見出し画像

『地域で支える緩和ケア 〜早期にチームで対応するには?〜』【#在宅医療研究会 オンライン|9月度開催レポート】

在宅医療研究会オンライン第27回目は、杏雲堂病院腫瘍内科医長・ブレストセンター長の佐々木政興先生にお越しいただき、「地域で支える緩和ケア〜早期にチームで対応するには?〜」というタイトルでお話しいただきました。
 
まずはじめに、杏雲堂病院の紹介をさせていただきます。杏雲堂病院は、神田駿河台に位置しており、今年で創立140年目を迎える歴史のある病院です。創設者の佐々木東洋は、夏目漱石の記述のなかに気難しい方であったと書かれていますが、同時に当時の社会に必要とされる人物として描かれていました
 
病院は設立以降さまざまな変遷を経ており、一時はがん研究をリードするような取り組みもありました。ただ「医学の進歩に寄与し、医業を持って社会に貢献する」という理念のもと、神田駿河台の地において、常に地域社会に必要とされることに取り組んできています。最近では4年前に緩和ケア病棟を設立し、病院のなかで緩和ケアというものが成熟しつつあります。
 
そのような背景の元、本日は「地域で支える緩和ケア〜早期にチームで対応するには?〜」というタイトルでお話をさせていただきたいと思います。

1.緩和ケア外来初診後の患者さんの方向性(自院データ)

当院の緩和ケアには、腫瘍内科の研鑽を積んだ緩和ケア医と緩和ケアの研鑽を積んだ腫瘍内科医が関わっています。
 
腫瘍内科医にとって最後のセカンドオピニオン的役割を持つ緩和ケア初診外来は、緩和ケアの導入あるいは緩和的化学療法(Palliative chemotherapy)の実施について検討する、最終的な治療方針を選択する場としての役割を果たしています。
 
緩和ケアを行う場合は、腫瘍内科の研鑽を積んだ緩和ケア医と、緩和ケアの継続の方法、往診・訪問看護との連携、当院のバックベッドの登録、当院外来フォローの継続などについて検討していきます。
緩和的化学療法の可能性を考える場合は、緩和ケアの研鑽を積んだ腫瘍内科医が診療を担当し、患者さんの状態に応じた化学療法を行っていきます。
そして緩和ケアと緩和的化学療法の間で、いつでも選択を変えることができるよう、配慮がなされています。
 
2018年5月に緩和ケア病棟を開設して以来、約900件の緩和ケア面談を行っていますが、最近は当院にバックベッド登録をした上で往診を導入した方が、全体の約45%になっています。また緩和的化学療法を導入した方は10人程度おられます。これらの方々は、特に地域の医療機関と連携をしながら、つまり地域の方々に支えていただきながら、緩和ケアを行っていると言えるでしょう。
 
緩和ケア初診外来にご紹介いただいた具体的事例として、80代で胃がんと肺がんのダブルキャンサーと診断された男性や50代で乳がんとなり、肝臓と脳に転移がみられた方があります。前者の方は未治療で併存症がなく、生活も自立していた方で、治療にも前向きな方でしたので、緩和的化学療法を導入しました。後者の方は、高次脳機能障害も認めたため、リハビリテーションを実施しながら緩和的化学療法に移行しました。いずれの方も、地域の医療機関と密に連携をとり、1年ほどの緩和ケアの期間を経て永眠されています。最後までご本人らしさを保ちつつ、地域において緩和ケアを継続させ、地域のなかで緩和ケアを充実させることができました。

2.早期から緩和ケアの介入を目的とした緩和ケアの情報発信

地域での緩和ケアを充実させるためには、早期からの緩和ケアが不可欠ですが、そのためには患者さんや医療関係者が、緩和ケアについて理解をしておく必要があります。
 
ところが厚生労働省健康局がん・疾病対策課の遺族調査(平成30年度)の資料によりますと、亡くなる1週間前の痛みが「とてもひどい」、「ひどい」と回答した遺族は3割弱もいました。この背景には、早期からの緩和ケアが不足していることが考えられます。
 
