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牛乳の話④贅沢な一杯

”牛乳は、がぶがぶ沢山消費するものでなくていい。日本人にとっては、あくまで贅沢な嗜好品や滋養食品でもいいと思っている。”

中洞さんは、当時このようなことを言っていたと思います。

酪農家の立場の人からそんな言葉を聞くなんて、意外だと思いませんか?

酪農家なら、沢山売れた方が嬉しいはず。もちろん、ロスが出るのは困ってしまうし牛に申し訳ない。

でも日本という立地での酪農の未来は、そこにヒントがあって、これから多くの人が選ぶ新しいスタンダードになるんじゃないかなと私は思いました。

なかほら牧場の牛乳は、近所のスーパーで買える牛乳の価格の8倍位します。その理由は、そもそも牛乳の搾乳量が現代の酪農で搾乳される量よりも少ないからです。そしてどうして搾乳量が少ないのでしょうか。いや少ないわけではなくて、それが牛本来の乳量だからのようなのです。

今、多く出回っている牛乳はどうして安価に大量に作ることができているのか?その背景を本や他の酪農サイトなどから調べるとおおまかに下記のような現状も出てきました。

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牛は、元々草食動物で、穀物などをうまく消化する身体も構造になっていない。けれど、濃厚な乳脂肪分の高いお乳を沢山出してもらうために、餌には輸入穀物飼料などが与えられる。そんな風にして消化不良で内臓に負担がかかり健康寿命を縮めている牛たち。

また、生まれてすぐの子牛は母親のお乳を飲んで育つはずが、早い段階で引き離されて粉ミルクを飲んで育つ。少しでも搾乳量を増やす為に。

すると、本来の免疫力がつかないまま、また牛舎飼いなどにより運動不足などもあいまって体調を崩しやすい牛に育っていく。

そして、抗生物質を投与されたり、早くお乳を搾乳するために成長ホルモン剤を投与されたりする。

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そもそも、そんなに牛に無理にお乳を出させてまでして、大量の牛乳を私たち人間が摂取する必要があるんだろうか。そんなに安価な値段で大量の牛乳を流通させる必要があるんだろうか。

確かに、牛乳やバター、生クリームで作ったお菓子やお料理も美味しい。

手ごろな値段で作れたり食べれたら、嬉しいかもしれない。

でも、私は、それって毎日じゃなくてもいい。その分、健やかで幸せに生きている人達や牛たちから生まれる牛乳を少しずつ選択したい。

目の前で牛のお産に立会ったり、生まれて数ヶ月の子牛が安心して昼寝している様子を中洞牧場で見た経験が、私の選択を変えつつあります。

牛本来の生態にあった住環境、放牧、草食、自然分娩、その結果、生まれた赤ちゃん子牛のためのミルク。2ヶ月ほどはちゃんと母のミルクで育ててから、製品にする牛乳として搾乳を始めるという配慮。

そして、野芝が生える山に牛と共にしていくことは山崩れを防ぐことにもなるそうです。

そんな中洞牧場の取り組みを知った上で口にするなかほら牧場の牛乳は、まるで貴重なアムリタのようです。

毎日沢山の牛乳を消費しなくても、丁寧に健やかに作られた牛乳を適切な価格で譲り受けて、自分の滋養にする。

そういう選択があることを教えてくれたなかほら牧場に今でもとても感謝しています。

皆さんも、もし「なかほら牧場」の牛乳や乳製品、またお近くの「山地酪農の牛乳」などを見つけたらぜひ、試してみていただけたらと思います。

きっと、その以外なやさしい口当たりと滋味深い味わいにびっくりすると思いますよ^^


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