こんな物が凶器になるなんて


「どうしよう、ぶつけた理由を正直に言うのが恥ずかしい・・・
そのぐらいのことで病院に来たんかいって思われるのがなんか嫌だな・・・」


ほんとに予期せぬことがきっかけで

視界の一部が黒くなるという恐ろしい事態が1時間ほど続いた私は、夫の運転する車で眼科に向かっていました。

それは、いつものルーティーンの一部のありふれた行動の中で。

専業主婦なら誰しも朝に行うであろう当たり前の家事の途中で。

ほこりアレルギーの私は

毎朝必ず家族が使った寝具のほこりをはらいます。

最近は、もしも厄介なウイルスにかかったとしても家族への感染を最小限にしたいという気持ちもあって、マメに、念入りに掃除をするようにしているんです。

その日も、いつものように夫が仕事に行き

子ども達にご飯を食べさせた後

休校中のお兄ちゃん達に末っ子のお世話をバトンタッチした私は、家事集中モードに突入しました。

まずは洗面所に行って歯磨きして

そのついでに洗面所の掃除をします。

小さいタオルで落ちている髪の毛などを拾ったら、そのタオルを洗濯機に入れ、あらかじめ入れてあった服と一緒に洗濯開始。

次はお昼ご飯の支度です。

メインのパスタは昼直前に作るつもりだったので、汁物とサラダだけ先に作り置きします。

スープの仕込みを先にして、具材を煮込み、火を通している間にサラダを作る。

時間があれば、使ったボウルやお皿を洗っておき、作り終わる時にはシンクがきれいに片付けている状態になるように、あれこれ逆算しながら作業します。

作業しながらも、常に頭の中では次の行動を考える。

これが終わったら次は洗濯が終わるまでの間に前日の洗濯物をたたむでしょ。

でもその前に布団を干して

毛布のほこりをはたかなきゃ。

***

私は重たい毛布を抱えて窓をあけ、ベランダに向かって毛布をパタパタ。

いや、パタパタというより

もっと思いっきり

パタン!パタン!と仰ぎます。

その音と共に、目に見えて沢山のほこりがブワーッと飛んでいくのが、日差しの隙間から見えると

あ~今日もあのほこりの中にいるダニ様が何匹もいなくなったわ

いや何匹じゃないわね

確かスプーン1杯分のほこりの中に500匹いるんだとか!

だから、この布団の中に800匹ぐらいいるんじゃない!?

ダニさんサヨウナラ〜って

スッキリする自分がいるんです。

とはいえ、3月に、一軒家からアパートへと引っ越したばかりなので

狭いベランダで毛布をはたくことには慣れていません。

この時も、ベランダの壁に当たらないようにするために

だいぶ腕をせばめながら

それでも力は最大限にと思って

いつになく強い力で、腕と毛布をふりました。

ブン、ブンッ

よし、もう一回

ブン!!ブン!!

「うわっ!!!」


次の瞬間、私は思いっきりしゃがみこみました。

「いっっった・・・・痛い・・・」

おでこというか、右目がとにかく痛いと感じた私は、目をつむったまましばらくうずくまっていました。

自分でも一瞬すぎて何が起こったのかさっぱり分からず

ただ右目が開けられないまま

私は、自分が腕をふった毛布によってメガネで目元を強打したんだと思い、痛みの無い左目だけを開けて、現場を見てみました。

するとベランダには

私がとっさに落とした毛布の横に、洗濯ばさみがひとつだけ落ちています。

ん?

あの洗濯ばさみ、もしかして。。。

あああああ!