この状況を改善するために行っている、わたしたちの取り組みをご紹介します。

1)  緩和ケアに関する情報発信

まず患者さんやご家族の緩和ケアに対する理解、また医療関係者の理解を深める必要がありますが、そのためには緩和ケアに関する情報発信が重要です。
 
例えば当院では「あんずカフェ」と称し、数ヶ月に一回の情報交換会をしており、「一から知りたい緩和ケア」と題したweb座談会を地域住民対象に企画したことがあります。
 
このときは、事前にアンケートを通じて緩和ケアについて住民が知りたいことを調査しておき、その質問に対して緩和ケアチームのメンバーが答えていきました。質問には、「緩和ケア病棟ではどのような1日を過ごすのか」、「緩和ケア病棟でできること、できないこと」、「ホスピスとの違い」などがあがっていました。
 
このweb座談会のあと、「緩和ケアが患者さんに寄り添う医療を心がけていることを感じた」、「終末期を迎えている患者さんのケアだと思っていたが、がんの初期からのケアだと知った」などの感想が寄せられていました。このような感想を読むと、改めて情報発信をしていく重要性を認識しました。
 
また地域の医療関係者への情報提供も重要です。これまであんずカフェでは、緩和ケアの現場教育で使用する動画を、在宅医療を担う医療関係者向けに共有し、在宅医療の現場でも実践できる緩和ケアについて情報提供しています。このような実践的な情報を提供することで、緩和ケア病棟だけでなく、場所を問わず緩和ケアを充実させることができるようになります。

2)  緩和ケアによる自分自身の症状緩和を通じた理解

また患者さん自身の症状が緩和することを通して、患者さんの緩和ケアへの理解が深まることがあります。
 
例えば、あとから詳しく触れますが、当院では緩和放射線治療を通じて緩和ケアへの理解を深める取り組みを行なっています。地域の医療機関から緩和放射線治療のご紹介をいただいた際、患者さんにはあえて緩和ケア病棟に入院していただき、緩和ケアを経験していただいています。そして、実際に患者さんご自身が自分の症状が緩和されることを経験されます。そうすると、その後の緩和ケアの受け入れがスムーズにいくことがあります。

3)  緩和ケアチームとの併診による理解

さらに入院患者さんに対し、緩和ケアチームが併診させていただくことで、患者さんや医療関係者の緩和ケアに対する理解が深まることもあります。
例えば患者さんの家族のなかには、患者さん本人には苦しい思いはさせたくない、でも、できる限りの急性期治療は受けさせたい、そのようにお考えになるご家族があります。こういった場合、急性期病棟のスタッフと緩和ケアチームのスタッフが協議を行います。最終的には内科系主科で急性期病棟での治療を継続しながら、緩和ケアチームが一緒に診療し、緩和ケアによる介入も同時に行うことがあります。
 
これは入院患者さんの場合ですが、このような取り組みは、地域との連携を強めることで、急性期医療を病院で提供しつつ、在宅で訪問診療を受けながら緩和ケアを提供する、まさに地域における緩和ケア対応にも発展させていくことが可能であると考えています。

 3.在宅〜入院 途切れのない診療のために

地域での緩和ケアを進めていくためには、在宅と入院の移行において途切れない診療が必要となります。
 
当院での取り組みをご紹介します。当院では、がん看護専門看護師が重要な役割を担っています。がん看護専門看護師は、緩和ケアを受けていて、バックベッドを用意している患者さんのリストを持っており、どの患者さんが今後入院する可能性があるのか把握しています。
 
また外来看護師、ソーシャルワーカー、退院支援看護師、そして患者サポートセンターが、在宅の医療機関や患者さんたちとの強いパイプ役となっており、入院が必要となりそうな状況になれば、がん看護専門看護師と連携して対応するようにしています。
さらに入院が必要な患者さんがおられたら、がん看護専門看護師は緩和ケア病棟のスタッフにすぐに連絡をし、受け入れの準備をはじめます。こうして在宅から入院まで、一貫して緩和ケアを提供することができるよう、工夫をしています。

4.緩和ケアチームの中でのリハビリテーション

リハビリテーションは、在宅診療支援、家での生活に備えたリハビリテーション、在宅療養で日常生活の維持に向けたリハビリテーションなどが、その目的として想像しやすいところかと思います。
 
