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観光客が行かない北海道道740号巡り・前編

観光客が行かない北海道道740号線の旅

せたな町大成区

道道740号は、せたな町北檜山区豊岡(国道229号交点)から、せたな町大成区宮野(国道229号交点)までの総延長:33.686 kmです。
大成区太田から北檜山新成までの7キロを2013年(平成25年)に開通しました。
これで北海道の海岸沿いを一周する2500キロの旅が可能となったのです。

水垂岬=写真楕円形のところ


道道740号

水垂は「みだれ」と読みます。アイヌ語の「ミタラ」からで「庭の意味」です。松浦武四郎はミダレザキと記したといいます。岬は「崎」とも書きます。
水垂岬があるのは、せたな町北檜山(きたひやま)新成(しんせい)で、この岬まではすでに道道740号があり、奥尻島が大きく見えます。
南部の久遠郡大成町から続くこの一帯の海岸は、岩石を積み重ねたような形をしており道路の開削が遅れたのは海岸沿いに平地がなく、そのまま山となっていることと、この崩れやすい岩石にも原因がありました。
最大の問題は、北檜山町と大成町の境にあたる尾花岬でした。尾花岬は北海道の最西端岬になり、この岬は帆越岬からでなければ見ることはできません。

「久遠郡せたな町」

平成17年、瀬棚郡瀬棚町と瀬棚郡北檜山町と久遠郡大成町の3町が合併して「久遠郡せたな町」が誕生しました。対等合併といいますが人口の多い町に主導権が傾いていくものです。しかし、3町が対等を意識してできた数少ない町です。
町役場は北檜山町に置き、町の名は瀬棚町からとり「せたな」に、郡名は久遠郡大成町からということになりました。
久遠(くどう)郡という郡名は明治2年に付けられたのですが、合併後も残り、郡の面積が一挙に拡大した珍しい例となります。

旧久遠郡大成町について

旧久遠郡大成町は、毛無山 (標高816 m)、太田山(標高485 m)と海岸に聳えるように山が迫った地域です。
久遠(クドヲ)はアイヌ語で、「ku-un-tu 」とは「弓・ある・岬」から付けられた名で、蝦夷の時代はアイヌの人たちの集落が点在していた地域でエリアは尾花岬まででした。

道道740号の入口となる宮野の湯ノ尻岬から尾花岬まで6か所の岬があります。
湯ノ尻岬から尾花岬までを地図で見ると弓のように半円に見え、帆越岬(ほごしみさき)が弧を描いた弓の矢が飛び出す地点のように見えます。
尾花岬の手前にある太田村が行き止まりで、太田村には帆越岬があるため船で岬を回るか、岬の獣道を手探りで渡るしか交通手段がありませんでした。
なぜ、村に行くのかといえば、太田村には海の神を奉った「太田神社」があったからです。

太田神社


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