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PERCHの聖月曜日 41日目

「時代性をもたなければならない」という標語は、十九世紀リアリズムの概念の核としてしばしば引用されてきた。「人は自らの時代を生きるべきだ」とは、クールベや彼の仲間たちの闘争のモットーであった。それはすなわち、古典美術の永遠的普遍化やロマン主義の時代錯誤的な歴史主義を拒否し、代わりに霊感の源を、同時代の世界におけるあらゆる詳細な具体的事象に求めることを忠告するものであった。

しかしながら私には、リアリズムの構想には、これに劣らず重要なもうひとつの忠告が含まれていたように思われる。それはすなわち、同時代性への関心と時には関連しつつ、特には矛盾を呈するが、「人は自らの場所を生きるべきだ」ということである。つまり、自らの生まれた国、地域、あるいはもっとつきつめて言うなら、生まれた土地を扱うことである(これについては、基本的には、ジョン・コンスタブルの例が挙げられる。彼は、半径二マイルほどの家族の地所の中にある、父の水車やストゥア河を描いて生涯を過ごした)。そうすることによって、特定の場所とその人とのもっとも深い本来の関係性と同様に、現実の具体的な正確さや特異性が捉えられるというわけだ。

ーーーリンダ・ノックリン「クールベ、オリェールと場所の意味–––十九世紀美術における地域性、地方性とピクチャレスク」『絵画の政治学』坂上桂子訳,筑摩書房,2021年,p66-67

Stoke-by-Nayland
John Constable
ca. 1810–11


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