しかし緩和ケアチームが行うリハビリテーションは、このほかにもさまざまな役割があります。
 
例えば患者さんの苦痛軽減、快適な療養、気持ちのサポートなどが基本的な役割になります。具体的には不動による関節痛の予防、筋肉の凝りの緩和、寝返りの指導、浮腫に対するマッサージ、循環を促すための動作の指導、安楽な姿勢維持の指導などがあります。
 
それだけではなく、付き添いの方が疲弊している時の休息時間の確保、患者さんの前向きな気持ちを引き出すための自主トレーニングの支援など、苦痛軽減だけにとどまらない、快適な療養、気持ちのサポートなどの役割も果たしています。
 
また当院では、在宅でもできるリハビリテーションについて動画を作成しており、ご家族や在宅医療に関わっておられる方々も積極的にリハビリに取り組むことができるよう、あんずカフェの機会などを利用して情報提供しています。

5.在宅療養を支える緩和放射線治療の役割

最後に在宅療養を支える緩和放射線治療について、少し時間をとってお話しをさせていただきます。と言いますのも、今後在宅で緩和ケアに取り組んでいくと、この緩和放射線治療の役割が増していくと考えているからです。

1)  緩和ケアにおける放射線治療

さて、がんの三大治療法は、手術、薬物療法、放射線療法です。
 
放射線治療と聞くと、強い治療のように思われがちですが、実際は
・放射線治療は、治療時間が短く痛みもないため、外来通院での治療が可能
・正常組織への害を最小限にして治療ができるため、臓器の形や機能を温存できる。
・体への負担も少ないため、手術が難しい高齢の方でも治療が可能
・手術や抗がん剤治療に比べ、治療費が安い場合が多い
など、患者さんへの負担を軽くすることができる治療法とも言えます。
 
放射線治療を分類すると、以下のようになります。
・根治的放射線治療:がんを治すために行われる放射線治療
・緩和放射線治療:生活の質の向上を目的として行われる放射線治療
・緊急放射線治療:命に関わる状況を回避する目的で行われる放射線治療
 
緩和ケアにおける放射線治療は、がんが転移・再発した患者さんに対する(化学療法中の患者さんを含む)放射線治療が該当し、緩和放射線治療と緊急放射線治療が含まれます。

2)  緩和放射線治療と緊急放射線治療

緩和放射線治療の効果が期待できる症状と部位をご紹介します。
原発巣の部位が脳であれば頭痛、けいれん、神経障害、頭頸部であれば頭痛、出血、呼吸苦などの症状緩和が期待できます。
転移した部位が脳であれば、同じく頭痛、けいれん、神経障害、骨であれば疼痛、脊髄圧迫による症状の軽減が期待できます。
 
緊急放射線治療の代表的な適応は、脊髄圧迫、上大静脈症候群、気道狭窄と言われています。
 
緩和放射線治療の代表的な適応としては、骨、脳への転移、腫瘍出血、疼痛に対する放射線治療、食道がんなどによる消化管狭窄に対する放射線治療が考えられます。
 
緩和放射線治療の具体例をお示しします。背骨への転移のため腰痛や下肢の痺れがある患者さん、このような場合は背骨に放射線治療を行うことで、症状を軽減させることが可能です。また、骨転移による脊髄圧迫をきたした患者さんでは、歩行困難、運動麻痺、感覚麻痺、痺れが突然生じることがありますが、この場合は緩和放射線治療に加え、緊急照射が必要な状況と言えます。
大腸がんの局所進行病変の患者さんの臀部の疼痛、膵臓がんの患者さんの腹痛、背部痛にも、腫瘍に対して放射線治療を行うことで、症状の緩和が期待できます。そのほかにも乳がんが局所で進行した患者さんの疼痛・出血・浮腫、脳転移の患者さんに生じる頭痛・吐き気・麻痺・意識障害・けいれん、食道がんによる食道狭窄の患者さんの飲み込みにくさ・痛み、肺がんなどによる気道狭窄をきたした患者さんの呼吸苦・咳嗽などに対し、放射線を照射することで、症状を緩和させることが期待できます。

