【作家視点】1冊の小説が出版されるまでの流れ(#7)
実は「一言解説」は、初の打ち合わせの時から担当さんから提案されており、私は当初「解説は無い方がいいのでは…」派でした。
140字小説は、全てを語るには余りにも文字数が少ないため、想像や察しの余地、そして余韻を残す文章と相性が良いです。
多くを語らず、読者自身の想像力と察しで物語を理解する気持ち良さこそが140字小説の醍醐味であるため、そこに解説を投入するのは、興醒めであり蛇足だと思ったからです。
一方で、担当さん的には「話を理解できないまま終わるのは避けたい」というものでした。
確かに、明示せずに想像の余地を残すということは「どいうこと??」となる人もある程度、常にいるということです。
SNSへの投稿であれば、よくわからなくてもリプ欄を見れば誰かしら我解釈を述べてくれているので「なるほどね」と納得できます。
最悪、リプ欄で聞けば誰かが答えてくれます。
ですが、書籍となった場合、それが出来ません。
わからなかった話は、モヤモヤとわからないまま終わります。
ですので、そのリプ欄に代わる一言解説やヒントのようなものがあってもいいかもしれない、と思いました。
似たような書籍に「54字の物語」がありますが、あちらは一作一作、解説がつきます。
私も読んだ事がありますが、解説は、よくわからなかったり解釈に自信が無い時だけ読みました。
そういう「不要であれば、読まずにスルーする」という選択が出来るため、大は小を兼ねるではありませんが、本作にも一言解説は載せてもいいかもしれないと考えました。
勿論、それでも目障りに感じる方も多いかと思います。
掲載位置的にも、スルーするのが難しいかもしれません。
悩んでいるところに、担当さんの「140字小説を何作も通しで読むと疲れてくるので、ワンクッションがあると嬉しい」という提案を受け、それはその通りだなと感じました。
そして、諸々を天秤にかけて熟考した結果、一言解説を掲載することにしました。
この一言解説が、不要な方は読み飛ばしていただき、必要な方に対しては助力になる、という機能になっていれば幸いです。
【次回:⑧校正・校閲編】
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