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企画展 王朝の色に挑む in岡崎

さて、本日は遠方の友人に「私の代わりに見に行ってくれ……」と頼まれたのと、自分が行きたかったからと、色々な都合が相まって片道130キロ車で走って、岡崎市美術博物館に行ってきました。
岡崎は親戚の家があるのでちょくちょく行ってましたが、美術博物館なんて行ったことないぞ……と思いつつも、展示内容が友人と私が好きな内容じゃん!絶対楽しいやつ!ってなりつつ、行きました。忘備録です。
教えてくれた友人へ、本当にありがとう……。
文面がですますと評論家のそれのような文章の書き方で読みづらいかもしれないけど、目を瞑ってください……。

外から見た岡崎市美術博物館 近代的な構造ですね

1章 日本の伝統色 自然の染料

この章では日本で古来より使われていた染料の元になる植物、動物の残骸が展示されていました。先ほどは動物の残骸なんて物騒な言葉を使いましたが、19種ある中で唯一生物由来だったのが貝の殻で、他は全て植物だったのです。
植物なら乾燥させれば大丈夫?ですが、その貝殻の隅っこのほんの一部を削り出して使うというのを友人から聞いていたので、「これがその噂の貝殻かあ。ホルマリン漬けになっているけれども!」なんてツッコミを入れたり。
印象的だったのは日本茜。花か木の部分かなと思いきや、もしゃもしゃした何か……。調べてみたら蔓でした。
あとは、紅花の収穫から染料になるまでのムービーも流れていていました。紅花といえば笹紅が気になるところです。一回くらいつけてみたい。


2章 政と祈りの色彩

この章では飛鳥時代から天平文化までの偉い人が着る服装や式典などの飾りに使われていた色についての展示でした。まずは厩戸皇子が着ていたとされる濃い紫の「大徳」という官位の着物から小智の着る着物の色まで12色の布があったり、有名なお寺さんなどに所蔵されている布までさまざまな布に出会いました。布ももちろんですが、和紙にも染料を使い、その紙で花を作っているものもあり、雛人形にある桜と橘もありました。石清水八幡宮に所蔵されているお花の台には必ず、動物(または昆虫)がいて、植物だけではなく、自然を表現しているのかな、と思いました。


3章 王朝文学を彩るかさね色

この章では主に重色(かさねいろ)(表地裏地の2色場合)、襲色(かさねいろ)(装束で使う5色の場合)についてでした。昔から色見本帳とか、配色表ってあるみたいで、四季→その時期の植物のイメージ配色みたいなものが紙形式、布形式で展示されていました。私のイメージと合うものと違う襲色の配色パターンがもちろんあって、こういうものはいつ、誰が考えたんだろうなあ。と思うばかりでした。


『源氏物語』に挑む

この章は撮影可能で、源氏物語の文面にある色を再現した布が展示されている。
章ごとできっとその章のヒロインが着ていたであろう色の布がまたさわやかだったり、重々しかったりと色にはその人を映す鏡なのかとも思ったくらいだ。また、布の織りにも注目すると、文様の織があるものがあり、章によって紋様も似ていることもあれば違うものもあるので、十人十色というより、百人百色と言ったところだろう。


第4章 吉岡コレクション 幻の色を求めて

この章では日本や世界をめぐって集められた布の展示がされている。正倉院、エジプト、メキシコ、チベット、インドなどその土地でどのように染め物や布が作られてきたのかを研究するための材料だ。特に印象に残ったのはメキシコのポンチョだ。まず、袖にレースがあること。それと、織か刺繍かわからないくらいの模様。別の作品で織であることはわかったが、これは騙されたな、と思うくらいに綺麗なものだった。絣のようなもの、絞に近いものもあり、世界にも共通点があることが分かった。


最後に 振り返り

今回の展示は染めと織と物語を融合させた構成で、わかりやすく、発展している事を感じた。4章について書いている時にふと今思い出したのは静岡の芹沢銈介もまた収集家であり、染師であることだ。やはり、電子や文字だけではわからない世界がここにはあると思う。少ない材料から色を何色も作りあげ、布なり和紙なりのせて作品を作る。またその作品から作品を作る。その過程と最終的に出来上がったものが私は大好きであることを改めて知ることができたので往復260キロの運転も報われたものだと思う。
11月5日までの展示なので、興味がある人は是非行ってみてほしい。この企画展の図録はないが、本や京都の染物屋の布小物や、沖縄の焼き物などがミュージアムショップにあったので、それも楽しいと思う。


Artz

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