その瞬間に、私は自分がバチが当たったのかもしれないと思いました。

それは前日の夜のことです。

***

寝る時に、ほんの少しでも音や光があると

それが気になって眠れない神経過敏な私と

どんな音や光の中でも、なんなら立ったままでも眠れるほど、子どもの運動会の時でさえ

ビデオで撮影途中に居眠りしちゃうぐらい超神経がお休みしている夫と

そして2歳の娘の3人でいつも寝るのですが

その日の私はけっこうイライラしていました。

私が閉めるとキッチリ隙間なく閉められるカーテンが、その日は閉め方が甘くて

隙間から月の光が差し込んでいたからです。

これじゃあもちろん私は寝付けないし

明日、朝が来た時にその隙間から陽がさしこんでまぶしくてゆっくり眠れないじゃん

なんてことを勝手に一人で想像して

それに気づいてくれない夫に不満を持っていたんです。

カーテンを閉めたのは夫だったし

そのカーテンの隙間の部分には夫が近かったので

本当は私は、夫にそれをどうにかするようお願いしたかった。

でも、私が神経質なことに対して

時々夫は大げさだと笑うので

これもまたお願いしたら
ププッと笑われるんだろうな

気にならない貴方には分かんないのよ〜だ。

いーだ。ふんっ。

私はそうなるのが嫌で

それも勝手に想像したうえで

神経質な自分がまるで悪者扱いされてる気がして
その自分をかばいたいがために

「こんなに長い間連れ添ってるんだから、神経質な私の気持ちも分かってよね」

というセリフを

もちろん口には出さずに

心に思いっきり込めて

「はぁ!!」

と、わざわざ目をいったん白目にする感じの表情でため息をつきながら


起き上がって別の部屋から洗濯ばさみをとってきて、カーテンの中央部分をはさんだんです。

もちろん、夫はそんな様子にも気づかず

早くも娘と2人寝息を立てていて

私は結局、1人で勝手にイライラして

1人で勝手に抵抗して

そういう勝手な自分の行動に自分で嫌悪感を抱きながら眠りにつきました。

そう、その時の洗濯ばさみ。

普段は止めていない部分に止めた洗濯ばさみ。

私がイライラしながら止めた洗濯ばさみ。

どうやらその洗濯ばさみが

私がカーテンの間から毛布をエイッと振った瞬間にはずれ

不運にも、ものすごい力で振り落とされながら

私のメガネに当たり

そのメガネのふちの部分が私の右目の一部分に超ピンポイントでガンと当たったのでした。

「なにこの状況。最悪じゃん。それにしても、痛いな右目・・・」

しかも、打った衝撃でいきなり鼻水までツーッと出てきてるし。

なんて日だと思いながら

おそるおそる目を開けて

次の瞬間私はまた叫びました。

「えーどうしよう、、、」

メガネのレンズに何かシールが貼られているように見えるぐらい

私の右目から見える視界の

下半分だけが

黒い丸に見えます。

焦って何度もまばたきしたけれど

何度パチパチしてもその黒い丸が消えない・・・。

例えば電気の明かりを直視した後に

目を瞑ってからもう一度開けた時に残像が見えるのと同じような

不気味な光のような丸い形が

私の視界をずっと遮っています。

これはヤバい、、、かもしれない、、、。


私は慌てて仕事中の夫に連絡をいれました。

「ごめん、申し訳ないんだけど仕事抜けられる時間でいいから眼科に連れてってほしい」


***

この話をしたいがために

洗濯だのお料理だの、私のルーティーンを書いて遠回りしましたが

この時の私は、すでにいろいろと自分を恥じていました。

自分の都合でのイライラを洗濯ばさみに八つ当たりしたというか

洗濯ばさみを邪険な気持ちで止めた自分のこととか

その洗濯ばさみを止めたことによる今回のアクシデントのこととか

それが原因で夫の仕事を休ませてしまうこととか

いろいろと胸が痛む要素がありすぎて

余計に視界が暗くなっているような気分でした。


夫にはまさか、洗濯ばさみを止めた理由は言えるわけもなく

ただ、右目を打った時の状況だけは正直に説明しました。


視界の一部が欠けているような状態は

夫が帰宅した頃には良くなっていたけれど

やっぱり目のことだし、心配なので念のためにと眼科へ向かってもらったのです。

そしてようやく、冒頭部分の会話です。


「どうしよう、ぶつけた理由を正直に言うのが恥ずかしい・・・
そのぐらいのことで病院に来たんかいって思われるのがなんか嫌だな・・・」

いつもの通り、夫からサクッとこんな返答がきました。

「先生、目の見え方が変なんです。私、美人なはずなのに、急にブサイクに見えるようになったんです、、、、これでいいんちゃう?」

はい出ました。

いつも、思いやりがあるのか

ただの思いつきなのか

ちょっとはみ出した回答をくれる夫。

おかげですぐに

ぶはーっと笑いが出て

そしたら気持ちも軽くなって

その5分後に眼科に到着した私は先生に堂々と

いや実は、ほんの少しだけ顔をあからめながら

「こんな理由話すの恥ずかしいんですけど、あの、毛布を、、、」と

事実だけを伝えました。

さすが、良いクチコミが多かった眼科なだけあって

先生は私の話を笑うこともなく

親身になって話を聞いてくれて

「どんなぶつけ方でも、一時的に視界がおかしくなったということは念のため異常が無いか調べた方がいいと思います」と促してくれて

私は検査を受ける事ができました。

そしてやはり

検査を受けて良かった!

目の裏側の血管の周りが

ほんの少し白くなっていたんです。

先生の話によると

だいたいは炎症が落ち着けば治るけど

ごく稀に、そこから穴が開いたり網膜剥離になったりすることもあると、、、。

も う ま く は く り ??

うぎゃーー。

経過観察ということで

また数週間後に受診することになりました。

目の裏側で何が起こっているかなんて

やっぱり自分では分かりっこないもんね。


***

今は、新型のウイルスにいつも以上に敏感になって過ごしていますが

こんなひょんな事がきっかけで

危うく「網膜剥離」なんていう

漢字を見ただけでも怖くなっちゃうような危険が迫ることもあるんだな

目に見えないウイルスのことも、考えると怖いけれど

目が見えなくなった世界で生きていくことの方が

私にとってはもしかしたら、、、。


いや、でもこんなこと思うのは不謹慎かな

うーん、、、と。

いろんな事を考えた1日でした。

***


日常には、思った以上に危険が潜んでいます。

今もしあなたが

布団に横になって

スマホを顔の前に持ちながらこのnoteを読んでいるとしたら

ふいにくしゃみをハクション!

としただけで

その瞬間にスマホが顔面にゴン!!

イッタ、、、、痛い、、、

なんて事にならないようお気をつけてください(笑)






私の書く記事は多分、伝わる人が限られています。いじめ、機能不全家族、HSP、病気などの記事多めなので。それでも深くせまく伝えたくて書いています。サポートとても嬉しいです。感謝します。コメントも嬉しいです🍀