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すぐに実践できる!職員が主体的に参加する会議の作り方

皆さんの職場の会議はどのような雰囲気でしょうか。緊張感の漂う会議?シーンと会議?和気あいあい会議?

仕事をする上で、ある程度の緊張感やメリハリは大切です。しかし、意見を求められても黙ってしまう。怖くて自分の意見が言えない。これでは会議を開く側も参加する側も本意ではないし、質の良いアイディアは生まれにくいでしょう。

意見を求められても黙ってしまう原因はいくつか考えられます。対策を丁寧に取り組めば、自然と活発な会議になっていきます。今回は「心理的安全性」をキーワードに解説していきます。

園長コマツ
とある私立認可保育所の園長です。 子どもや保護者、職員みんなが活き活きと暮らせる保育園へ向けて悩みながら改革中。 自分の取り組みや学びをNoteを通して発信します。 プライベートでは二児の父。 好物はハンバーグ。



会議の質を高める「心理的安全性」

会議でシーン…となる理由『どの立場の人にもプレッシャーがある。』

会議の場で発言せずに黙ってしまったり、自分の意見を出すのに抵抗があるのはなぜでしょう?会議や研修のような場では4つのプレッシャーがあると言われています。

発言を妨げる4つのプレッシャー
・同調プレッシャー…自分の意見が他者と異なる際に感じる,意見を発言することへのプレッシャー。
・評価プレッシャー…他者から自分の考えを否定されたり,考えの根拠を追及されたりすることへの恐れに基づく発言へのプレッシャー
・経験年数プレッシャー…経験年数に応じた役割意識やプライドから,研修における語り合いを牽引する存在や知識豊富な存在であるべきというプレッシャー
・完成度プレッシャー…自分の考えを発言する際に,他者に内容が正確に伝わり,かつ他者が納得する水準の内容でなければならないという自己規定により生じるプレッシャー

会議や研修のグループワークのような場において、「新人もベテランも等しく同様にプレッシャーを感じている状態である」という認識を持つことが大切です。このプレッシャーをはねのけ、安心して発言ができる状態にできると、職員もおのずと主体的に会議に参加してくれるようになります。

そのためには、プレッシャーの中身を把握し、乗り越えるような仕組みを作る必要があります。

その際にキーワードとなるのが『心理的安全性』です。


会議の質を高める心理的安全性

心理的安全性とは組織行動学を研究するエドモンドソン教授が提唱した心理学用語です。

心理的安全性とは?
自分の発言をチームメンバーが拒否したり、罰したりしないだろうとチームメンバーのことを信じている心理状態のこと。

例えば、保育でケース会議をしていたとします。ある子どもの様子をビデオ撮影し、みんなで検証する取り組みを行いました。ある職員は1つの事に気が付きましたが、「こんな事言ったら馬鹿にされるんじゃないか?」とか「これ言っちゃっていいのかな…?」と思い、結局、発言はせず、会議は終了しました。

このような経験は皆さんもあるのではないでしょうか?この心理状態メンバーへの信頼よりも、自分に対する評価プレッシャーが上回ってしまったのですね。つまり、心理的安全性が低い状態であると言えます。

会議で気軽に発言できるようになるためには、プレッシャーを押しのけるぐらい、心理的安全性を高めてあげることが大切です。特に保育の質を向上させるためにも、この心理的安全性は大きなキーワードとなってきます。


子どもの育ちに大切な『意見の多様性』

子どもの育ちを検証する場合、様々な角度からの意見が大切です。

例えば、担任の前ではいつもやんちゃなA君が、年下の子がいるクラスではお世話をしてあげたり、遊んであげていた、という場合。担任だけの視点だと『A君はやんちゃな男の子』だけで終わってしまいます。
しかし、ここに年下のクラスの担任の先生がA君の一面を伝えると、A君は『やんちゃだけど、年下には優しい男の子』という見方になります。

