『光る君へ』音の色

平安時代を舞台にした今年の大河ドラマ。
作中で流れている音楽は、バイオリンやチェロ、ハープなど弦楽器が多いイメージ。オープニングの『Amethyst』はピアノ協奏曲。サウンドトラックは全体的に洋楽器がメインのようですが、和の大河ドラマでとてもいい雰囲気を演出しています。

貴族、雅び、等のイメージを膨らませるのに、良いスパイスというより、良いベースになっているのかもしれません。

転じて作中では、和楽器が出てきます。まひろと母親との思い出の品の琵琶。第8回では、まひろが琵琶を母の仇である道兼(道長の次兄)の前で演奏します。音数の少ない琵琶の音、一音一音に込めるまひろの心中は、どのようなものであったでしょう。和楽器は音と音の間合いや余韻を楽しむ楽器でもあります。道兼に対する気持ち、母を思う気持ち、自分の置かれている状況、すべてが琵琶の音に込められて、寂寞とした音色になっている気がしました。

華やかな洋楽器の音色と、寂寥感の和楽器の音色。対比を楽しめるのもこのドラマの良さなのかな、と思いました。

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蛇足

吉高由里子さんと、柄本佑さんは、日テレのドラマ「知らなくていいコト」では、大人の恋人(普通に付き合い、別れた後、柄本さんの役が別の人と結婚した後に、再度付き合い始めて不倫関係になったり)を演じていたのに、今回のドラマでは少女漫画のような関係性になっています。
そういう点で、ドラマ「知らなくていいコト」とは違った、二人の空気感にときめいています。史実的には結ばれることがないであろう展開に、寂しさも感じますが。この後、まひろと道長として、どのような関係を構築していくのか、気になりますし、楽しみでもあります。

少し調べてみると、この「知らなくていいコト」の脚本は大石静さんで、今回の『光る君へ』と同じでした。それぞれがプロとしてそれぞれの役割を確立しているから、面白いドラマになっているのは自明ですが、面白いドラマに必要な要素には役者さんと脚本家の相性もあるのでしょう。

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