買う前に、捨てる前に、目の前のものを愛したい。
それは今から2~3年前のこと。
ちょうど「ミニマリスト」とか「シンプルな暮らし」みたいな言葉が流行りだして、無印良品を筆頭にスッキリしていて洗練されたライフスタイルが注目されていた。
もちろん私もその影響受けたひとり。
小さい頃からたくさんのものを消費して捨てていく生活に対して違和感を持っていたし、1つのものを長く使い続けることってかっこいいなと思っていた。
特に西欧のヴィンテージみたいなものにすごく憧れがあって、受け継がれてきた歴史を感じながら生活してみたい!なんて夢を描いていたときもある。
とはいってもどうしたらSNS映えするような部屋になるのか当時は知識がなかった。見様見真似で断捨離してものをたくさん捨てても後から生活が成り立たなくなって結局買い直すなんてマヌケなことをやったりもした。
振り返るとあのときの私は試行錯誤の道の途中にいたのだと思う。
たくさんのトライをしてたくさんの失敗をしたおかげで…今年になってようやくものに対する距離感を掴み始めた気がする。
「ものを大切にするということは、自分の時間と手をかけてメンテナンスしていくこと」
今週引っ越しを控えていることもあって、ひたすらものに向き合う日々。
段ボールの中でものが動かないように詰めたり、割れやすいものは紙で包んでから入れるようにしたり…、一つ一つ丁寧に扱いながらひたすら梱包、梱包。
加えて使っているうちに汚れてしまった家具はアルコールが入ったウェットティッシュで磨いて並行で掃除もしている。
普段は気にならなかったゴミ箱の周りの汚れや折りたたみの椅子の脚の汚れをひたすら手を動かしてきれいにしているだけなのに、気がつくと愛情を持って接している自分に気づく。
ものは買うから好きになるのではなくて、磨いたり洗ったりして手をかけるからこそどんどん愛おしくなっていく。
まるで人間関係やペットとの関係とほとんど変わらない、大切なのは向き合う姿勢がどこにあるかどうかなのだ。
買えばいいや、でもなくて。
捨てればいいや、でもなくて。
まずは目の前にあるものに向き合うこと。
これが本当の丁寧な暮らしでありシンプルな生き方なのかもしれない。
ついつい私たちは人と比べたり理想と比較して落ち込んでしまうときもあるけれど、目の前に当たり前にある幸せに気づくだけでも世界は静かに変わっていく。
どうしてもだめなときはだめでもいい。
ただどんなことがあっても幸せのヒントは必ず自分の手の中にあるはず。
愛する幸せ。
愛される幸せ。
どちらもかけがえのない幸福なのだ。
ほがらか
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