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観光客が行かない長万部(おしゃまんべ)巡り・前編


二股らじゅーむ温泉

長万部町から山奥へ18kmほど入ったところに、知る人ぞ知る有名な秘湯の温泉宿があります。効能は古くから知れ渡っており、戦前は帝国陸軍の保養施設としても使われていました。かなり前ですが、東京で電車のつり革広告を何度も見たことがありました。
ラジウム-ナトリウム・カルシウム-塩化物泉。源泉温度46℃、源泉に含まれる石灰分によって形成される石灰華が特徴です。旅館の傍には巨大な石灰華ドームが形成され、天然記念物に指定されアメリカのイエローストーン国立公園と当所だけ存在すると言われています。

25年ほど前に、日帰り温泉で訪れたことがあります。
入浴しているのは重い病のある人たちばかりでした。
その後、朝日新聞社岩見沢支局の記者が、ガン宣告を受け担当医とのやり取りが連載されていました。この温泉に湯治に訪れた記事もあり連載は70回ほどで終えました。その後の消息はわかりません。
このラジューム温泉は効きそうで全国から訪れているといいます。
宿泊は人数に制限があるため長万部駅前の旅館を利用して通われる人もいます。

長万部岳(おしゃまんべだけ)

長万部岳

「おしゃまんべ」という地名の由来は長万部岳から付けられています。
標高972.4mの長万部町最高峰の山は今金町との境にあります。
市街地から国道5号で北上し「二股」に向かい、道道842号から西に入り「二股らじうむ温泉」の近くに登山口があります。

漁師の間では、雪解け頃、谷間の残雪がカレイの形に残る時が漁期の始まりだと言い伝えられてきました。

昔し神有て、此処の海に釣し大比目魚を得給ひ、此魚は神也、我是を山に祭らん、己後春毎に諸山雪消て後、此山に此形したる残雪有るべしと 

松浦武四郎は「東蝦夷日誌」(1863年)

おしゃまんべについて

アイヌ語でオ・サマンベとは川尻(河口)のカレイの意味です。
松前藩は幕府への報告のため、アイヌ語地名への漢字の当てはめを「音」でひろって、後から現地を知らぬ役人が机上で漢字を当てはめたものが多いのです。

長万部平野


静狩峠から

室蘭から国道37号で静狩峠を過ぎると長万部町に入ります。
ここからが道南です。
目の前に長万部平野が広がり、峠を下りてJR室蘭本線と並行して左に噴火湾を見ながら一直線。函館からの国道5号との交差点が37号の終点になります。
長万部町は内浦湾最深部に位置し、北は長万部川をさかのぼって、島牧村・黒松内町に接し、西は今金町に、南は八雲町に接しています。
地形はおおむね丘陵が起伏し、大部分が山地で、平地は内浦湾に沿って帯状に分布し長万部川・紋別川・国縫川沿いに平坦で肥よくな農耕地ですが、海岸はほとんど砂浜です。

長万部名物のかにめし弁当

JR函館本線・室蘭本線が分岐し町内に7つの駅があり、長万部駅は機関区になっているため線路が敷き詰められ駅舎は南口しかありません。
国道は5号・37号・230号の3本の幹線道路が集中し、交通の要衝として昭和時代から栄え、駅を過ぎて国縫間はドライブイン街道と言われていました。
その中間に「かにめし弁当」の本舗かなやが営業しています。
戦後の食糧難の頃、米はなくても長万部には毛ガニがあったのです。

高速道長万部IC、国縫ICが開通し、今は、この街道も閉店する店が並んでいます。北海道新幹線の長万部駅が作られるので流れが変わることを期待しているでしょう。





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