感じるものを深めていきました。野球のことはわかる。

(1R1分34秒のほうはボクシングであったので、自分の経験から遠かった。試合に臨む気持ちも、今となっては遠い。)

あとは、ひとを思う気持ち、ひとの中に自分を造りあげたいと望む気持ちの、寂しさがあったな。ずっと続くものではなくて、ふっと現れて存在感を得る寂しさ。それらは僕のところにあるものよりも、細かい仕組みや色彩を持っていて、まじまじ見てしまうのだけど。ただ、手にしたいと思えるものでした。

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