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豆乳チャイにするもうひとつの理由

カフェで提供しているチャイは、基本的には豆乳でお作りしています。どうして牛乳じゃなくて豆乳なのか。前回の記事にそのひとつめの理由は書きました。

今回は、もうひとつの視点での理由を書きたいと思います。

それはずばり端的に言うと、現状の大部分の日本の酪農で生産されている牛乳に戸惑いを感じ、酪農家さんや牛乳を分けてくれる牛への想いから敢えて現段階では使わないという選択をしています。

【山地酪農する人との出会い】

私は、数年前に知人に誘われて、「東北食べる通信」という雑誌のイベントへ参加して「山地酪農」というものを知りました。

実際に岩手県で「山地酪農」を実践されている、「なかほら牧場」の長、中洞さんのお話を目の前で聞いて、衝撃を受けました。

それからというものの、スーパーなどで「特売1リットル150円」とか、「濃くておいしい特濃牛乳」とかいった表示や牛乳の売られ方に大きな違和感を抱くようになりました。

美味しさや体に良いという視点だけでなく、今の日本の酪農の一面を知ったら、きっと今までとは違った付き合い方をする人が増えていくんじゃないかと思い、ご紹介してみようと思います。

これは色んな考え方や環境の事情もあるし、私は従来の繋ぎ牛舎で営む酪農家さんを批判したくて書いているのではありません。ただ、自分が中洞さんから聞いたり、山地酪農を見学して感じたことを正直に伝えたいと思って書いていきます。

近年はオリンピックもきっかけになり、「アニマルウェルフェア」「動物福祉」「家畜動物福祉」というキーワードが日本でも注目されるようになりました。

いまや、グラスフェッドバターが紹介されるなど、雑誌や番組などのあちこちで紹介されて「家畜動物福祉」に対する認知が高まりつつあると思うのですが、みなさんはご存知ですか?

国際獣疫事務局(OIE)によると、家畜の「アニマルウェルフェア」とは、

”動物が生活及び死亡する環境と関連する動物の身体的及び心理的状態”

であり、

”「5つの自由」は、アニマルウェルフェアの状況を把握する上で、役立つ
指針とされている。”とあります。(農林水産省の資料より抜粋)

5つの自由とは

1.空腹と渇きからの自由
2.不快からの自由
3.痛みや傷、病気からの自由
4.正常な行動を発現する自由
5.恐怖や苦悩からの自由

ですが、現状の家畜動物がどのように飼育されているか、どのように人生を終えるか想像したことがある方、意外に少ないのではないでしょうか。

「家畜といえども、動物は生き物であり、私たちはその命の営みの一部をいただいている。その動物が心身ともに健康に生きることが結果的に私たち人間の健康や安全につながる」という考え方だと私は解釈していて、購入する際は出来る範囲でこうした配慮をしている食品を選ぶようにしています。

関心のある方は、詳しくは、ご自身で本を読んだり、アニマルウェルフェア畜産協会のサイトや、酪農家さんのHPなど、様々な記事を読んでみると考えが深まると思います。

<おすすめの本> 

なかほら牧場の中洞さんがどうして山地酪農をするのか、酪農の現状も踏まえて分かりやすく書いていらっしゃいます。そもそも牛乳って?という原点に立つきっかけをくれる本です。

<一般社団法人 アニマルウェルフェア畜産協会>

酪農だけでなく、畜産全般における取り組みであったり、海外との比較であったり、認証された業者のリンクなどが貼ってあるので、参考になります。


<薫る野牧場HP>


中洞さんのところで学んだ山地酪農を、地元の神奈川で始めた若い彼女の

勇気と強さに希望をもらえる記事が載っています。


<響hibi-kiの特集記事>

この方も山地酪農を実践されているのですが、また違った視点でもお話されていて、勉強になりました。


私は、中洞さんの話を聞き、本をいくつか読み、実際に山地酪農の現場に赴いたことで、この「家畜動物福祉」の考え方がすっと腑に落ちたので、それ以降消費者としての選択が変わりました。

安価に売られている牛乳にはそれなりの理由がある。(牛乳に限ったことではないのですが)

【まとめ】どうしてチャイに牛乳を使わないか?

「家畜動物福祉」の日本の現状を知って、安価に流通している従来の方法で製造された牛乳を買うことにためらいを感じるようになったから。

また、山地酪農の牛乳には、おいしいことと同じくらい大切な価値があることをお客様に限られた時間や空間の中で理解していただくようにお伝えするには私がまだまだ力不足であるためです。

長くなったので、具体的に中洞さんからどんな話を聞いたのか、また現場でどのような状況を見たのか、などを次回の記事でお伝えできたらと思います。





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