見出し画像

HSやシャドバなどのデジタルTCGが落ち目な理由と、Artifact 2.0が復活する唯一の方法

デジタルTCGが落ち目な理由→Pay to Winであるから

画像1

これに尽きます。

Pay to Winとは、基本無料で課金システムもある(フリーミアム型の)ゲームにおいて、課金システムを利用したユーザーが圧倒的に有利になるようなゲームバランスのゲームのことである。(Weblio辞書より)

「いやゲーム内でデイリーボーナスなんかを頑張ってコインを貯めて地道に頑張れば課金者と同じようなデッキ組めるし、Pay to Winじゃないでしょ」

と言いたい気持ちはわかりますが、ハッキリ言います。デジタルTCGはもうPay to Winと言わざるを得ない状況に陥っています。

何故なら、他のE-Sports第一線のタイトルは、課金要素のほとんどがスキンの変更に留まっているのに対して、デジタルTCGは全てのゲームでカードの購入が課金要素になっているからです。このシステムが生きている限り、デジタルTCGが全盛期の様な勢いを取り戻す事は不可能と言えるでしょう。

もっとわかりやすく言うと、例えば他のE-Sportsタイトルは、ゲームをインストールして初めて起動したその日に100万円を課金したプレイヤーと、無課金でスタートしたプレイヤーのスタートラインは同じであると言えます。

では、デジタルTCGではどうでしょうか?恐らく100万円課金したプレイヤーの方が圧倒的に有利なスタートダッシュを切ることが出来ると思いますし、その日に試しに無課金プレイヤーと対戦すれば(どちらも知識と腕前は同じだとして)、99.9999999999%100万課金したプレイヤーが勝利すると思います。これがデジタルTCGがPay to Winである理由です。

Artifact 2.0が復活する唯一の方法

はい正解きました。カード販売廃止です。カードは進行度に応じて入手していくシステムに変更された為、少なくとも課金者と無課金者でデッキパワーに差が付く事はなくなりました。多分。

というのもArtifactがコケた理由は2つあって、1つは課金が必須だった事、そしてもう一つは、運要素がゲームの勝敗に“響きやすいと勘違いされやすい“ゲームシステムを持っていたことなんですよね。ある程度頭の良い人はArtifactが運ゲーじゃない事はやってりゃ分かると思うんですけど、やれ「クリープの沸き場所がランダムだ」「どこ殴るかもランダムだうわぁこれは運ゲーだ」と騒がれた結果、運ゲーであるというイメージが付いてしまったに過ぎません。


ここでちょっと、カードゲームの運要素についての小話をしましょう。

基本的にカードゲーム(まあ別にカードゲームに限った話で無いんですが)は、運要素が強ければ強いほど、初心者と上級者の格差が狭くなっていきます。UNOやババ抜きなどの日本人になじみ深いカードゲームがポピュラーな理由は、それらのゲームの運要素が非常に強い為です。

しかし、UNOやババ抜きは完全な運ゲーではないと多くの人が考えていると思います。何故なら、そこにはプレイヤーの選択が存在しているからです。

例えば、ババ抜きのルールを少し変えてみましょう。まず、プレイヤーは自身の手札が抜かれる前に、裏を見ずに手札をシャッフルして、テーブルに伏せます。その後、手番プレイヤーは相手の手札を一枚抜く際、必ず左端のカードを選ばなくてはなりません。それ以外は普通のババ抜きと同じルールでゲームを進行します。

どうでしょうか?普通のババ抜きと上記のルールを変更したババ抜きでは、運の要素で見ると、例えばババを抜く確率は一切変わっていません。手札が5枚あるときに普通のババ抜きでババを抜く確率は五分の一ですし、上記の特殊ババ抜きでも確率は同じ五分の一です。

しかしこのゲームをプレイした場合、多くの人が「これは運ゲーだ」と言うでしょう。それは何故か?そこにプレイヤーが選択をする余地が一切残されていないからです。

画像2

話をArtifactに戻します。Artifactが運ゲーだと騒がれた理由は、主に「ターン開始時に出現する2体のクリープの配置位置がランダムである」という部分なのですが、上記のババ抜きの話からも分かるように、この要素1つでArtifactを運ゲーであると断定するのは、見当違いも甚だしいという事が理解できると思います。

ただし、Artifactにも落ち度はあります。それは「運の要素よりも実力の要素の方が強い」という事実をプレイヤーに理解されにくいゲームシステムを持っているという点です。分かりやすく言うと、運要素が強いと"勘違いされやすい"ゲームだったという事です。

個人的に考えるArtifactに足りない要素

じゃあ、運要素はあるけど、それをプレイヤーに感じさせない様にするにはどうしたらいいのでしょうか?答えは一つ。選択させる事です。

とにかく人間は、自分で選ぶという行為をさせる事で、その選択の責任の所存は自分にあると感じ、運の要素があるという印象は薄くなります。Artifactはこの運要素に付随する選択が少なかったが為に、運ゲーの刻印を押されてしまったので、その点を改善する事が大切であると思います。

画像3

そしてこの、”運要素に付随する選択”というゲームシステムの最適解として、Slay the Spireというゲームが挙げられます。

このゲームは所謂「デッキビルディング型」のゲームであり、ゲームをプレイしながら自分のデッキを徐々に強くしていくというゲームシステムを持っています。そしてその際に、デッキに加えるカードを3択から一つ選ぶという選択を行うのですが、この時選択肢に出てくる3枚のカードは、数百種類あるカードからランダムに選ばれた3枚であり、この時点で非常に強い運要素がある事がわかります。しかしながら、「3枚から1枚を選ぶ」という行為をプレイヤーにさせる事によって、プレイヤーはそのカードを“自分で選んだ”という意識を強く持ちます。

では、もしもこれが逆だったらどうでしょうか?例えば、プレイヤーは何百のカードの中から100種類のカードを選ぶことができますが、その中から入手できるカードは、ランダム選ばれた1枚のみです。先に選択するか、後に選択するかの違いだけですが、この場合プレイヤーは運要素が非常に強いと感じるでしょう。このことから、なるべくなら運要素に付随する選択は、後へ後へと回した方がよいという事が分かると思います。

画像4

話をArtifactに戻します。

先程説明したSlay the Spireのデッキビルディング要素ですが、実はArtifactにもこのデッキビルディングに関する要素が、少しだけ含まれています。

画像5

それが、アイテムカードの要素です。簡単に言うと、自分のデッキの中に含まれていないカードをゲーム中に購入して(試合の中で敵カードを倒した時に得られるゴールドで買います)、自分の手札に加える事が出来るという要素です。

この要素によってArtifactは、試合前に組んだデッキ+試合中に臨時で購入する追加カード で戦うという、デジタルTCGどころかTCGでも特に珍しいゲームシステムを完成させています。

画像6

その為、Artifactがこの先2.0としてアップデートしていく中で、このデッキビルディング的な要素は、もう少し強くしても良いのではないかと思います。何故なら、ドミニオンを始めとして様々なボードゲームに採用されて、一つのジャンルとして定着したデッキビルディングですが、今までTCGにこのシステムが組み込まれた例は、(自分の知る限りでは)Artifact以外に前例が無いからです。あったら誰か教えてください。

まとめ

・デジタルTCGはカードを課金で買うシステムがある限り(E-Sportsとして)復活は無い。

・Artifactが課金要素を消したのは正解。

・Artifactには流行りのSlay the Spire的要素が組み込まれると面白くなりそうな気がする。

今まで書いたArtifactの記事


スキを押すとランダムなDota2あるあるが出ます