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現代のネッド・ラッドは誰か?

世界史の授業の中で出てくるラダイト運動、もしくはラッダイト運動をご存知ですか?

イギリスの産業革命期。

発展する木綿工業を中心に発明が繰り返され、新しい機械が次々と使用されるようになりました。この新しい機械により、短時間に質の良い製品が大量生産される時代へと変革していきます。

このような時代の流れに猛烈に反発したのが職人たち。それまで活躍していた多くの手工業職人たちは失業してしまいました。

Q:失業した職人たちはどうしたのか・・・。

A: なんとその反発から、彼らは機械破壊運動を起こしたのです。工場にある機会を暴力的に壊していく手工業者たち。伝説の指導者ネッド・ラッドが率いたとされるこの運動は、ラダイト(ラッダイト)運動と呼ばれる事になりました。


 さてこのあまりにも時代の流れを読むことができない哀れで悲しいお話。ところが最近、あるツイッターの記事からハッとさせられました。

世間を騒がす2つの事件。

一つはタクシー業界。

一般ドライバーがアプリ(海外では「Uber」が普及していて有名)を使い自家用車で目的地に運んでくれるサービス「ライドシェア」が解禁の方向に進んでいます。

私もインドネシアに旅行にでかけた際、現地人の友達が使用していてその便利さに驚いた記憶があります。

これに反対して3月7日、タクシー約400台(運転手500人)が経産省を取り囲み、ライドシェア反対デモを実施しました。デモに参加した運転手らは「仕事とられる」「生活できなくなる」と語っています。


さてもう一つはハンコ業界。

自民党は3月7日、行政手続きの100%オンライン化を目指す「デジタル手続法案」を部会で了承しました。

ところが・・・。

法案には当初、法人を設立する際に必要な印鑑の届け出の義務化をなくす案が盛り込まれていましたが、印鑑業界の反発などを受けて見送られました。

みんな薄々感じていた「印鑑意味ないなー、、、」という事。

ハンコが必要なことで書類のやり取りに膨大な手間と時間は、日本の生産性の低さの象徴だという意見もあります。

一方、反対する全日本印章業協会会長は反対の理由をなんと説明しているのでしょうか?

「平日の日中、銀行の窓口に行けないサラリーマンが妻に代わりに行ってもらう時、静脈認証ではどうしようもない。」

??? 

代わりの人が押しちゃうことを認めるならハンコの意味ないじゃん。

新しい時代の波に適応することを拒み、必死に抵抗するタクシーや印鑑業界の彼らは、まさにラダイト運動に明け暮れた産業革命期の労働者たちではないでしょうか。

ちなみに産業革命期のラダイト運動はどうなっていったのか。

手工業者の職を奪った産業革命期の発明。実は古い手作業はなくなりましたが、機械によって新しい仕事がたくさん生まれました。

当然手工業者たちは新しい仕事に吸収されていきました。

今求められているのは、古い潮流にいつまでもしがみつくことではなく、新しい姿に変身し、進化していく柔軟さなのではないでしょうか。



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