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観光客が行かない東川巡り


観光客が行かない「東川町」の旅   
                  人口8,437人 (令和2年12月31日)


       

大雪山国立公園(面積2,267.64k㎡)は昭和9年(1934)12月4日に指定を受けており、そのうち東川町域は約半分の面積になっています。また、北海道の峰といわれる大雪山連峰の最高峰旭岳(2,291m)は東川町域に所在します。
日本百名山にも選ばれ緯度が高く、本州の3000m級に肩を並べる環境が登山者を魅了しています。
豊富な森林資源と優れた自然の景観は、観光資源として高く評価されており、東川町では町の景観を保つために条例で建物の高さ制限をしています。従って、町を見渡しても高層マンションがありません。建設の話があると役所の人が条例を話して理解を求めています。


「写真甲子園」の町としても知られており、毎年7月に4日間開催されています。2023年は30回目で優勝は大阪府立生野高校でした。大雪山麓にあって豊富な地下水を湧出するため、北海道内で唯一上水道のない町としても有名です。

東川町は旭川市の中心部から13km(車で約22分)、旭川空港から7km(車で約13分)の地点にあります。旭山動物園には15分、北海道最高峰大雪山旭岳(2291m)へは40分です。
旭川は札幌に次ぐ第二の都市であるため、十勝の音更町や釧路市の隣町釧路町と同じく、東川町もベッドタウンとして人口が増えています。
旭川から忠別川に並行に道道37号線が通っています。忠別川を渡ると東神楽町になります。旭川空港は旭川市にあるのではなく神楽町にあります。この道を西に向かうと東川町に入り、更に進むと市街の真ん中に道の駅「ひがしかわ道草館」があります。道の駅に観光協会があるので町の資料などが置かれていますが、更に詳しいことを知りたければ近くに東川町役場があります。

大きな市街地ではありませんが、街を歩くと「写真甲子園」の作品ポスターが張られており楽しむことができます。1994年に始まった「写真甲子園」は、全国の高校写真部・サークルに新しい活動の場や出会いを提供し、創造性や感受性の育成と活動を目的としています。共同制作による作品(組写真)を募集し、作品審査及びプレゼンテーション審査によって全国11ブロックから優秀校18校を選抜し、東川町において同一条件で、高校写真部の全国一を競うというものです。

東川のはじまり

この地は旭川村字忠別原野の人跡未踏の地でした。
明治28年に忠別原野の貸付が始まり、香川県人30余戸と富山県人10余戸等が東旭川兵村から入地したのが始まりです。
翌年、基線道路工事が行われ開通、その後広部農場、岐阜農場などが開設しましたが水害や凶作で離れる者も出ました。そのため農業奨励対策で水田耕作への転換が図られることになります。
明治29年、米の試作で実績をあげ土功組合を設置、灌漑溝を建設し米作りに力を入れました。
上川地方は冬期の副業として藁細工、第七師団の旭川移設で馬餌として稲わらの需要があり水田造成が急増しました。

旭岳温泉

旭岳温泉


東川町には2つの良質な温泉が湧き出る温泉地があります。旭岳温泉と天人峡温泉で、それぞれ東川町中心部から約30kmの場所にあり、大雪山国立公園内にある温泉地です。旭岳温泉は大雪山国立公園の中にあり、大雪山の主峰、旭岳の麓にある北海道内でも歴史のある温泉です。かつては勇駒別(ゆこまんべつ)と呼ばれ、アイヌ語で「湯に向かってゆく川」という意味があり古くから温泉が湧出していました。
旭岳温泉には温泉街はなく、景観を配慮して建てられた宿泊施設は高さ制限があり、建物間もある一定の距離を保ってゆったりとした雰囲気が特徴です。


 天人峡温泉


羽衣の滝


天人峡温泉は大雪山国立公園の切り立った柱状節理の岩場とその間を流れる忠別川に寄り添うようにある温泉地です。
明治30年、旭川駅付近で旅館経営をしていた松山多米蔵がアイヌ人を案内に探検の途中温泉を発見。3年後に温泉旅館を始め松山温泉と呼ばれていましたが、昭和12年、温泉地名を松山温泉から天人峡温泉と統一し、その翌年自動車道路が開通しました。
大正時代から昭和初期に有名になり、大きく発展しましたが、当初は柱状節理にへばりついて露天風呂があり、小さな橋で川を渡って宿から通っていたといいます。柱状節理の切り立った岩に囲まれた中に落差270mの羽衣の滝があります。この滝を一望できる滝見台までがハイキングコースになっています。
開湯当初から糖尿病や動脈硬化症への効能で知られた良質の湯で知られており、自然湧出100%の天然温泉は、かけ流しで評価が高い秘湯です。それぞれ日帰り温泉があり、近隣の町からドライブがてらにやってきて入浴を楽しむ人や、近くにある大雪山系のトムラウシ下山口より、長い距離を下山してその汗を流すために入浴する人が多く見受けられます。 旭岳はロープウエイで姿見駅まで行くことができ、高山植物の散策コースがあるので紅葉の季節に人気があります。


水彩 横670×縦240 2015年制作


上の水彩画は2015年10月に東川町から描いた旭岳連峰です。
この年の二年前に東神楽町のバンガローで泊まり、翌朝東川から見える旭岳を描きに出かけました。ところが何も見えません。麓まで行きましたが、それでもダメでした。
大雪山の全貌を見るには寒い冬の早朝でなければ拝めませんでした。


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