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鹿児島の人は優しいと思った話

この夏、故郷の鹿児島に帰省して心に変化が出た。

行く前は、田舎に帰るわけだから、不便なことがあってイライラしてしまうんじゃないかなあということが不安だった。

大阪で7年以上過ごしているから、こちらの勝手の方が慣れているし、帰ると心が落ち着かないんじゃないかと。

実際帰ってみると、疲れてしまうところもあった。
交通機関のシステムがよくわからなかったり、おばあちゃんちは田舎すぎて、食べたいものがあっても気軽にコンビニいいけなかったり。
エアコンのない部屋でうまく眠れなくて寝不足で肌が荒れたり、辛いなあと思うことも数多くあった。

でも、帰省の後半で鹿児島市内に3日ほど滞在した時、
入るお店、入るお店の店員さんの暖かい事。

「暖かい」といっても、押し付けがましくなくて、
とても真心を感じる暖かさ。

「真心」というと堅苦しいけど、そんなものではなく。
当たり前のように優しい心で接してくれる、その人たちの心の豊かさを感じた。

それにととても心を動かされた。

2年前に帰省した時にも、鹿児島の店員さんに静かに感動していたなあとふと思い出した。

喫茶店でキッチンに近い席に通された時、「これから豆を挽くのですが、うるさくなってしまいますが構いませんか?」と、申し訳なさそうにウェートレスさんが声をかけてくれた。

そのことにとても驚いた。豆を挽くことなんて喫茶店では業務だし、こちらに構わなくたって喫茶店の当然の業務として行うものだと思っていたから。

何か注文したメニューが売り切れていたのかな?というようなテンションで聞いてくださって、それが、なんだかとても優しいなと感じてずっと心に残っていた。

そして今回は、前回よりいろんなお店に入ったけど、どのお店でもすごく優しい空気で店員さんが対応してくれて、やはり鹿児島の人の心の豊かさというのはあるなあと感じた。

郷土料理屋さんの店員さんも、居酒屋の派手な髪のお兄ちゃんも、焼き鳥屋さんの大将も、コメダ珈琲の店員さんまで。
優しく言葉をかけてくれる感じがした。
押し付けがましさも、変な距離感や遠慮もなく、優しく配慮の言葉をくださったり、対応してくださる感じがした。

それがとても嬉しくて、私の心が生き返っていく感じがした。

何がそんなに心を豊かにしているのかはわからない。

温かい気候?のんびりとした風土?自然の多さ?温泉?

わからないけれど、私はそんな土地で生まれて育って、
そんな自然な心配りと優しい心がすごく心地よく感じて、
都会で忘れかけていた昔の自分の優しさを思い出した。

大阪は大阪の勝手がある。
人が多くて、スピードも速い。
人情とノリの良さ、そしてもちろん人の優しさもあるけれど、
大阪で鹿児島と同じ優しさはきっとなかなか難しいだろう。

でも、私が育った土地で私を育ててくれた風土に触れて、
本来の優しくてしっくりくる自分の心で、また大阪でも振る舞っていけばいいよなあと思った。

育ててくれた土地や人のことを心に大事にしまって、生きていけばいいだろうと思った。

そんなしみじみとした里帰りで、自分も歳をとったのかもなと思った。



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