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落合陽一と『土偶を読む』の竹倉文人が……出会った。

こんな動画に出会った。

そう、前にビジネス100冊本の記事でチラッと触れた、落合陽一氏の動画である。

しかも堀元見氏があの記事を書くきっかけとなったWEEKLY OCHIAIだ。

対談相手は『土偶を読む』の竹倉文人氏。
『土偶を読む』は、「土偶は植物の精霊である!!」という視点で土偶を語った本である。
トチノミと縄文のビーナスの顔が同じ!中空土偶はクリをモチーフにしている!土偶は食料の擬人化だ!これで縄文土偶の謎は”解き明かした”!!
という感じの主張で、見事大ベストセラーになり、Amazonの評価も大絶賛だ。

めっちゃ評価高い

その凄まじさに、あの超有名雑誌、ムーの編集長もしっかりと動画や紙面で取り上げることになる。

そう、あのムーで。

さらには、歴史探偵「縄文レボリューション」としてテレビ番組でも紹介された。

さらにさらに、竹倉文人氏は人類学者で東京大学文学部宗教学・宗教史学科卒業で東京工業大学大学院社会理工研究科価値システム専攻博士課程満期退学である。

もう東大を出た人が言ってるだけで凡人の自分は信じてしまいそうになる。

しかし、新説というものは気をつけなければならない。
センセーショナルなことを言って注目を浴びるのは現代のSNSでも使われるテクニックである。

実はこの説、研究者からはかなり否定的に見られている。

なんで?ということについては、以下の縄文ZINEのnoteを見てみよう。
面白すぎて一気に読めてしまう。

また、『土偶を読む』と同じ手法で説を作った以下の記事もなかなかおもしろい。

『土偶を読む』の問題点は、既存の研究者の意見を取り入れていないことにあると記事中では語っている。

そして先程述べたテレビ番組の歴史探偵でも、研究者2名に『土偶を読む』についての見解を聞いてみたシーンがあるのだが、2名の研究者はどちらも否定的だった。

そもそも熱心な縄文ファンなら、そこら中の博物館で見たことがあるだろう。縄文のビーナスや遮光器土偶の進化前みたいな土偶や顔が展示されている姿を。
メディアで縄文土偶と言われたときに提示される完成度の高い土偶はほんの一部なのだ。実際にはそこに至るまでの変化がある。
それを無視している部分が『土偶を読む』では散見される。

そういった土偶の変化について、専門家とちゃんと話し合っていれば……。

いや、話し合ってしまったら本が出せなかったかもしれない。

そう考えると話を聞かなくてよかったのかもしれない。
莫大なお金を手にするかどうかの瀬戸際だ。
情報の正否はともかく。


落合陽一氏の話に戻るが、かつてWEEKLY OCHIAIの記事で大笑いしたのは落合陽一氏がどうとかではなく、周りの反応を面白おかしく堀元見氏がブログでまとめたからであって、落合陽一氏自体はめっちゃ頭がいい人である。
そして頭が良すぎる故に周りがついていけない。

そんな落合陽一氏が、いったいこの『土偶を読む』の説にどんな意見を持ったのかは非常に気になるところだ。
上で紹介した動画は導入部分だけなので、本編の内容は課金しなければ見られない。しかし自分はNewsPicksのエリートな雰囲気には馴染めそうにないので見ることはなさそうだ。(お金もないし)

とはいえ導入部分だけ見ても、落合陽一氏はしっかりと中空土偶の頭の穴について触れている。「この部分あったらクリじゃなくね?」という感じで。
さすがである。


そしてこれは本でも動画メディアでも思ったことだが、竹倉文人氏はどうにも既存の研究者に対する攻撃的な姿勢がかなり伝わってくる。
これが他の研究者の視点を本の中で取り入れられなかった理由かもしれない。

自説に固執する人というのは本を読んでいるとわりとよく見る。
最近自分が読んだ『月と蛇と縄文人』では、著者がめちゃくちゃ月と蛇に固執していて、大抵のものが月と蛇で解決する本だった。
これも序文は既存の研究者への否定から入っている。
まあ言いたいことがあるから本にしてるわけで、わからんでもないけど。

自分に都合のいいものだけを集めて自説を補強していくという手法はあらゆる場所で使われがちなので気をつけなければならない。

・・・でも上手く使えば成功も出来ると考えると、なかなか魅力的な技術に思えてくる。


なにはともあれ、昔の自分だったら本を読んで一瞬でその説に染まり、
「縄文土偶は植物モチーフのゆるキャラだよ?w知らないの?w」
と周囲に触れ回っていたところだったが、そこそこ本を読んだおかげで冷静に一度立ち止まって、考えたり、調べたりすることが出来るようになった気がする。

やはり色々なものを見るのは大事なのだなぁ……。


いや、切り抜き投稿者のnoteで何を語っているのやらと思うけれども。


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