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『虐待児の詩』 君さりし日

「君さりし日」


君さりし日の冬に
空は赤く燃えていた
肩を落としとぼとぼと
独り歩く野の小径

野も山も青く澄んでいた 君の笑顔がまぶしい
思いで淡く色あせて 黄昏に紛れ消えてゆく

君さりし日の冬に
空は赤く燃えていた

愛在りし日の冬に
君は腕を絡ませて
息は白く弾んでる
ふたり腕を組み歩く

幸せそうなふたりでも 僕にはわかっていた
見え隠れする黒い影 君の笑顔のその奥に

愛在りし日の冬に
空は青く澄んでいた


君さりし日の冬に
空は赤く燃えていた
肩を落としとぼとぼと
独り歩く野の小径

野も山も青く澄んでいた 君の笑顔がまぶしい
思いで淡く色あせて 黄昏に紛れ消えてゆく

君さりし日の冬に
空は赤く燃えていた



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