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牛乳の話②山地酪農の現場に行ってみた

前回は、岩手県で山地酪農をしている中洞さんのお話会に行った話を書きました。

実は、このお話会に参加すると決めてから、事前に銀座松屋にある「なかほら牧場 直営店」で牛乳を購入して試飲していました。

ひとくち口に含んで、おや。驚く程さらっとしていて、のど越しが良い。だけど素朴な甘さが広がる。静かな感動がありました。(これは、夏の牛乳だったのだけれど、またその話は後ほど。冬はまた違う味わいが。)

とにかく、この味と中洞さんの熱いお話に感動して、私はその数ヶ月後には「なかほら牧場」を訪ねて岩手県へ行くことになりました。

実際に行ってみて、まず一番印象に残ったのが、

牛もスタッフの人達も「イキイキとしてツヤツヤとしていた」こと!

だったのです。

~山にすんでいる牛~

牛たちの体つきは、想像以上に骨格もがっちりとしていて筋肉もつややかに盛り上がっているのが見える。それでいて、表情は穏やかで瞳はくりんとして、なんともいえない愛嬌がある。かと言って、私が「目が合った!」と思っても、一瞬こちらを横目で見ては何食わぬ様子。

みんな広い敷地内のあちこちで思い思いに過ごしていました。地面に生える草(野芝など)をはんで寄り道しながら少しずつ前進する子。搾乳時間(牛にとっておやつの時間でもある)になり、軽い足取りで結構な斜面をかけ降りてくる子。搾乳の行列に入るのを諦めてぶらぶらする子。どかっと座って様子を見ている子。(子といいながらも年齢的には先輩かもしれません)

なんだか堂々としているんです。牛たち一頭一頭が。個性がありました。

もちろん人間には慣れているのですが、絶妙な距離感を保つ聡明なまなざしも感じました。

そして、とにかく丈夫!だそうです。お話会で、ある農家の方が「雪国でも冬場も牛舎なしで育てられますか?」と質問された時、中洞さんは「うちは岩手で雪もすごく積もりますが、みんな元気です」と満面の笑みで答えていました。なるほど。。たくましいはずです。

~牛も健康ならば人も~

そしてなりより、牧場で働くスタッフのみなさんは、牛たち以上に皆眩しかった!お世辞ではなくて、本当に皆きらきらしていて、「このキラキラはどこから出てくるんだろう?!」って最初は自分が恥ずかしくなるような感覚になりました。

もちろん、はじける笑顔で明るい性格の方もいれば、おとなしく静かな性格の方もいるんです。でもなにか、共通した健やかさが体現されているように思いました。当時は、山の中で美しい水や空気、緑に恵まれて、気持ちよく仕事に取り組めること、この生活環境が人の健やかさも作っているんだろうな、と単純に思っていました。実際に、私も宿泊してその環境に慣れてくると、旅の疲れや緊張が溶けて、翌朝には牧場の敷地のようにのびのびした自分の心の変化を実感した程です。とにかく気持ちの良い環境でした。おそらく牛にとっても、ですね。

でも、いま振り返ってあのキラキラ感は何から?って考えてみると、他にもいくつか要素がありそうだなと思ったので、次回書いてみます。




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