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3歳の壁

待機児童問題自体は何十年もあったのに、社会問題として子育て世代以外にも広く知られるようになったのは残念ながらまだ最近のことです。

その結果慌てて各地で保育園設備が進んだのはいいことだと思うのですが、一方で低年齢専用の小規模園が増えたのも間違いない事実です。

特に待機児童問題の深刻な都心部では、広い土地を確保することができず、どうしてもビルの一室ですとか、狭い土地に小さな建物ですとかで、なんとか20人30人預かるのがやっと・・・という状態です。そうなると活発な幼児の保育は難しく、どうしても0~2歳クラスまでしかない園になってしまいます。

その結果、既に復職済で仕事を抱えているのに3歳4月からの行き場がなくなってしまっている」方が急増しているのです。

しかも3歳になると時短が終わってしまう会社も多いです。
たとえば
・フルタイム勤務(8時間勤務+休憩1時間で拘束9時間)
・通勤時間(片道45分、往復で1時間半)
という方がいるとします。
特別多忙な方ではなく、「よくある会社員」を想定しています。

それでも「1日10時間半×週5」は預ける必要があります。
朝9時始業なら8時には保育園に預けて通勤しないとならず、お迎えは猛ダッシュで19時。
もしかしたら通勤時間はもっと長いかもしれませんし、残業でもっと遅い日もあるでしょう。
発熱すれば仕事を休まねばならず、有給は突破的な病欠で消えていきます。

私も自宅周辺の幼稚園をいくつか調べましたが、いずれも預かり保育はやっていても時間が短かったり、週4以下であったりしました。また、幼稚園ではお昼寝をしないことが多く、上の想定で「3歳児を朝8時から夜19時まで預けて、お昼寝なし」は子供に負荷がかかりすぎます。(もちろんお子さんによってはお昼寝なしでも元気ですが、"そいういう子がいる”ことと"園児全員にそれを要求する”ことは違います)

ですので、フルタイムで働いている方に幼稚園という選択肢は、親子ともに負担が重く、難しいと思います。
なので3歳児が入れる「保育園」がもっと必要です。

3歳保活について、時折「3歳からは幼稚園に行くから退園者たくさん出るんでしょ?ウチの子は、その空いた3歳枠に入れるよね」と聞かれるのですが、全くの誤解です。

既に5歳クラスまである保育園に在園していて、あえて幼稚園に行くために2歳年度末で退園するという方は稀です。
理由は上記で散々述べたとおりです。

3歳保活は本当に厳しいです。

しかも幼稚園ですら3歳クラスは4・5歳クラスより定員が少ないことが多々あります。日本全体で3歳保育の受け入れ枠が少ない現実があると私は感じています。

まぁ実際に3歳児を育ててみれば理由はわからないでもないです。まだイヤイヤ期真っ最中でお友達とトラブルを起こしやすかったり、トイレに失敗しちゃう子もいます。赤ちゃんほどではないとはいえ、4歳5歳をみるよりはるかに手がかかります。

国の定義上でも3歳児は4・5歳児よりも保育士の配置基準が厳しいです。保育士ひとりで3歳児は20名程度、4・5歳は30名程度とされています。(実際には3歳児20人を保育士一人で見るのはとてつもなく大変だと思いますが)

「3歳の受け入れ枠」という問題を、もっと世間に知ってほしいと思います。

実際、3歳保活をされる方に一つポイントをお伝えできるとしたら

「二次選考が本命」

ということです。

よくある4月選考は、一次と二次があります。(自治体にもよるかもしれませんが)

一次選考は11月頃の締め切りで、1月末~2月頭に発表される、多くの方には「4月入園の選考結果」と認識されているものです。

しかし、実際には辞退者や退園者が出ます。その分の調整が入った再選考が二次選考です。

3歳クラスであれば、退園者が出る可能性は十分あります。

主に引っ越しを理由として退園するパターンなのですが、その方は引っ越し先での入園が決まったり、あるいは引っ越しそのものが年度末だったりするので、11月頃の一次選考〆切時に翌3月末での退園手続きを取る人はほとんどいません

ですので、その退園者分が二次選考で募集となるのです。

一次選考でダメだったからと言って、不本意で幼稚園に行くのは親子にとっても園にとっても辛いと思います。(もちろん教育方針等が気に入り是非行きたいからと幼稚園に入園するのは素晴らしいことだと思います!)

ぜひ、二次選考まで希望を捨てずに待っていてください。

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