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【感想文#01】「大丈夫、働けます」成澤俊輔(著)を読んで

 パプアニューギニア海産の武藤北斗です。

 僕たちは自主性を尊重した働き方を模索し実行する中で、障がいを持った人たちとどうやって共に働き、生きていくかという事を考え始めました(詳細はこちら)。

 今回はそんな僕がとても興味深く読んだ書籍を紹介します。僕らの働き方や考え方に共感してくださる皆さんには特に読んで欲しいです。

「大丈夫、働けます」成澤俊輔(著)

 著者の成澤俊輔さんは就労困難者支援の専門家で、それに特化したNPO法人の理事長をしています。ご自身は網膜色素変性症で今は光だけボヤっと感じられるくらいの視力。学生時代のひきこもりや、うつ病での職場退職などの経験もあるそうです。

 だからこそ、就労困難者本人はもちろん、親御さんや会社の気持ちまで鋭く現実味をもった分析をしています。勉強してそれをまとめたのではなく、知識と実体験が混合した結果、シンプルでストレートな清々しさすら僕は感じます。

 ご本人も含めた実例に基づいていており、文章もとても読みやすいので、読書に慣れていない方にもお勧めです。また、特に詳しく説明している5人の方の話にはそれぞれ5ページほどの漫画がついています。就労困難者の気持ちや空気感を絵からも感じ、その後に続く本文をよりリアルに受け取ることができました。

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 今、日本には働きたくても、思うように働けないという人が、3000万人以上いると言われているそうです。僕も著書「生きる職場」を出してからそんな想いを抱えた人達と多く話してきましたので、この数字には、いま日本が抱える社会の問題が表れていると感じます。

 今の社会がどうにも生きずらかったり、働きにくかったり、自由さを感じないようであればまずは読んで頂きたい。自分の今の生活には関係ないと思う人が大半かもしれませんが、いや、そこを関係ないと思わないコミュニティーができていけば、きっと今より少しみんなが生きやすくなるような気がしました。

 就労困難と簡単に言ってしまいましたが、内容が本当に様々であることを知ることができました。「ひきこもり」や「うつ病」などをうむ原因やタイミングにふれていましたが、僕も子どもを育てる親としてドキッとしたし、それを抜け出すタイミングまで言及されているのはまさに自分の経験があってこそだなと感じました。

 実際に成澤さんが理事長を務めるFDAでは就職定着率が90%を超えているそうです。FDAでの就労支援への考え方であったり、それに基づいたサポート体制、トレーニング法などの章を読むと納得でしたし、多様性を認め、さらには強みに変えていく姿勢に大きく賛同します。

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 その他にも重要なキーワードが盛りだくさんでした。僕が気になったのは「働く仲間同士の相互理解」「大人しい障がい者が求められる傾向」「障害者手帳の申請を勧める」「人を頼ることを覚えた」「相手の嫌なことはやらない」「強みは一つあればいい」「互いに補い合うカルチャー」「評価や採点はやめて前に進むための話」「理解できないという前提でつきあう」

 と、キリがなく重要なキーワードが続くのですが、やはり最後の章にあった「企業や会社が人にあわせるがユニバーサルデザインに」はうちの働き方とまさしく合致する部分です。

 僕らは約5年のあいだ従業員の生活を大事に考えた働き方を考え実践してきました(「好きな日に連絡無しで出勤・欠勤できる」など詳細はこちら)。まさしく会社が人に合わせたのです。

 その結果は工場の効率が上がり、品質が上がり、求人広告費が必要なくなり、人件費は3割削減した。会社が人に合わせるという事は決してマイナスなことではない。それは僕らのこの5年が証明していると思います。

 成澤さん、僕はあなたの気持ちと思いを経営者として受け取りました。僕らは小さな会社ではありますが、目指す社会は一緒と感じております。僕も頑張ります!!

 最初の書籍紹介はちょっと熱くなりすぎたでしょうか。でも僕の書籍紹介の1冊目としてこれしかないと考えていました。ぜひ多くの皆さんに読んで頂ければと思っています。

株式会社パプアニューギニア海産
工場長 武藤北斗

 

 


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