そして、「どちらが本当のA君なのか?」ということではなく、「どちらもA君の本当の姿」というわけです。

このように子どもを観る場合、様々な人からの意見があることで、その子の発達や特性への理解が深まります。色々な意見が出れば出るほど、こどもへのまなざしの多様性が生まれ、豊かな記録になっていくのです。

そこから思わぬ発見や解決策、その子の大切な育ちに繋がる事があるのです。心理的安全性を高め、職員が発言しやすい場づくりをすることは保育をする上でとても大切な作業と言えます。


スグにできる!心理的安全性を高める3つの取り組み

心理的安全性を高めるためにはプレッシャーの内容を理解し、それを解きほぐす取り組みが必要です。ここからは、心理的安全性を高める、具体的な例をご紹介します。


①会議で話す内容を事前に周知しておく。

会議が始まり、突然「今日はこのテーマで話すので、意見をください」と言われると、「何かいい案を出さなきゃ…」と緊張感が高まり、発言のハードルがあがってしまいます。

会議で議論する内容があるのならば、事前に周知し、考えをまとめて来てもらうようにしましょう。事前に内容を自分の中で考え、まとめたものを発表するのであれば、ハードルは少し低くなるでしょう。評価プレッシャーや完成度プレッシャーを軽減する効果が狙えます。

当たり前の事ですが、意外と疎かにしがちな点です。

また、「内容を詰めすぎている会議」というのは、どうしても事前に考えてくることが多く、受け身の参加になりがちです。「何をする会議なのか」の目的をしっかり共通認識にしておきましょう。「今日はこれについて話し合うんだ!」と目的が明確になる事で、参加者も主体的に参加する効果も期待できます。


②「対話」をする研修をおこなう。

心理的安全性を高めるためには、自分の価値観を認めてもらい、相手の価値観を認める関係性であることが必要です。そのような関係性は一朝一夕で出来上がるものではありません。「対話」を取り入れた研修を繰り返していき、少しずつ関係性を構築していく必要があります。

「対話」とはそれぞれの価値観を交換することです。価値観を交換することで相手に自分の事をわかってもらえている、という安心感が生まれます。すると、プレッシャーよりも安心感が勝ることで発言が容易にできるのです。

チームビルディングの研修内容を知りたいかたは、コチラの記事をご覧ください。チームビルディングの考え方や研修内容、そのまま研修で使える資料など全てが揃っている記事です。


③会議前にアイスブレークを取り入れる。

心理的安全性を高める方法の1つに、アイスブレークという手法があります。

アイスブレークとは?
アイス(氷)をブレイク( 壊す)という字の通り、メンバー間の間にある隔たりを壊し、心理的安全性を高める取り組みです。会議前の10分間で簡単なゲームやお大事に沿った雑談などをします。

アイスブレークの目的は「とにかく発言すること」です。議題や仕事とは関係のないゲームや雑談をし、1回メンバーに向けて発言する経験をしておくと、議題においても発言のハードルが下がります。

アイスブレークの具体例
・共通点探し…2〜4人のグループを作り、全員の共通点を探せるだけ探す。数の多いチームの勝ち。
・グッドアンドニュース…24時間以内の良い出来事をそれぞれ話す。
・「人生最後に食べたい料理は?」…人生で最後に食べたい料理について、理由や魅力について語る。

話し合いの前に、ぜひ取り入れてみてください。


まとめ

会議で発言せずに黙ってしまうのは、4つのプレッシャーがあるから。

同調プレッシャー
評価プレッシャー
経験年数プレッシャー
完成度プレッシャー

職員が参加したくなるような会議作りのキーワードは「心理的安全性」。

心理的安全性とは?
自分が発言をチームメンバーが拒否したり、罰したりしないだろうと思える心理状態。

心理的安全性を高めるために、今すぐ取り組める3つのコト。

会議で議論することは事前に周知する。
「対話」の研修をおこなう。
会議前にアイスブレイクをおこなう。

会議は憂鬱なものではなく、楽しいもの!と感じる事ができるようになれば、職員の働き甲斐にも繋がります。
出来る範囲内で取り組んでみてください!


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