【コラム これからの保育のために】 第1回 ゆらぐ保育界

第1回 ゆらぐ保育界

もろもろの事情からこのところ文章をあまり書かずにおりました。リハビリがてら保育について思うところを少しここに書いていこうと思います。

この1年あまり保育界はかなり深刻なレベルで大きく揺らいでいたように思えます。
主なところでは、
a,不適切保育問題の余波。
b,保育施設の飽和、過剰からの園児減少、施設の淘汰が起き始めたこと。
c,保育の質の問題が浮き彫りになってきたこと。

保育者個人に影響を与えたところではa,が大きいです。

保育士のなり手がさらに減ったこと。
現役の保育者が少なからず離職したこと。
保育に自信を持ってのぞめなくなったこと。

これらどれも深刻です。

僕自身は不適切保育があらわになって社会的問題として認識されるようになったことは、保育界のためにはすごくよいことだと考えています。
なぜなら、これまでも大きな問題にならないだけで、不適切保育は山のようにあったからです。

むしろ不適切なことを不適切と認識していなかった現実、認識していても「しょうがないよね」で見過ごしてきた現実がありました。
その中でそれに異を唱えた保育士が辞めさせられたり、結果的にその施設で働くことをあきらめたりすることがたくさんありました。

言ってみればこれまでの保育界は、おかしいことをおかしいと言えない体質があったわけです。社会的マターになったことで、ようやく保育界はそれに真正面からとりくまざるを得なくなりました。
自浄作用が薄く、外の目でしか変われないのは専門職としてはなさけないことですが、それでも適正な方に進む道筋が求められるようになったことはよいことでしょう。

しかし、不適切保育を認識するようになったことへのこうした肯定論は保育の現場からは聞こえてきません。

聞こえてくるのは、「どう保育したらいいのかわからなくなった」「自分の保育に自信がもてなくなった」などの不安感です。
そうした声も現実問題としてやむをえないことでしょう。
また、自身の仕事を疑問視する視点は専門職としてむしろ必要なスタンスであるとすらいえます。

次回以降、これまでのなにが問題なのか、どういう視点、方向性で保育や子供をとらえれば安心して保育ができるのかを考えてみたいと思います。


保育士おとーちゃんこと須賀義一です。 保育や子育てについて考えたことを書いています。