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災害は犯罪の発生数に対して中立的

災害が起こると決まって被災地で犯罪が多発しているという言説がまことしやかに囁かれ、それは被災後の生活に大きな不安を与えます。また、関東大震災では「朝鮮人が井戸に毒を入れた」という噂が流れたことにより虐殺が起こる事態にもなりました。

当記事では災害が犯罪の発生数に対して中立的ニュートラルであり、災害直後に犯罪が多発しているという言説が主観的な捕捉率や情報の伝わり方の変化で説明が付くことを解説します。

結論から言うと、被災地でも「普段通りの頻度」での犯罪は起こってますので決して油断してはいけませんが、それを過度に恐れて被災者同士で分断を起こすと本当の脅威である火事場泥棒が付け入る隙を与えることになります。


犯罪は普段から起きている

被災地で多発していると喧伝される主な犯罪は窃盗、強盗、性犯罪、そして児童虐待ですが、これらの犯罪は災害がなくても常日頃から起きています。

ただ、平時は見つからないようにうまいことやっていたり、検挙されてもいちいち話題に上ることが少ないだけです。特に常習的な犯罪者にとって犯罪は日常そのものであり、平時においてバレないように行うルーチンが確立されています。

悪意のある人間は一定数どこにでも潜んでいるのです。

災害で可視化されると増えたように見える

犯罪者の多くは災害が起きたからと言って犯罪を自粛するようなことはしません。中には普段のルーチンが通用しなくなることを危惧して活動を休止する者もいるかもしれませんが、多くは普段通りの犯罪行為を続けます。

ところが災害時は人々の警戒心が高まるため、普段では見過ごされるような小さな変化にも気づいて即座に情報が拡散されます。これには見間違いや誤認も含まれます。そのため災害時は犯罪者にとってはむしろやりにくい状況であるとすら言えます。

避難所にはプライバシーがないので性犯罪や児童虐待を行えば一発で周りにバレます。性犯罪者と虐待常習犯は特に自制することが苦手であり、普段と同じノリでやってしまうため捕捉率は限りなく100%に近づくでしょう。被害者は普段通り我慢していても周りの人が黙ってません。

なお、これらの犯罪の普段の捕捉率は1桁%です。性犯罪のほとんどは密室で行われているため泣き寝入りで、児童虐待は家庭内の問題ということにされているので行政も近隣住民も見て見ぬふりする悪い紳士協定が成立しています。

災害によって普段の犯罪を隠蔽する仕組みがぶち壊され、犯罪行為が可視化されるのは逆に好ましいことと言えるのではないでしょうか。

問題は遠征火事場泥棒だ

災害発生から時間が経つと救助や安否確認、避難物資を届けるために他地域から多くの人が出入りするようになります。この時に他地域の犯罪者も集まってくることになり、これが実質的な治安上の脅威となります。

残念ながら、能登半島地震では震災後しばらく経ってから多くの遠征火事場泥棒が出たであろうことを推測できるだけの根拠があります。それは他の地域が不自然に平和で、強盗や窃盗などの犯罪があまり報道されていなかったことです。

これは他地域の犯罪者が石川県に集結していることを示唆しており、全国的な犯罪の発生数が一定だと考えると被災地が治安の悪化を一手に引き受けることで東京や大阪などの人口密集地で起こる犯罪を減少させていた可能性が高いです。

また、地震発生後にツイッター上で住所を書いた上で救助を求めるツイートが散見されて、そこに消防や警察が向かったもののそれらしい家が見当たらなかったという悪意のあるイタズラのようなものがありました。これは今思えば火事場泥棒による撹乱工作だったのではないでしょうか?

意図的に被災者同士の分断を煽るデマやヘイトスピーチが行われていることも火事場泥棒の関与が疑われます。

被災者同士の結束で遠征火事場泥棒の被害を防ごう

被災者の中にいる悪意のある人間は限られていて、避難所における犯罪行為は容易に可視化されるため大きな脅威ではありません。それを過度に恐れることは被災者同士の分断を生み、被災地の外にある無尽蔵の悪意が付け入る隙を与えるだけです。

逆に言うと、被災者同士が互いに不寛容にならずに結束することで外部の悪意に対する強い防衛力を発揮することができるのです。

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