3)  骨転移に対する放射線照射

日本臨床腫瘍学会による骨転移診療ガイドラインによりますと、「骨転移の痛みの緩和に外照射は有効か?」という臨床上の疑問に対し、「外照射により骨転移の痛みの緩和や消失が期待できる」と放射線治療が推奨されています。しかもその推奨度は強く、最高位のエビデンスレベルを認めています。つまり骨転移の痛みに対し、放射線治療は標準的治療とみなすことができます。
過去の研究結果を検証すると、病的骨折や脊髄圧迫をともなわない骨転移の痛みは、外照射により59~73%の症例で緩和され、23~34%の症例で消失することがわかっています。また骨転移に伴う神経障害性疼痛も53~61%の症例で緩和され、26~27%の症例で消失することがわかっており、放射線治療の高い効果が証明されています。
 
「緊急に対応が必要な骨転移の症状は何か?」という疑問に対して、ガイドラインでは「脊髄圧迫や高カルシウム血症は緊急な対応が必要である」としています。特に脊髄圧迫は、治療のタイミングを逸すれば、不可逆的な脊髄麻痺が生じるため、診断、治療に緊急を要します。兆候として背部痛、下肢脱力、知覚障害、馬尾症候群(残尿、失禁、サドル麻痺、肛門括約筋の弛緩)が見られます。
 
脊髄圧迫の特徴は次のとおりです。
・椎体転移が原因となっており、転移部位は胸椎、腰椎、頸椎の順で多い
・肺がん、乳がん、前立腺がんは特に注意が必要
・背部痛を初期症状とする
麻痺発症後、24~48時間以内の介入開始を目指します。なお照射前の状態が歩行可能であれば、脊髄圧迫を発症しても80%が歩行可能となり、不全麻痺であれば40%が歩行を取り戻すことができると言われています。発症前に完全麻痺であったとしても、7%が歩行可能になることがあるとも言われていますので、やはり早急に放射線治療を開始することが大切になってきます。

4)  緩和放射線治療に関する地域ネットワーク

先ほど亡くなる前の痛みの強さが「とてもひどい」、「ひどい」と回答した遺族は3割ほどだったという調査結果をご紹介しましたが、治療の経過に放射線治療が適切に組み込まれていたのかによって、結果が大きく変わっていたと思います。
 
緩和放射線治療がまだ十分に浸透していない問題点について、放射線腫瘍学会が提言を出していますので、その一部をご紹介します。
 
緩和照射の有効性や有用性については、放射線照射の専門医の間ではよく知られているが、現状ではがん治療のなかで緩和照射が十分に活用されているとは言えず、実施件数は決して多くない。
このように緩和照射がこれまで広く活用されてきていないのには、さまざまな理由が考えられるが、主な課題としては、以下が考えられる。

①   地域における、骨転移等の診断・治療に関する医療機関の連携が十分でないこと
②   院内で、骨転移等の診断・治療に関する他職種連携の仕組みが整っていないこと
③   がん治療に携わる、一般医師の緩和照射についての知識が十分でないこと
④   放射線治療医(専門医)が少ないこと
⑤   一般市民が緩和照射について正しい情報を得られる機会が乏しいこと

このような課題を解決していくことが、今後地域において緩和ケアを取り組んでいくためには重要なことだと考えています。
 
少し具体的な状況を想定してみたいと思います。
緩和ケア患者さんが、腰が痛い、足が動かしにくいなどの訴えがあったとします。そうすると緩和放射線治療を行なっている医療機関と連携して、それぞれのがんの部位に応じて乳がんなら乳腺外科、肺がんなら呼吸器科に診療、入院を申し込みます。このような専門診療科が窓口になると、どうしても緩和ケアとしての受け入れのハードルが高くなってしまう傾向があります。
 
また放射線科に直接緩和放射線治療を依頼すると、通常放射線科は入院ベッドがないので、専門診療科に入院受け入れを依頼する必要が生じます。
 
このような状況に対しては、がん全般の診療を行う腫瘍内科と緩和ケア科が連携した環境で患者さんを受け入れ、そこから放射線科に緩和放射線治療を依頼することができると、スムーズな対応が可能となると考えられます。
 
そこで当院では、緩和ケア病棟を利用して緩和放射線治療の受け入れを行なっています。医療機関からご紹介を受け、緩和ケア病棟へ入院いただき、そこから緩和放射線治療を受けていただく、そして治療終了後は緩和ケア病棟から元の医療環境にお戻しする、そのような取り組みを行なっています。
 
さらに、緩和放射線治療の地域ネットワークの構築を提案させていただいています。患者さんを中心に、地域の医療機関、当院の緩和ケアチーム、腫瘍内科、放射線科が相互に連携をとり、一体となって緩和放射線治療を提供する体制です。当院の緩和放射線治療の供給体制を地域の医療体制の一部として共有していただく、そういった構想です。
 
実際には当院に連絡をいただけたら、紹介から照射まで迅速に対応するようにしています。がん患者さんの「痛い、動かない」という訴えを聞いたら、まず緩和放射線治療の地域ネットワークのことを思い出し、わたしたちに連絡をいただけると幸いです。
 
緩和照射は患者さんの生活の質の向上に貢献します。緩和照射を患者さんに届けるには、緩和放射線治療の適応に気づく基礎知識の共有と地域連携のネットワーク構築が必要だと考えています。

6.まとめ

最後にまとめです。
緩和ケアを早期から提供するためには、医療者が緩和ケアの情報を共有することが大切です。そして情報を共有することで、ご家庭に届けることができる緩和ケアがあります。
 
がん患者さんのQOLを維持していくためには、緩和照射は有効な手段のひとつです。この緩和照射を患者さんに届けるためには、その適応に気づく基礎知識の共有と地域連携のネットワーク構築が必要です。
 
以上、ご清聴ありがとうございました。

7.質疑応答

Q 症状緩和を目的とした化学療法では、どのような治療が行われるのでしょうか?
A 症状緩和が目的であると、患者さんへの負担をかけないことが前提となります。例えば経口の抗がん剤などが対象になります。ただ症状緩和が目的だから強い抗がん剤を使わないということではなく、患者さんの体調を見ながら、副作用にも耐えることができると判断すれば、強めの抗がん剤を使用することもあります。薬剤の選択に決まりはなく、あくまでも患者さんの生活を支援しながら化学療法を行うことだとご理解ください。

Q 外来看護師や緩和ケア病棟をつなぐ、がん看護専門看護師をおくメリットはありますか?
A 患者さんの不安に適切に応えるために、専任のがん看護専門看護師をおくことで、患者さん一人ずつに丁寧に対応できる利点があります。それと関係者は普段から連携をしていますので、お互いが顔の見える関係となっており、いざという時にスムーズな連携が可能になっています。

Q 放射線治療により痛みが緩和できることがわかりました。放射線治療することで患者さんの最期はどのように変わるのでしょうか?
A 放射線治療を行うことで痛みの軽減が図れており、麻薬の使用量が減らせています。そのために、麻薬による意識レベルの低下を招くことを防ぐことができ、自然な形での最期を迎えることができるようになると考えています。

Q 緩和照射と通常の放射線照射による副作用に差はありますか?また根治目的で放射線照射をした場合、そのあとに同じ部位に緩和照射を行うことは可能ですか?
A 放射線治療は、照射する場所によって副作用の出方は変わります。ただ緩和照射による合併症は、根治を目的とした照射より副作用は少なめです。骨に対する緩和照射は、ほぼ副作用がありません。また根治目的の照射後の再照射は、可能なことが多いです。現在再照射の適応について見直しがされていますので、今後ますます再照射が可能になるのではないかと思います。

Q 緩和ケアを受けるためには、本人への告知が前提ですか?
A 認知症などがあると難しいことはありますが、原則としては告知が必要と考えています。というのも、病状が進行すると患者さんが抱く期待と現実にギャップが生まれてしまいます。その時に告知ができていないと、患者さんが不信感を持ってしまうようになり、ケアに支障が生じます。ただし告知は重い話です。わたしたちは告知をするときは、患者さんの最期のときまで責任を持って対応する、そのような姿勢で対応することが必須だとも考えています。

Q 緩和放射線治療の地域ネットワークの地域はどの程度の範囲だと考えていますか?
A範囲は特に定めていませんが、車で30分くらいだと現在でも受け入れています。近くからはじめ、徐々に広げていきたいとは考えています。

Q がんの自壊巣の出血も緩和照射の適応ですか?
A 原則適応です。

Q 緩和照射は、化学療法と併用することも可能でしょうか?
A 緩和照射は、化学療法中でも終了後でも併用することが可能です。

今後の予定につきましては下記リンクよりご確認ください。
医療職・介護職・福祉職の方であればどなたでもご参加いただけます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?